外国為替証拠金取引、通称“FX”。レバレッジを掛ければ小資金で大金を稼ぐことが可能なうえ、インターネット上で口座を開くだけで簡単に取引できることから、サラリーマンや主婦にとても人気な投資商品です。
副業や資産形成の手段として広く知られているFX、今では市場解説のyoutube動画や、関連書籍など、さまざまな情報があふれています。
そんなFXを取引している人たちは世界中にどれだけいるのでしょうか。詳しく調べてみることにしました。
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目次
FXの取引人口
FXの取引口座は日本国内だけに限ればおよそ600万件以上。世界規模で見れば1000万件を超えると言われています。
その中から、既に取引を継続していない口座や、個人で複数の口座を開設している分を除けば世界でFXを取引をしている人口はその6割の600万人程度と推測ができます。
世界シェアでみると日本がFX取引人口世界一
ここで各国のFXの取引高のシェア率を見ていきましょう。
国際決済銀行が公開している国別のFXシェアの内訳は次の通り。
国名 | シェア率 |
イギリス | 38.1% |
アメリカ | 19.4% |
シンガポール | 9.4% |
香港 | 7.1% |
日本 | 4.4% |
スイス | 3.6% |
その他 | 18% |
FXの取引額で言えばイギリスがシェア率トップであることが分かります。
しかしながら、このデータはあくまで国ごとの取引高のデータ。実は取引人口で言えば日本が全体の6割程度を占めているといわれています。
FXを取引している全人口の6割を占めている日本はまさにFX大国。日本人投資家を揶揄する“ミセスワタナベ”なんて言葉もできるくらいですから、世界から見ればFXは日本の個人投資家のほとんどがやっている金融商品と勘違いされているかもしれませんね。
日本人投資家ミセスワタナベとは?
日本人のFX人口の多さがうかがえる事象に“ミセスワタナベ”という言葉があります。これは特定の日本人のことを言っているわけではなく、日本の個人投資家全体を指す俗語で、米国の報道機関が名付けました。
他にもキモノ・トレーダーなどと呼ばれ、欧米では日本のFX投資家を注目する言葉を使っています。
なぜそのようなことが起きたのか。それは2007年頃から見られたインターバンク市場の値動きのクセが原因でした。
午前から午後にかけて逆張り注文が大量に入る奇妙な値動き
ちょうどこのころ、東京のインターバンク市場では午前の終わりから午後の初めにかけて、大量の円売り注文が入るようになりました。
当時の為替相場は、円高ドル安基調であったのにも関わらず、経済指標もないなかでの大量の円売り注文は非常に奇妙で、ドル安で推移していた日はいつも以上に円売り注文が入っていました。
後にこの現象は日本のサラリーマンや主婦たちが昼休みの時間を使って大量のオーダーを流していたことが判明。日本の小口投資家たちが為替市場に影響を及ばすほどの取引をしていたことが分かりました。
これを受けた海外の大口の投機筋は、日本の投資家たちを総称してミセスワタナベと命名。
ミセスワタナベは油断ならない存在と認識し、世界の為替市場はミセスワタナベを狙った取引にシフトするようになっていきました。
投機筋によるミセスワタナベ狩り
ミセスワタナベによる値動きはとても単調でした。どのような局面であっても“円売り・ドル買い”。
これは当時はやっていた国家間の金利差で利益が得られるスワップポイントが原因とされています。金利の安い日本円を売って金利の高い米ドルを保有することで毎日スワップポイントを受け取れるFXは貯金の代わりとして日本人に多く知れ渡っていました。
その結果、FXをよく知らない個人投資家も取引に参加し、これに目を付けた諸外国の投機筋がミセスワタナベ狩りを決行しました。
ミセスワタナベ狩りで最も有名な値動きが2011年3月17日の1ドル76円という極端な円高。これは大量のドル買いポジションを持っているミセスワタナベを損切に追い込むことで極端なドル売り円買いの流れを演出。
FXをよく理解せずに始めた投資家たちは闇雲にナンピンを繰り返し、最終的にはほとんどのドル買いポジションを清算させ、強制的に円高相場へと持っていきました。
この一連の流れはドル以外にも見られ、トルコリラの急落、オーストラリアドルの高ボラティリティな値動き、スイスフランショックなどでも、ミセスワタナベの大量損切が、値動きを加速さえる背景にあると言われています。
そもそもFXは勝ち続けられるのか
ここまで読んでいただいて、多くの方は「FXで買っている日本人はいないの?」と思った方も少なくないでしょう。
ミセスワタナベと揶揄され、為替ショックの背景には多くの日本人投資家の損切が影響していることを知ると、FXで勝つのは難しいと考えてしまっても無理はありません。
実際FXで勝ち続けられる人は参加者全体の1~2割程度、それも5年以内にほとんどのトレーダーが退場すると言われています。
簡単に始められる一方で勝ち続けるのは本当に難しい投資、それがFXというわけです。
FXで勝ち続けるのが難しい理由
価格の上下だけを当てるFXがなぜ難しいのか、その理由は大きく分けて3つあります。
- ランダムウォーク
- ゼロサムゲーム
- プロスペクト理論
それぞれ順番に見ていきましょう。
ランダムウォーク
相場の値動きはランダムウォークといわれています。どんなに相場を分析して、どんなに取引を練習を繰り返しても、未来の価格を読むことは不可能です。
一見、FXの値動きは上か下かしかないので、たとえ値動きがランダムだとしても勝率は50%のようにも思えます。
しかし仮にそうだとしても、取引コストである手数料やスプレッドを除けば勝率50%では資金は増えません。
つまり、予見できない未来の値動きを50%以上の確立で当て続けるという驚異の運がないとFXでは勝ち続けられないわけです。
ここを理解しない限りFXで勝てるようにはなりませんし、FXで結果を残している人はこの事実をよく理解しています。
FX勝ち続けるのが容易ではないことがよくわかりますね。
ゼロサムゲーム
次にFXが勝ち続けられない理由は“ゼロサムゲーム”だからです。ゼロサムゲームとはそのゲーム参加者の収益を合計すると丁度ゼロになるゲームのことで、ゼロサムゲームでは勝者と同じだけ敗者が存在します。
ではこれをFXで置き換えて考えてみましょう。もしあなたが100万円勝とうと思ったら誰かを100万円負けさせなくてはなりません。
誰かの100万円分のポジションを損切させるなんてなかなかできませんよね?ですが市場を操作できるほどの大口の投機筋ではどうでしょうか。
誰かの100万円分のポジションを損切させるなんて造作もないはずです。現にミセスワタナベ狩りなんて言葉があるくらいですからね。
そう考えると個人投資家は大口投機筋に目を付けられるとなすすべなく負けに追い込まれ、いつ狙われているのかさえもわかりません。
誰かを損切に追い込むのはやっとなのに、自分が損切に追い込まれるのはあっという間。こんな構造のゲームであるFXは、相場の分析以上に、他の参加者たちの動向も分析しなければ勝ち続けることはできません。
プロスペクト理論
FXで勝ち続けられない理由にはプロスペクト理論と呼ばれるメンタルの状況も関係してきます。
プロスペクト理論とは、損失を避けたいばかりに、合理的ではない選択をしてしまう人の心理状態を表す理論です。
例えば、当たる確率の低い宝くじを、もしかしたら当たるかもしれないと購入したり、1万円を手に入れるよりも、1万円を失う方が精神的負担が大きいといった事象が挙げられます。
この行動の意思決定には合理的な理由はなく、どれも感情的な選択です。これをFXに当てはめると、“今は損失が拡大しているけれどもいつかは戻るかもしれない”といった感情が芽生えたり“大きな損失を確定させることができず、損切ができない”といった行動に該当します。
FXで勝ち続けるためには合理的な判断は欠かせず、感情的なトレードは即退場に繋がります。
人間の本能であるプロスペクト理論をどれだけ抑え込めるか、FXで勝つためにはこういったメンタルの要素も重要です。
FXで勝ち続けるためにはどうしたらいいのか
「FXで勝ち続けることは難しいのは分かった。けれどもどうしてもFXで勝つことをあきらめきれない。」
そんな強い意志を持った方に向けて、ここからはFXで勝つためのヒントをご紹介していきます。
最終的には運の要素も大きく関係するFXは、今回ご紹介する手法を完全に実行したとしても勝ち続けられるかはわかりません。
それでも、知っているのと知らないのでは勝率は大きく変わってくるはずです。是非勉強の参考にしてくださいね。
対策①取引回数を減らす
FXで勝ち続ける方法の1つ目は取引回数を減らすことです。
そもそも値動きがランダムなFXでは手数料とスプレッドを考慮しなければ適当にやっても負け続けることも勝ち続けることもありません。必ず確率は収束してきます。
とすれば取引回数を減らせば勝率が“勝ち”か“負け”のどちらかに偏る可能性が高くなります。
そして、1回の取引の損失額は勝利金額の1/3程度になることを目標にしましょう。そうすれば、仮に負けが続いたとしても3回に1回勝てればプラスマイナス0、勝ちが続けば大幅に利益を伸ばすことが可能です。
対策②自分の得意な相場を見つける
勝ち続けるために必要なことの2つめは自分の得意な相場を見つけることです。相場を分析するテクニカル分析にはさまざまな手法があり、オシレーター系やトレンド系など無数に存在します。
FXで勝ちたい人ほど、これらのテクニカル分析をすべて覚えて使おうとするのですが、これでは有効にテクニカル分析を使えません。
テクニカル分析はある特定のチャートパターンや時間帯に合わせて使うことでその効果を最大限に発揮する分析ツールです。
有効に相場を分析するには、どれか一つのテクニカル分析手法でいいのでそれが最も機能する場面をいち早く発見。実戦に落とし込むことが勝ち続けるヒントになります。
次の値動きのクセが分かりやすくなるチャートパターンと、テクニカル分析をセットにして、自分の得意な相場として覚えておきましょう。
そこだけに絞ってトレードを繰り返せばエントリー回数も減り、勝率も高まるので、大きな武器となるはずです。
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対策③メンタルを鍛える
FXで勝ち続けるためには強いメンタルが必要です。負け続けても冷静に取り引きを繰り返したり、プロスペクト理論に打ち勝つなど、常人にはまねできない精神状態を保つことでFXの勝率は向上します。
メンタルの鍛え方は人それぞれ。その中でも一番実践しやすいのが、ロスカットルールを決める方法です。
これはエントリーと同時にロスカットを設定する方法で、ロスカットの設定値を常に一定で設定し、自分で決めたルールを絶対に破らない練習をします。
このとき注意しなくてはならないのが“途中でルールを変更しない”という点。
「このままいったらロスカットに引っかかってしまいそうだけれど反発しそうだからロスカットをずらしてしまおう」
「ボラティリティが高い荒れ相場だからロスカットは広めにしておこう」
こういった自分本位なルール変更を繰り返しているようでは強いメンタルとは言えません。トレーダーによってはFXはメンタルだけで勝てると豪語する人もいるくらいメンタルトレーニングはFXにおいて重要なスキルです。
己を律するルールを作り、絶対にそれを守る。たったそれだけの意識の差でFXは結果に大きな差ができます。
ついつい自分で決めたルールを破ってしまう人はもう一度メンタルを見直してみてはいかがでしょうか。
【まとめ】FX人口は日本人が世界一
世界中のトレーダーが取引をしているFX。そしてそれを一番多く取引しているのは私たち日本人です。
しかしながら、その日本人の多くは個人投資家のため、資金力を持った海外の投機筋に常に狙われている現実がお分かり頂けたでしょうか。
これだけを見れば確かにFXで勝つのはなんだか難しい気がしてしまいますよね。しかし、現状が分かれば対策も打てるというもの。
投機筋に狙われない時間に取引をしたり、機関投資家のように徹底したルールを元にエントリーするなど、ちょっとした努力で勝率は大きく変化します。
FXで勝ち続けるのは、確かに難易度が高いことです。しかしそれを実践している人がいることも事実。
まずはデモトレードから練習してみてはいかがでしょうか。
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実は最近、仮想通貨でもFXができることをご存じでしょうか。正確には仮想通貨取引は法定通貨ではないため、FXとは呼ばないのですがここでは便宜上FXとしましょう。
仮想通貨のFXはまだマーケットが小さく、大口の投機筋も入ってきていないため、個人投資家でも十分に勝てるチャンスがあるとひそかに人気を集めています。
しかし、「仮想通貨取引の口座開設はなんだか難しそう」と実践できていない方が多くいます。
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もちろんデモトレードにも対応しているのでしっかり練習できます。まだ口座開設をお持ちでない方は是非この機会に挑戦してみてはいかがでしょうか?
執筆者 西村大樹