仮想通貨Decred(DCR)とは?将来性や特徴を解説

今後さらに注目されていくことが予想される仮想通貨Decred。注目の理由は新しいコンセンサスアルゴリズムの仕組みにあります。

本記事では「投資目的としてDecredの将来性はどうなの?」といった疑問や「Decredについて詳しく知りたい」といった方に向けてDecredの特徴や将来性を解説し、日足チャートによる独自のテクニカル分析を紹介します。

是非最後まで読んでいってください。

Decred(DCR)とは

Decredは2016年2月に公開された仮想通貨です。トークンの名称はDCR。主なプロジェクトはコンセンサスアルゴリズムの最適化を目指しています。独自のサービスを提供するために開発された仮想通貨プラットフォームと違い、Decredは「投票によるシステム開発」を目指して開発が進んでいます。

【補足】

コンセンサスアルゴリズム:ブロックチェーン上に新しく追加されたブロックを承認するプログラムのこと。PoWやPoSなどが存在します

Decred(DCR)の特徴

Decredの最大の特徴はコンセンサスアルゴリズムにあります。明確なサービスを提供する仮想通貨と違い、Decredは技術力を提供する仮想通貨のため、実用化の形がイメージしにくいかもしれません。この項目ではDecredの技術的特徴をなるべくイメージしやすいように解説し、ブロックチェーンの認証システムを大きく進歩させる可能性を紹介していきます。

ハイブリッド型コンセンサスアルゴリズム

DecredのはコンセンサスアルゴリズムにPoSとPoWの二つの承認システムを併用しています。認証作業によって得られる報酬の内訳は「PoW(マイニング作業)6割」、「PoS(ステーキング)3割」、「開発資金1割」です。

2種類のコンセンサスアルゴリズムを併用することでPoWで懸念される51パーセントリスクとPoSで発生するNothink at Stakeの双方の問題が解決できます。

PoWとPoSそれぞれの問題と解決される理由

PoW(プルーフ・オブ・ワーキング)はマイニングと呼ばれる作業のことです。新しいブロックの承認作業を計算によって行い、ブロックが承認されれば報酬を得る仕組みになっています。

引用:コインペディア

上の画像のようにブロックチェーンのPoWによる新規ブロックの承認は計算量の多いブロックが承認されるルールです。

そのため一部のユーザーが悪意を持って全体の承認作業件数の過半数を取得してしまうと、不正なデータをブロックチェーンに組み込むことができてしまいます。

本来不正なデータは少量であれば正しいデータよりブロックが長くなることはないので、正しいデータのみが残る構造になっています。

ところが不正なデータを膨大な認証計算で割り込ませると、不正なデータを含んだブロックが正しいデータより長くなってしまい、ブロックチェーンを乗っ取られてしまいます。

このことを51パーセントリスクと言い、PoWのセキュリティ上の弱点として対策が考えられていました。

Decredはこの問題を解決するためにPoS(プルーフ・オブ・ステーキング)の平行利用を実装しました。PoSは仮想通貨を保有している人たちの投票によってブロックを承認する仕組みになっています。この仕組みにより不正なデータを強引に割り込ませる事ができないためPoSの導入は51パーセントリスクの解消につながります。

逆にPoSにもNothing at Stakeという課題が存在しますが、この課題はPoWのコンセンサスアルゴリズムによってクリアできます。

この様にDecredではブロックを承認するコンセンサスアルゴリズムを二段階に設定しているためPoWもしくはPoSを単体で利用したときのリスクを解決することに成功しました。

【補足】

Nothing at Stake:PoSでは新しいブロックの生成に大きなエネルギーや高性能なコンピュータを必要としない為、不当なブロックが生成されやすいという課題です。Decredではブロックの生成に大きなエネルギーを必要とするPoWも承認システムに採用しているので、不当なブロックが生成されにくく、Nothing at Stakeの課題を解決しています。

コンセンサス投票システム

Decredはコンセンサス投票システムを構築しており、Decredを保有しているユーザーはガバナンス(ブロックチェーンを運営する為のルール)を投票により設定することができます。またハードフォーク(ブロックチェーンが永久に分岐している状態)の可否もユーザーが投票によって決定できる仕組みになっています。

【補足】

本来ブロックチェーンは1本で構築されており、フォークと呼ばれる分岐が発生した場合短いほうのブロックチェーンが消失するように出来ています。

ハードフォークは元のブロックチェーンから独立した形で分岐し、そのブロックチェーンが消失しない状態になったことを言います。

Decredではこの新しく派生したブロックチェーンを承認するかどうかをユーザーの投票によって決定します。

PoSやPoWについて詳しく知りたい方はこちら

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アトミックスワップ

Decredの最も特徴的な技術にアトミックスワップというものが採用されています。

この機能はブロックチェーン上で仮想通貨取引所などの第三者を介することなく異なる仮想通貨と交換することが可能になるシステムです。このシステムの特筆すべき点は以下の4点です

アトミックスワップの4つの特徴

  1. 異なる仮想通貨の交換が可能
  2. 第三者を介さない取引ができる
  3. 取引速度の向上
  4. 不正取引のリスクを抑える

従来の取引方法では個人間での仮想通貨の交換を行う場合、取引相手が自分の仮想通貨を持ち逃げするなどのリスクを避けるために、仮想通貨取引所を介した取引を行っていました。この方法ではリスクは少ないものの取引コストの発生や送金の遅延など利便性におけるデメリットが存在しました。

しかしアトミックスワップはこういった懸念がすべて解消されるため、今後個人間で仮想通貨の交換などを行う場合は重宝されるシステムになるでしょう。

Decred(DCR)の現在の推移価格

チャートはDCR/米ドルペアの日足チャートです。

 

2021年9月に付けた高値183ドルから現在も価格は下落し続けています。仮想通貨は今後の成長性に期待して、買いのポジションを長期で持つのが最もリスクの少ない投資方法です。しかしDecredは成長性に期待はありますが、下降トレンドが強く、底値判断が難しくなっています。いま立てる「戦略は短期の売り」がいいでしょう

今後の展望と具体的戦略

エントリーポイント

  1. 短期投資として85ドル付近での売り
  2. 瞬間的に100ドル近くまで急騰すれば超短期の売り
  3. 60ドル付近で価格がもみ合えば、底値判断とみて買い

価格が大きく動く「値飛び」が頻発するほどの価格変動を見せるDecredは大筋のトレンドに逆らうのはリスクが大きいとみています。2021年12月現在まで明確な下降トレンドを形成しているので底値が明確になるまでは売りポジションを基本にエントリーする戦略をとるといいでしょう。

時折20ドル近い急騰を見せている場面がありますがすべて長い上ヒゲで価格が確定していることから、売り圧力の強さが伺えます。恐らく、高値付近で購入した人たちのポジション清算による売りが強いのでしょう。

この含み損を抱えている人たちのポジションが整理されない限り、上昇トレンドへの転換は難しいとみています。注目すべきポイントとしては12月13日に付けた61.6ドル。ここから安値は切り下がっていないので一旦の底値を60ドルと仮定することで今後の戦略が分かれます。

売りポジションを取る場合

12月24日の価格が76ドル付近と最安値からやや上昇していますが、上昇トレンドに移行するとは断言できません。仮に下降トレンドは継続していると考えるのであれば、前回のヒゲ先高値である110ドルを超えない限りは価格が上昇するたびに売りポジションを入れる戦略が取れます。

買いポジションを取る場合

61ドルを下回らない前提で購入するので早めにエントリーして60ドルを下回ったあたりで損切を入れるとリスクを最小限にすることができます。

どちらの戦略が正しいということはありませんので、ご自身の投資判断の参考にしてみてください。

Decred(DCR)の今後と動向

Decredは今後さらなる普及のために「ライトニングネットワーク」というものが実装されます。ライトニングネットワークはブロックチェーンに残す記録を最初と最後だけにし、中間の取引データを外部で処理することによってデータ量の削減と高速取引が可能になります。

これによるメリットはDecredの取引コストの削減や利用者増加によるデータ処理の負担(スケーラビリティ問題)の解決につながります。

Decredの開発方針はユーザーの投票によって行われるので、公平な投票結果を反映させるためにはある程度のユーザー数が必要となります。そのためDecredではよりユーザーに使いやすく、安全で公平なシステムを提供することに注力しており、今後利用者の大幅な増加が期待される仮想通貨になっています。

しかしこの「投票システム」はユーザーの意見をダイレクトに反映するメリットの反面、悪意のあるユーザーの投票が集まったり、投票に参加するユーザーが著しく減少するなどシステムそのものが機能しなくなるリスクも抱えています。

現在大きなトラブルは起きていませんが今後の普及に向けて解決しなくてはならない課題となるのは間違いないでしょう。

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Decred(DCR)の購入方法

Decredは現在国内の仮想通貨取引所では取り扱っておりません。

以下の海外仮想通貨取引所で購入可能です。

  • バイナンス
  • BITTREX
  • Huobi
  • FEX

特に大手取引所であるバイナンスがおすすめです。

【まとめ】Decred(DCR)の将来性は大きく期待

Decredの特徴や将来性についてまとめました。Decredはハイブリッド型コンセンサスアルゴリズムやアトミックスワップなど利便性とセキュリティ性能の向上に特化した技術が特徴的で、今後の開発進行に期待です。

プロジェクトの具体的な方針である「Decredの方向性はすべてユーザーの投票によって決定する」というコンセプトには解決しなければならない課題も数多くありますが、ユーザーの総意がより良いDecredの開発につながるという期待感が高まっている現在、Decredの購入を検討するいいチャンスかもしれません。

執筆者 西村大樹