「NFTを作って販売したいけれどOpenSeaのガス代が高いって聞いた」
「ガス代ってそもそも何ですか?公共料金ですか?」
NFTがブームになり、近頃では「NFTという言葉を聞いたとこがある!」という人も増えてきましたが、その中身や販売方法についての認知度はまだまだ進んでいません。
ガス代とはOpenSeaと呼ばれるNFTマーケットプレイスでNFTを出品するときに発生する手数料のようなものです。
ガス代という概念自体がまだ新しいものなのでNFTに関してあまり詳しくない方には「ガス代って詐欺なのかな?」「NFT販売って危ないんじゃない?」と不安になるかもしれません。
そんな方に向けて、本記事ではOpenSeaとは何なのか、ガス代はどうして発生するのかといったNFT販売に関わる基礎情報を分かりやすく解説します。
NFTを販売してみたいけどよくわからない、という方は是非参考にしてみてください。
目次
OpenSeaとはNFTマーケットプレイスのサービス名
OpenSeaとは現在もっとも多くのユーザーに利用されているNFTマーケットプレイス(NFT販売所)です。
OpenSeaはニューヨークを拠点に2017年にサービス開始。2021年8月時点での取引数は200万件以上、取引額は3700億円以上となっており、現在展開されているNFTマーケットプレイス中では最大級の規模となっています。
最近のニュースでは2022年1月前半のOpenSeaでの取引高は3100億円とされており、過去最高取引高になる可能性があるという情報も発信されていました。
この大注目のOpenSeaですが一体何ができるのかというと、暗号資産によるNFTの売買が行えます。売買の方法は定額方式とオークション方式があり、ヤフーオークションやメルカリの仮想通貨版というようなイメージですね。
OpenSeaで取引されているNFTについて
OpenSeaでは様々なNFTが出品されておりOpenSeaのトップページでは現在販売されているNFTの一覧を見ることができます。
トップページにあるクリプトパンクはクレジットカード大手の「VISA」が購入したことにより、大注目となったNFTアートです。
上記の画像はクリプトパンクが公開しているNFTの一つで販売価格は約23ETH、日本円にして約828万円になります。人気になったNFTの価値が私たちの想像を超える価格で取引されていることがよくわかります。
この様にNFTは人気作品は高額で取引されることに加え、誰でも製作し、出品することのできる手軽さからOpenSeaに新規参入を目指すクリエイターが世界中に存在しています。
ところがOpenSeaでNFTを公開するには「ガス代」と呼ばれる手数料が存在し、このガス代の仕組みが新規の参加者のハードルになっています。
もし実際にOpenSeaを使ってみたいと思った方はこちらにOpenSeaの利用方法をまとめた参考記事があるので合わせてご覧になってみてください。
OpenSeaの使い方の参考記事はこちら
OpenSeaのガス代とは
ガス代とはOpenSeaでNFTを売買するときに必要な手数料のようなもので、OpenSeaを利用してガス代が発生するタイミングは以下の通りになります。
- NFTの出品
- NFTの購入
- 購入したNFTを個人のウォレットに出金する
NFTの出品に関するガス代は初回の1回だけなので出品をメインにOpenSeaの利用を考えているユーザーにとっては初回の出品のガス代をなるべく安くすると比較的参入しやすいのではないでしょうか。
ここからはOpenSeaで発生するガス代とはどういったものなのか解説していきます。
ガス代はどうやって決めているの?
ガス代は時間によって変動したり無料になったりすることから、OpenSeaを始めたばかりの人は「OpenSeaのガス代の支払いはダマされているんじゃないの?」と疑問に思うかもしれませんが、決してそうではないのでご安心ください。
まずガス代はOpenSeaが設定している手数料ではありません。ガス代はイーサリアムチェーンの需給によって決定されています。
イーサリアムチェーンの利用者が増加すればガス代は高騰しますし、利用者が少ないときはガス代は安くなります。ガス代が変動する理由はこの利用者の増減によるもので、OpenSeaが自由に価格変更しているわけではないということに注意しましょう。
ガス代の算出方法はGwei(ガスの単位)×ガスリミット(詳しくは後述します)で算出されます。
Gweiは時間や要求する処理スピードによって変化し、現在のガス代を調べることが出来るサービスのGAS NOWによると2022年2月20日現在のガス代は以下の通りになっています。
超高速(15秒) | 高速(1分) | 普通(3分) | 遅い(10分) |
95Gwei(約5.3ドル) | 66Gwei(約3.8ドル) | 31Gwei(約1.8ドル) | 31Gwei(約1.8ドル) |
ではこれらをもとに実際にOpenSeaでNFTを出品した際にかかる費用を計算してみましょう。
出品にかかるガス代を計算する
超高速でNFTを出品、取引する場合必要なガス代はいくらなのか計算します。
- 高速取引に必要なガス:95Gwei
- ガスリミット:1ETH分のGwai
この条件で計算すると、95Gweiは0.000000095ETHと換算できるので、1ETHが約36万円(2022/2/20のレート)とすれば1回の出品に0.0342EHTが必要になります。円換算すると約12000円です。
気軽に出品するには少し勇気がいる金額ですね。
ガスリミットについて
ガスリミットとはイーサリアムチェーンの取引で使用しても良いGwaiの上限値のことを言います。
なぜ上限を設けるのかというとイーサリアムチェーンを利用した取引では「スマートコントラクト」と呼ばれる取引の自動処理プログラムが採用されているからです。
スマートコントラクトは事前に取り決めた条件が合致する限り取引を自動で処理し続けるシステムなのですが、取引内容によっては処理が無限に繰り返される場合があります。
例えばGweiを消費してNFTをイーサリアムチェーンにアップロードする際、アップロードが上手く完了しなければ再びGweiを消費してアップロードを再試行します。この動作が仮に無限回行われたとすると無制限にGweiが消費されるだけでなくイーサリアムチェーンにも負担がかかってしまいます。
この無限ループを回避するために消費するGwaiに上限を設け安全装置の役割を果たしているのがガスリミットとなります。
ガス代は節約できるのか?
結論から言えばガス代は節約ができます。
ETHの価格変動があるとはいえ10000円以上もするNFTの出品手数料は初めてチャレンジする人には少しハードルが高く感じることでしょう。そこでOpenSeaでNFTを出品するにあたって最もガス代が節約できる方法を2つご紹介します。
①処理速度を変更してガス代を節約する
先程の表からもわかるようにイーサリアムチェーンの処理速度を遅くすることによってガス代を節約することが出来ます。
低速の場合に必要なGweiは超高速に比べて1/3と非常に安価に設定されています。仮に低速で処理した場合でも10分以内には処理が完了するので、それほど急いで出品する必要がない場合には低速を選んで処理するといいでしょう。
②Gweiとガスリミットを調整する
ガス代はGweiとガスリミットの掛け算で求められます。なのでGweiとガスリミットを下げることでもガス代を節約することが可能です。
Gweiが安い時間帯に出品する
こちらはEthereum Gas Price Chartというページで公開されている24時間のGweiの変動を示したチャートです。
画面左側、午後のGweiが安いことが分かります。土日の午後はさらにGweiが安くなるため、このような時価帯を狙ってNFTを出品するとガス代の節約につながります。
ガスリミットを下げる
出品時のガスリミットが21000以上に設定されていた場合、ガスリミットを21000まで下げることでガス代を節約することができます。
但し、ガスリミットを21000以下まで下げてしまうと処理が完了しない恐れがあるので21000以下の設定はお勧めできません。
無料でOpenSeaに出品する方法
OpenSeaではNFTを出品する際にポリゴンチェーンと呼ばれるレイヤー2スケーリングソリューションを使用することでガス代を無料にすることができます。
仕組みはやや複雑なので「OpenSeaでは無料で出品できるマーケットもある」程度の認識で十分です。
このポリゴンチェーンの特徴は以下の通り。
- 取引ユーザーが少ない
- 少額の取引が中心
- ガス代が無料
- オークション出品ができない
- 円へ両替ができない
メリットとデメリットが混在している感じですね。OpenSeaのメインマーケットであるイーサリアムチェーンに比べると販売収益という部分では劣ってしまいますが、とりあえずNFTを出品してみたい!というユーザーにはおすすめのマーケットです。
まずはポリゴンチェーンでNFT販売の感覚を掴んでからイーサリアムチェーンに進出、という流れも悪くないかも知れません。
ポリゴンチェーンに関しては以下の記事も参考にしてみてください。
ポリゴンチェーンに関する詳しい記事はこちら
【まとめ】OpenSeaのガス代は節約ができる
以上がOpenSeaのガス代についての解説です。イーサリアムの利用者増加に伴い、ガス代は年々上昇傾向にあります。しかしOpenSeaのガス代は上手に利用すればある程度の節約は可能です。
「NFTを出品してみたかったけどガス代が高いと聞いて諦めていた」、そんな方は是非今回の記事を参考にNFTマーケットプレイスへの出品を検討してみてはいかがでしょうか?
NFTブームはまだ始まったばかりです。今からでも挑戦すれば有名なNFTクリエイターになれるチャンスが待っているかもしれません。
執筆者 西村大樹