FX(外国為替証拠金取引)は小資金で始められる投資として人気を誇ります。昨今の副業ブームも相まって、今もチャレンジする人は増え続けるばかりです。
ところがこのFX、「始めてみると専門用語ばかりで何を言っているのかさっぱりわからない」
この様な方も少なくないでしょう。そこで今回はこれだけ覚えておけば大丈夫というFXの専門用語を厳選してご紹介します。
基本編・実践編・経済指標編とそれぞれの分野で大切な用語をしっかり押さえていきます。FXを始めたばかりの方、言葉は知っているけれど意味はぼんやりとしか分からない方必見の内容です。
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目次
基本編
まずはFXでよくみる専門用語の解説です。紹介する用語は次の通り。
- ポジション
- ロング/ショート
- 約定
- Bid/Ask
- レバレッジ
- 証拠金
- 証拠金維持率
- ロスカット
- 追証
- Pips
- スプレッド
- スリップページ
- スワップポイント
- ロールオーバー
- 円高・円安
- クロス円
- ドルストレート
これらはFXをする上で最低限押さえておきたい用語です。少し用語が多いですが、がんばって覚えていきましょう。
ポジション
ポジションとは、通貨を保有している状態です。別名建玉(たてぎょく)ともいい、買い方で持っている通貨を買いポジションやロング、ロングポジション。
売り方で持っている通貨を売りポジション、ショート、ショートポジションなどといいます。
ロング/ショート
ロング/ショートは保有しているポジションの種類です。
- ロング:買いポジション
- ショート:売りポジション
慣れるまではどっちがどっちか分からなくなりそうですが、よく使う言葉ですので、自然と覚えていくでしょう。
約定
約定(やくじょう)とは注文が成立したポジションのことをいいます。投資ではよく間にする言葉ですので、覚えておきましょう。
Bid/Ask
Bid/Ask(ビッド/アスク)は取引する通貨ペアの売り買いを指す単語です。
Bidは売りを指す言葉、Askは買いを指す言葉です。
「なんで売り買いなのに“Buy”と“Sell”じゃないの?」と疑問に思うところですが、これに関してはFX業者から見た言葉になるからです。
まずBidは入札という意味ですが、これはFX業者からすると「入札してあげますよ」という意味になります。
つまり、このレートであなたのポジションを買い取ってあげると言っているのと同じで、トレーダーからするとポジションを売っている形になります。
今度はAskですがこれはオファーという意味です。先程とは反対にFX業者は「ポジションを売ってあげますよ」と言っているわけです。
これはトレーダーからするとポジションを買う形になりますね。
というようにBidとAskはFX業者から見た言葉で、意味まで覚える必要はありませんが、“Bid=売り”、“Ask=買い”だけは覚えておきましょう。
レバレッジ
レバレッジとは、てこの原理を意味し、投資家が自己資金に比べて大きな金額の取引を行うための仕組みです。
レバレッジを使用することで、少額の証拠金をもとに大きなポジションを持つことができます。
レバレッジは資金効率を高める一方で、リスクも高くなることが懸念されます。そのため、日本国内のFX業者では法律により、最大25パーセントまでしかレバレッジを掛けられません。
海外の業者ではそのような規制の対象外ですので、100倍や500倍などのハイレバレッジトレードが可能です。
証拠金
証拠金はFXをするための資本金のようなものです。FXをするための最低限入金しなくてはならない資金とも言えます。
そもそもFXは為替の価格変動の差を利用して儲ける投資商品です。
例えば、ドルが値下がりしているうちに購入して、値上がりしたら売却するとします。このとき、買ったときよりも高く売れればその分が利益になります。
これがFXの利益が発生する仕組みです。ところが通貨の値段は、普段はそれほど動きません。日本円であれば動いてもせいぜい数円です。
これではほとんど利益が生まれません。ということでFXでは価格の変動した分のみが損益として判断されるような仕組みとなっています。
この時に発生した損失を補償するお金が、証拠金というわけです。
つまり証拠金を1万円入金すれば、1万円分の損失が出るまで取り引きが継続できます。厳密には多少異なりますが、“証拠金は取引をするための最低限の資金”と覚えておきましょう。
証拠金維持率
証拠金維持率とは、取引を継続する上で必要な最低限の証拠金の割合です。
求め方は「純資産÷必要証拠金×100(%)」で計算します。
例えば最低証拠金1万円のポジションに対して、損失額が5,000円になると証拠金維持率は50%になります。
最低証拠金維持率はFX業者によって異なり、概ね50%を下回ると強制決済をされるところが多くあります。
ロスカット
ロスカットとは、証拠金維持率が業者の定める最低ラインを下回ることによって発生する強制決済のことです。
ロスカットが発生する前にはロスカットアラートと呼ばれる事前告知が発動し、トレーダーはポジション決済や後述する追証などの対応を求められます。
追証
追証とは、ポジションを維持するために必要な追加の証拠金です。追証は入金の期限が決められており、期日までに入金が確認できないとポジションが強制決済されます。
Pips
Pipsとは、取引する通貨の最小単位です。FXは円やドル、ユーロなど様々な国の通貨を取り扱うため、特定の国の通貨の単位では値動きを表現できません。
そこで採用されるのがPipsです。Pipsは対円の通貨ペアでは1Pips=0.01円となり、対ドルでは1Pips=0.0001ドルで表現されます。
仮に1万通貨分の対円通貨ペアのポジションを持っていたとすると、100Pips変動があった場合は1円値動きがあったことになり、1万円の損益が発生します。
スプレッド
スプレッドは、BidとAskの価格差のことです。
ドル/円などの頻繁に取引される通貨であるほどスプレッドは小さい傾向にあり、あまり取引されない通貨や、取引量が少なくなる時間帯、経済指標発表時などはスプレッドが広がる傾向にあります。
スプレッドはFX会社によって異なり、大手取引所ではスプレッド固定などのサービスを提供しているところもあります。
スプレッドは狭いほどトレーダーに有利な取引が可能です。勝率を上げるためにはよりスプレッドの狭い業者を選ぶとよいでしょう。
スリップページ
スリップページは価格の急変などにより、注文を出したレートと、約定したレートの差が生まれることをいいます。
注文設定によってはスリップページの上限を決めることができるので、極力狙い通りのレートで取引したい場合はスリップページの許容度を下げるとよいでしょう。
スワップポイント
スワップポイントは、保持しているポジションの金利差で生じる損益のことです。
金利が低い通貨を売って金利の高い通貨を買えば、そのポジションを保有しているだけ利益が発生します。
反対に金利が高い通貨を売って金利が低い通貨を買うとポジションを持っている間、損失が発生します。
日本円のペアトレードで考えるとイメージが湧きやすいでしょう。
現在、日本円は世界的に見ても非常に低い金利で推移しています。したがって、日本円とペアになっているポジションをロングでホールドしていた場合、その日数分スワップポイントが受け取れるというわけです。
反対にショートポジションをホールドした場合はスワップポイントの支払いが求められます。
金利差によって利益にも損失にもなるスワップポイントは、FXの為替リスクの一つです。
スワップポイントは取引業者に必ず記載がありますので、ロールオーバーを繰り返すような長期投資をする上では、必ず確認するとよいでしょう。
ロールオーバー
ロールオーバーとは、ポジションの繰り越しのことをいいます。ポジションを翌日まで持ち越すことでスワップポイントが発生し、利益や損失が発生します。
ロールオーバーの起点となる時間帯はFX業者によって異なりますが、多くの場合、ニューヨーク市場がクローズするタイミング(日本時間:午前7時、サマータイム:午前6時)がロールオーバーの基準となります。
円高・円安
円高・円安とは、海外通貨と比べて円の価値が高いのか、安いのかを示す指標です。ニュースでよく聞く円高・円安に関しては対米ドルに対して使われます。
例えば、円高といえば、ドルに対して円の価値が高い状態を指し、円安といえばドルに対して円の価値が安い状態にあります。
FXにおいて円高・円安はあまり考慮する必要のないワードですが、ニュースなどで「今日の円相場は…」と聞こえた時はこの言葉に注目することで、おおよそのチャートの状況を判断することが可能です。
クロス円
クロス円とは、ドル以外の通貨と日本円のペア取引のことをいいます。例えばユーロ/円やポンド/円、オージードル/円などが挙げられます。
FXでは基準となる通貨がドルで固定されているため、ドルを介さない取引を総じて“クロス取引”と呼んだりします。
ドルストレート
ドルストレートは、クロス取引とは反対に、ドルを介した通貨ペアの取引のことをいいます。
ドル/円、ポンド/ドル、ユーロ/ドルなどがドルストレートの一例です。ドル/円の通貨ペアを除けば、円表記がされないため、損益が計算しにくく、初心者には少し慣れが必要な通貨ペアの取引です。
実践編
基本編の用語を一通り覚えておけば、まずはFX取引で困ることはないでしょう。ここからは実践において重要な用語をご紹介していきます。実戦で使われる専門用語は非常にたくさんあります。
ここで紹介するものはあくまで最低限ですので、取引に慣れてきたら、ぜひご自身でも勉強してみて下さいね。
- テクニカル分析
- ファンダメンタルズ分析
- 成行注文
- 指値注文
- 逆指値注文
テクニカル分析
テクニカル分析とは、過去の値動きをもとに、将来の値動きを予想する分析方法です。代表的なテクニカル分析にはボリンジャーバンド、トレンドライン、MACDなどが挙げられます。
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ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、世界各国の政治、経済状況、金融政策などをもとに将来の値動きを分析する手法。
精度の高い分析をするには経済学や、地政学など様々な学問を学ぶ必要があるので、敷居の高い分析方法ともいえます。
初心者の方は、最低限経済の基本だけ覚えておけば十分にトレードは可能です。
成行注文
成行注文とは、その名の通り、成行で注文する取引方法です。現在のレートで即決注文したいときに使用します。
指値注文
指値注文とは、自身に有利なレートに注文を入れることができる注文方法です。ロングを入れたいときであれば今より低いレートに、ショートを入れたい場合であれば今より高いレートに注文を入れることができます。
新規のポジションを建てるときや利益確定に利用するケースが一般的。
逆指値注文
逆指値注文とは、今より不利なレートになったときに発注する注文方法です。
損切のレートをあらかじめ設定したいときに利用します。
経済指標編
最後に重要な経済指標をご紹介します。
経済指標は、雇用状況や、インフレ率など、その国の財政状況や景気を判断するのに大きな影響を与える統計データです。
そのため、多くの投資家が注目しており、今後の投資判断の参考になる大切な指標にもなります。
重要指標発表時には大きな値動きがみられる可能性があり、チャンスでもあり、ピンチでもあるイベントです。
値動きが大きくなる可能性のある重要経済指標は次の通り。
- 雇用統計
- 消費者物価指数
- 政策金利会合
雇用統計
雇用統計は、その国の失業率や求人倍率をみる統計データです。雇用統計はその国の労働者の数や生産力を見ることで景気を判断することができます。
米国では毎月第1週金曜日に発表されるので、その前後では値動きが乏しくなる傾向にあります。
消費者物価指数
消費者物価指数は、国内の景気を判断する指標です。国内の物価を見ることでインフレやデフレをなどの経済状況を見ています。
政策金利にも影響を与える消費者物価指数は、事前に公開される予測値と乖離があった場合、大きな値動きが発生する可能性があります。
政策金利会合
政策金利会合は、その国の政策金利を決める最も重要な指標です。政策金利はその国の景気、通貨の価値、物価までも左右するため、今後の景気動向を見るには政策金利会合が非常に参考になります。
米国ではFOMC、ユーロ圏ではECBなどと呼ばれ、これらの会合がある時にはトレードは控えるのがセオリーです。
【まとめ】専門用語はまだまだある
FXで利用する基本的な用語は以上です。とはいえ細かく言えば専門用語はまだまだあります。「FXでたくさん勝ちたい!」
「FXで成功したい!」
このような野望をお持ちの方はまず基本用語をしっかり把握しているか、改めて確認してみるのもいいかもしれませんね。
執筆者 西村大樹