【初心者向け】CFD取引ってどんな取引?差金決済取引について解説

多くの専門用語が出てくる金融商品取引。中でもCFD取引について詳しく知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

CFD取引といえば、日本語で“差金決済取引”といい、簡単に言えばFXや暗号資産などを売ったり買ったりして利益を生む取引商品全般のことを指します。

本記事では、そんなCFD取引を初心者にもわかりやすいように丁寧に解説。CFD取引の種類や取引のメリット・デメリットを解説します。

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CFD取引とは

CFD取引(Contract for Difference、差金決済契約)とは、金融市場での取引に使用される金融派生商品の一種です。

主にCFD取引は、資産の価格変動に基づいて利益を得ることを目的としており、“安く買って高く売る”を繰り返しながら資産を形成していきます。

CFD取引の種類にはFX、暗号資産、コモディティ、エネルギーなど数多くの商品に対応。レバレッジを効かせると小資金で市場に参加できることから、個人投資家たちを中心にCFD取引を行っています。

CFD取引の特徴

そんなCFD取引は現物取引とは異なる特徴を持ちます。

主な特徴は次の通り。

  • 豊富な取引の対象資産
  • レバレッジ取引
  • 長期・短期の取引
  • 価格差に基づく取引
  • 多様な取引戦略の実行

詳しく見ていきましょう。

豊富な取引の対象資産

CFD取引では、株式、株価指数、外国為替(FX)、商品、債券など、さまざまな金融資産に対する契約が対象となります。このとき注目するのは、“取引の対象となる資産は実際には所有されるのではない”という点。

CFD取引では、売買した商品を実際に手元に置くわけではないため、必ず反対売買をしなくてはなりません。分かりやすい例で言えば、FXが想像しやすいでしょう。

FXでは仮に日本円で米ドルを買った場合、手元に米ドルはありません。必ず最終的には米ドルを売却し、その評価額に応じた決済がなされます。売りの注文を入れた時も同様で、最後に米ドルを買い戻して決済を行わなければいけません。

この様に、ポジションの清算時に必ず反対売買をする必要があるのがCFD取引の特徴で、配当など、ポジションを保有することによるメリットは現物取引に比べて小さくなります。

レバレッジ取引

CFD取引は、証拠金を用いたレバレッジ取引が一般的です。レバレッジとは、投資家が実際に投入する資金額よりも大きな金額の資産を取引できる仕組みで、証拠金比率が10%の場合、10,000ドルの証拠金で100,000ドル相当の資産を取引することができます。

例えば暗号資産取引の場合、ビットコインを現物で購入するためには約1,000万円が必要ですが、レバレッジを100倍掛ければ10万円で取引できるようになります。このように、現物購入が難しい高額な金融商品を容易に購入できるようになるのもCFD取引の特徴です。

長期・短期の取引

CFD取引は、長期的な投資や短期的なトレードの両方に適しています。例えば、短期的な取引を目的としたCFD取引であればレバレッジを大きく掛け、資金効率を最大限にしてわずかな価格変動で大きな利益を得ることが可能です。

反対に長期的なCFD取引では極力レバレッジを下げて、資金効率とリスクリターンのバランスを取りながら投資をすることも可能です。

この手法を現物取引で行うには相当な資金力が必要であり、小資金ではなかなか対応が難しいのが実情です。

戦略に応じた多様な投資戦略を実行できるのもCFD取引ならではといっていいでしょう。

価格差に基づく取引

CFD取引では、取引時の価格と決済時の価格との差額(価格差)に応じて利益または損失が生じます。つまり、取引した資産の価格が上昇した場合は利益が発生。価格が下落した場合は損失が生じます。

そのため、株式における優待など、対象の金融商品を保有することにおける利益(インカムゲイン)を得ることは難しく、配当金やスワップポイントは保有しているポジション数やレバレッジの掛け方によって変化します。

多様な取引戦略の実行

短期取引から長期取引まで多彩な投資戦略がとれるCFD取引では、取引スタイルも自由に選択できる特徴があります。

例えば、短期的な注文を繰り返すスキャルピングは注文の約定に時間がかかる現物取引には不向きですし、長期投資を見据えて取ったポジションをすぐに損切してリスクヘッジをすることも難しくなります。

これは、現物取引が市場の需給によって成立するのに対して、CFD取引では商品を提供している業者が仲介役となって売買をしているからで、柔軟に取引戦略を変更したいトレーダーにはCFD取引の方が合っていると言えるでしょう。

CFD取引のメリット・デメリット

自由度が高く、小資金でも始められるCFD取引にはメリットも多いですが、デメリットもあります。

場合によってはCFD取引よりも現物取引の方が良い場合もあるので、メリットとデメリットはしっかり見極めていきましょう。

CFD取引のメリット

CFD取引は、以下のようなメリットがあります。

メリット
  • レバレッジを活用した取引
  • 多様な市場へのアクセス
  • ショートポジションの取得

順番に解説していきます。

レバレッジを活用した取引

CFD取引では、証拠金を用いたレバレッジ取引が可能です。そのため、少額の証拠金を投入することで、その何倍もの取引額を行うことができ、少額の投資から始めても資金効率が高まります。

例えば現物の日本株を購入する場合、1単元は100株以上。1株当たり500円程度の低位株であっても最低投資額は5万円です。この株が仮に1%の価格変動があったとしても500円ほどの損益にしかならず、資金効率は低め。

しかし、レバレッジを効かせたCFDでは同じく5万円で多様な商品を購入可能。レバレッジ100倍でビットコインを500万円分購入すれば、1%の価格変動でも5万円の損益が発生します。

この様にレバレッジは資金効率を格段に伸ばすメリットがあり、短期間で一気に資産を作るには欠かせない投資手法といえるでしょう。

多様な市場へのアクセス

CFD取引プラットフォームでは、株式、株価指数、外国為替(FX)、商品、債券など、さまざまな金融市場へのアクセスが可能です。これにより、投資家は多様な市場に分散投資を行うことができ、ポートフォリオのリスクを分散させることができます。

本来莫大な資金量が必要な金市場への投資もCFDであれば小資金から始められますし、麦やトウモロコシといったコモディティ市場にも容易に参加ができます。

貴金属や農産物に詳しい方にとってはこれは大きなメリットになるはずです。

ショートポジションの取得

CFD取引では、“売りから入る”つまりショートポジションでのエントリーが可能です。

これにより、価格が下落する場面でも利益を得ることが可能となり、エントリーチャンスが増加します。一般的に現物取引では売りから入るチャンスは限定的で、下落相場ではエントリーがしづらいのが普通です。

しかし、CFD取引では売りと買いの両方でいつでもエントリーができるため、市場の状況に合わせた柔軟なポジションの取得ができます。

CFD取引のデメリット

CFD(Contract for Difference)取引のデメリットは次のようなものがあります

デメリット
  • レバレッジリスク
  • 市場リスク 
  • 手数料とスプレッド

詳しく解説します。

レバレッジリスク

CFD取引はレバレッジを活用することで資金効率を高めることができますが、その一方で損失を増幅させるリスクも伴います。

レバレッジをかけることで、わずかな値動きで大きな利益を生む可能性がある代わりに、同じだけ損失を生むリスクが発生します。

特に、経済指標発表時など、価格が大きく動くタイミングでは想定外の含み損が発生したり、場合によってはポジションが強制決済される“ロスカット”にあうこともあるので注意が必要です。

市場リスク

CFD取引は株式、外国為替、商品、指数など様々な市場で行われますが、市場によっては変動が大きく、リスクが高い取引となる可能性があります。

特に、暗号資産市場やコモディティ市場では、暗号通貨の規制に関わるニュースや、自然災害など予測外の出来事が起こると、取引ポジションに大きな影響を与えてしまいます。

ボラティリティ(価格変動率)の高い市場ほど、このリスクは高まるため、不安定な市場ではレバレッジの調整や、ポジションの縮小など、リスクヘッジの対策が重要です。

手数料とスプレッド

CFD取引で利用するプラットフォームやブローカーには手数料やスプレッド(買値と売値の差)がかかる場合があります。これらの費用は利益を減らし、損失を拡大する要因となります。

特に、レバレッジを効かせた取引ではポジションサイズによって取引コストが増大する為、資金量に対してコストの割合が高まります。結果的に資金効率が低下し、手数料負けといった事態が発生する可能性があるので、取引手数料はなるべく安い業者を選ぶ事が大切です。

また、スプレッドが狭いほど取引が有利になりますが、極端に狭いスプレッドを提供している業者では、市場の流動性や取引時間帯によってスプレッドが拡大することもあったり、手数料が高額だったりといった可能性もある為、取引コストは総合的に判断しまくてはなりません。

CFD取引の種類

ここからは一般的なCFD取引市場を紹介していきます。市場ごとに特徴が異なるため、自分に合った市場を見つけることが安定した利益を生むための近道です。

FX

FXは有名ですね。外国為替を売買して利益を生むこの市場はCFD取引の代表核といっても過言ではありません。

特徴は安い取引コストと、豊富な情報源。市場参加者が多いため、勉強為の情報は無料で手に入りますし、低資金で簡単に始められます。

暗号資産

暗号資産市場は最近注目されている市場です。ビットコインをはじめ、有名銘柄が各種取引できるようになっています。

特徴は高いボラティリティ。アルトコインなどの低位な銘柄は1日で数千%動くこともあり、ハイリスクハイリターンな市場です、

コモディティ

金融商品全般を指す市場ですが、ここでは農産物とエネルギー市場に限定して解説します。特徴は原油や小麦といったニュースでよく見る経済指標を取引できること。しかし取引手数料が高く、情報も限られている為、その関係の仕事をしている方におすすめです。

貴金属

金、銀、プラチナなど貴金属をメインに取引する市場です。

特徴は高いボラティリティと絶対的な価値を持つ商品を取り扱う市場ということ。金や銀の価値は値下がりこそしますが、価値がゼロになることはほぼありません。下がったときこそレバレッジを効かせて購入すればリスクヘッジに役立ちます。

株価指数

日経平均やNYダウなどの株価指数も取引できます。特徴は安定感。本来大きな額で投資する株価指数にレバレッジを掛けることで少額投資が可能に。レバレッジでリスクを取りながら安定資産に投資をすることでバランスの取れたポートフォリオが形成できます。

【まとめ】CFD取引は小資金トレーダーにおすすめ

レバレッジを効かせることで小資金ながらも複数の市場に参加できるCFD取引はこれからトレードを始める個人トレーダーにおすすめです。CFD取引と聞くと敷居が高いようにも感じますが、FXと同じ仕組みといえば非常に親近感がわくことでしょう。

とはいえ、取引の方法によっては現物よりも少しリスクが高いのも事実。メリットとデメリットを見比べて適切なリスクの範囲で挑戦することが重要です。

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執筆者 西村大樹