仮想通貨Amp(AMP)とは?特徴や将来性について解説

仮想通貨Ampという名前を聞いたことがありますか?最近少しづつ知名度を上げてきているAmpについて情報を集めている方も多いかと思います。

調べてみると「仮想通貨決済の担保として利用される」と説明されており、「つまりどういうこと?」「実用性が感じられない。」など疑問に感じる部分があるでしょう。しかしAmpは、普及が進めば仮想通貨の利便性は大きく高まります。

本記事では今後の仮想通貨サービスを変えるかもしれないAmpについて解説します。

Amp(AMP)とは

 

AmpはERC-20規格のトークンで、イーサリアムのブロックチェーン上で構成されている仮想通貨です。ERC-20に準拠しているので取引システムはイーサリアムと同じスマートコントラクト(補足にて後述)が利用可能になります。そのため信頼性、利便性がとても高いトークンとなります。

リリースは2020年9月、その後2021年3月には仮想通貨取引所Geminiに上場。3か月後の2021年6月には仮想通貨取引所Coinbaseに上場を果たしました。

【補足】スマートコントラクト

スマートコントラクトとは最初に定めた一定の条件が成立する限り取引を自動で繰り返す仕組みのことを言います。

イーサリアムなどの多くの仮想通貨で実装されており、管理者を立てなくても公平で透明な取引が可能になることが特徴です。

Amp(AMP)の特徴

続々と仮想通貨取引所に上場を果たしているAmpですが、そのプロジェクトの目的は「仮想通貨決済を行うためのインフラ整備」です。その為に実装されている特徴的なAmp独自のシステムを紹介していきます。

デジタル担保トークン

Ampは仮想通貨価値を保証するデジタル担保トークンです。

現在仮想通貨による決済が進まない理由に、仮想通貨のボラティリティ(価格変動率)の高さと決済承認の速度の遅さがあります。この問題を解決しなければ、仮想通貨で安定した取引を行うことが難しく、仮想通貨決済の普及を妨げている原因にもなっています。

例えば、ある商品をビットコインで購入しようとした際、決済が認められるにはある程度の時間を要します。そのときボラティリティの高いビットコインは、購入を決めた時の価格と実際に決済されたときに価格に大きな価格差が生まれることがあります。

決済時にビットコインの価値が大幅に下落していれば商品提供側は損失を抱えてしまいますし、逆にビットコインの価値が大幅に高騰すれば購入者は割高な支払いになってしまいます。これでは安心して仮想通貨で決済取引を行うことができません。

この問題を解決するのがAmpの提供する「デジタル担保トークン」になります。

決済で利用した仮想通貨の価値を保証する

実際にどのようにデジタル担保として機能するか流れを見ていきます。

例えば、先程のようにビットコインでの取引決済を行う際にAmpを担保として利用します。すると購入者が支払ったビットコインを商品提供側はAmpとして受け取り、Ampがその分の法定通貨を商品提供側に支払います。

これによりビットコインの価格変動リスクはAmpが担保となり商品提供側も、購入者も公平な取引を行うことができるようになります。また、万が一支払いがうまく成立しなかったとしても商品提供側はAmpを受け取ることでその分の商品代金に充てることもできます。

Flexacoinとの違い

AmpはConsenSysとFlexaが共同で設計した仮想通貨です。そのFlexaが開発した仮想通貨がFlexacoinであるため、サービスはAmpと非常によく似ています。

FlexacoinはAmpより以前にリリースされ、デジタル担保の先駆け的な仮想通貨でした。Ampの「仮想通貨で決済した際にその仮想通貨の価値を保証する」という仕組みはFlexacoinが先に始めたプロジェクトです。

しかしFlexacoinの普及スピードはあまり速くはありませんでした。Flexacoinのトークンは独自規格で開発されたので、その他の金融プラットフォームのDeFiプロジェクトと統合を進めるには互換性の課題があったのです。

また、Flexacoinを利用するにはFlexaNetWorkに対応しているプラットフォームでなくてはいけなかったため、利用者が限定されてしまうのもFlexacoinを普及を妨げる要因の一つであったのかもしれません。

そこで決済インフラとして利用するには、Flexacoinより拡張性の高いトークンを開発する必要がありました

そこで開発されたのがERC-20規格に準拠するAmpトークンです。

Ampはイーサリアムのブロックチェーン上で構築することによりFlexacoinよりも汎用性を高め、セキュリティ性能、決済の高速化も実現することに成功しました。つまりAmpはFlexacoinの進化版ともいえる仮想通貨なのです。

ERC-20

ERC-20とはイーサリアムのブロックチェーン上で構築できる仮想通貨トークンの規格です。

この規格に準拠して構築された仮想通貨は互いに互換性があり、それぞれの仮想通貨のサービスに対応しています。

ERC-20規格は多くの仮想通貨に採用されており、バイナンスコイン、Maker、テザーなどあらゆる仮想通貨に広がっています。

Ampでは発行するトークンにERC-20規格を採用することで、多様化するDeFiプロジェクトに対応できるようにしました。

現在統合しているDeFiプラットフォームはCREAM Finance、Sushiswap、そして2021年5月にYearn Financeの3か所となっています。これにより今後Ampの利用者は増加傾向になることが予想されるので、デジタル担保として高い流動性と高速取引の維持が可能になるでしょう。

【補足】

DeFiプロジェクト:分散型金融であるDeFiに独自のサービスを付帯させたものです。DeFiは管理者のいない分散型金融システム(銀行を利用せず個人で金融取引を行うイメージです)を構築しているため、ブロックチェーン上で自由に暗号資産の金融取引が可能になります。

DeFiについてより詳しい記事はこちら

「DeFiとはそもそも何?どのような特徴があるの?」 「DeFiで仮想通貨を稼げるの?」 UniswapやMakerDAO、Compou...

Amp(AMP)の現在の推移価格

Ampの日足チャートです。

 

Ampはデジタル担保として利用される仮想通貨のため、価格変動は比較的小さくコントロールされています。

現在の価格推移は高値が0.08ドル付近、安値が0.04ドル付近となっています。ステーブルコイン(法定通貨の代わりになるような価格変動の少ない仮想通貨)ほどではありませんがほぼ値動きがないので投資向きの仮想通貨ではありません。

しかし今後利用普及に伴い、価格の上昇もある程度は見込まれるので価格が下落した後は購入検討するのもいいかもしれません。

Amp(AMP)の今後と動向

Ampは今後、仮想通貨決済のインフラ設備においてシェアが拡大していくことが予想されます。現在仮想通貨を店舗などで商品決済として導入するにはいくつもの課題を解決しなくてはなりません。

冒頭の見出しでも触れましたが、仮想通貨で決済を行うには仮想通貨のボラティリティや、決済スピードの問題を解決することはもちろん、セキュリティ、税金面でも課題は数多く存在します。

特にセキュリティにおいてはPoWをコンセンサスアルゴリズムに採用している仮想通貨の場合、常に51パーセントの攻撃リスクが存在します。現実問題として51パーセントの攻撃を受ける可能性は限りなくゼロに近いですが全くのゼロではありません。

Ampはこうした問題のすべてを解決する可能性を持っています。今後ますますAmpの利用が普及すれば仮想通貨で商品を購入することはもちろん、NFTなどのデジタル資産取引の安全性も高まることは間違いないでしょう。

特にブロックチェーン上で行う取引にはカウンターパーティリスクを伴うのでAmpが担保になればそういったリスクも解消されることが予想されます。

【用語補足】

この見出しで登場する専門用語の解説まとめです。

PoW(プルーフ・オブ・マイニング)

コンセンサスアルゴリズムの一つで、いわゆるマイニングと呼ばれる作業のことをいいます。ブロックチェーンは新しいブロックを追加する際、新しいブロックを承認する作業が必要になります。この作業を計算によって行うのがPoWです

51パーセント攻撃

ブロックチェーンのシステム上の脆弱性を利用した攻撃方法で、PoWの計算量の51パーセントを支配するとブロックチェーンのネットワークをコントロールすることが可能です。

これは計算結果の正しさを多数決で判断しているためで、一部の利用者で過半数以上の計算結果を正しいと判断させることができれば不正なデータをブロックチェーンに承認させることができます。

カウンターパーティリスク

取引相手の信用リスクのことです。経済用語では取引先の金融企業のことをカウンターパーティといい取引先が債務不履行などを起こす恐れのことをカウンターパーティリスクと言います。

特にブロックチェーン上の取引では管理者の存在せず個人間で直接取引となる為、実際の金融取引よりもカウンターパーティリスクが高いと言えます。

PoW(プルーフ・オブ・マイニング)に関する記事はこちら

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Amp(AMP)の購入方法

Ampは現在国内仮想通貨取引所での取り扱いはありません。

現在取り扱っている仮想通貨取引所は

  • Gemini
  • Coinbase
  • バイナンス

などです。これら3つの取引所はいずれもUSドルで購入可能なため、直接法定通貨で取引ができます。その他の仮想通貨取引所でもAmpの購入は可能ですが利便性や信頼性を考えると上記3社がおすすめです。

【まとめ】仮想通貨Amp(AMP)は仮想通貨決済のインフラになる

デジタル担保という新しい仮想通貨の概念を創り出したAmpについてまとめてみました。

現在仮想通貨は通貨とはいえ決済利用の実用化はまだまだ進んでいません。仮想通貨で決済をするにあたって様々な問題を解決できるAmpは今後の普及に大いに期待が持てるでしょう。

今後仮想通貨決済のインフレシステムとしてAmpの利用が当たり前になれば私たちの生活にもっと仮想通貨が身近になるかもしれません。

執筆者 西村大樹