仮想通貨ソラナ(SOL)は2017年に設立され、2020年3月にローンチされました。近年、急速に開発が進んでいるブロックチェーンのアプリケーションをサポートする目的で開発された、ブロックチェーンプラットフォームです。通貨単位は「SOL(ソル)」となっています。
ローンチして間もないにも関わらず、仮想通貨の時価総額ランキングではなんと14位をマーク。たった1年で上位入りした仮想通貨となりました。
現在はまだ国内の取引所に上場しておらず、取引するには海外の取引所を利用しなければなりません。仮想通貨は新規取引所への上場に伴って段階的に価格が上昇する傾向があるため、今後の動向に期待が寄せられます。
この記事では、ソラナ(SOL)の特徴や今後について解説しています。ぜひお役立てください。
目次
ソラナ(SOL)のリアルタイムチャート
仮想通貨ソラナ(SOL)の5つの特徴
ソラナ(SOL)を開発したのは、あのIntelやDropbox、Qualcommで活躍していたエンジニアです。シングルチェーンの委任型PoSを採用し、セキュリティや分散化を犠牲にしない柔軟な対応に重点を置いて開発されています。
それを踏まえて、ソラナ(SOL)を5つの特徴にまとめました。
特徴①DeFi領域での活動
ソラナ(SOL)が注目されている理由の1つが「DeFi」領域での活動です。後ほど詳しく解説しますが、ソラナ(SOL)は現在FTXとDEXプロジェクトを共同で進行しています。「Serum(セラム)」「Raydium(レイディウム)」「Oxygen(オクシジェン)」とったDEXがローンチされ、発行されたトークンはソル(SOL)と同様に各銘柄で高騰が見られています。
DeFiとは
「DeFi(Decentralized Finance)」とは、直訳すると分散型金融になり、金融サービスやエコシステムなどのアプリケーションのことを指します。
DeFiはブロックチェーン技術を応用したもので、管理者不在で金融資産の管理を行う自立したシステムです。これまでのブロックチェーン技術は、資産を動かしたり管理したりすることがメインだったところ、DeFiではさらに複雑な取引が可能となりました。
銀行などの金融機関が不要になるのでは?という議論がなされるなど、今後の金融業界に大きく影響する技術です。
特徴②圧倒的な処理速度
ソラナ(SOL)といえば、圧倒的な処理速度が特徴です。例えば、ビットコイン(BTC)の処理速度が毎秒6〜7トランザクション、リップル(XRP)で4,000トランザクションとされていますが、ソラナ(SOL)はこれらを圧倒的に超える5万トランザクションという処理速度で実行が可能になりました。これはクレジットカードの処理速度と同じ高いレベルでもあります。
トランザクション…取引に関する一連の流れ
圧倒的な処理速度を実現したのが、PoH(Proof of History)という分散型クロックを概念に持つコンセンサスアルゴリズムの導入です。ある一つの信頼できる時間軸がなかった分散ネットワークが持つ「時間」という課題を解決するために構築されました。
コンセンサスアルゴリズムとは合意する方法
中央に管理者を持たないブロックチェーンでは、ネットワークを構成するノード(端末)が自律的に台帳のコピーを取得したり、あるいは構築するため、ある特定のやり方に従って実行される必要があります。それを「コンセンサスアルゴリズム(合意の方法)」と呼びます。
ビットコイン(BTC)のコンセンサスアルゴリズムは、計算の速さに応じて発言権が与えられるPoW(Proof of Work)を採用し、イーサリアム(ETH)では保有するコインの割合によって発言権が決まるPoS(Proof of Stake)を、ネム(NEM/XEM)では、コインの保有量や取引量などの貢献度に応じて発言権が決まるPoI(Proof of Importance)を採用しています。
これまではビットコイン(BTC)が採用しているPoWが一般的で、イーサリアム(ETH)も長らくPoWを採用していました。しかし、計算作業に膨大な電力を消費することから二酸化炭素の大量排出が問題視され、この問題を解決すべく構想されたのがPoSです。ネム(NEM/XEM)もシンボル(XYM)への大型アップデートでPoSを改良したPoS+をコンセンサスアルゴリズムとして採用しました。
ソラナ(SOL)で開発されたPoH(Proof of History)は、共通した時計をもとに取引ごとにタイプスタンプを割り当てることで、過去の取引に対するタイプスタンプを都度計算する必要がなくなることから、コンセンサス(同意)のスピードが格段にアップするするという構想です。
特徴③取引のコストの削減
ソラナ(SOL)は、手数料の安さも特筆すべき特徴の一つです。
仮想通貨の取引所は、国内にあるCoincheckやbitFlyerのような企業が運営する取引所の他に、ブロックチェーン上のプログラム「スマートコントラクト」で管理する取引所があります。このスマートコントラクトで管理する取引所を「DEX(Decentralized Exchange/分散型取引所)」と呼びます。
ソラナ(SOL)もDEXの機能を持ち、前述したようにソラナ(SOL)のブロックチェーンを利用した「Serum(セラム)」「Raydium(レイディウム)」「Oxygen(オクシジェン)」がローンチされています。
これまでDEXといえばイーサリアム(ETH)を基盤とするものが多かったのですが、取引する際の手数料において、ソラナ(SOL)はイーサリアム(ETH)のDEXに比べて50分の1程度に抑えることができたのです。
特徴④ステーキングが可能
ステーキングとは、特定の仮想通貨を保有し、ブロックチェーンネットワークに参加することで報酬が貰える仕組みのことです。
一般的に仮想通貨で報酬を得るには、売買を目的とした取引が主流となっていました。一方ソラナ(SOL)では、長期保有することで報酬を得られるようになっているのです。これも先ほどご紹介したPoHのコンセンサスアルゴリズムによって可能となりました。
特徴⑤多数のプロジェクトと提携
ソラナ(SOL)が持つ高速かつ低コストという特徴から、公開から間もないにも関わらず多数のプロジェクトと提携が行われています。仮想通貨業界だけでなく、住宅ローンから音楽プロジェクトとさまざまです。
- チェーンリンク(Chainlink)
- アカース・ネットワーク(Akash Network)
- dfuse
- シビック(Civic)
- テラ(Terra)
- マジック(Magic)
- ローンスナップ(LoanSnap)
- トーラス(Torus)
- ハミングボット(hummingbot)
- ポケット(Pocket)
- Kin
仮想通貨ソラナ(SOL)のこれまで
仮想通貨ソラナ(SOL)が開発されてから2021年7月現在までの経過について振り返ってみましょう。
- 2020年3月にローンチ
- 2021年に価格が高騰
①2020年3月にローンチ
ソラナ(SOL)は、ビザンチン将軍問題に対する耐性を目指すブロックチェーン開発を盛り込み、ソラナ(SOL)の基盤となっているPoHアルゴリズムは2017年に発表、2020年3月にローンチされました。創業はQualcommやDropboxなどで分散システムの設計に携わったAnatoly Yakovenko氏、Greg Fitzgerald氏、Raj Gokal氏、Stephen Akridge氏らです。
仮想通貨では取引内容の改ざんといった不正を予防しなければなりません。とりわけ分散システム上の信頼性に関わる問題のことを情報学やコンピューターサイエンス界隈で「ビザンチン将軍問題」と呼んでいます。
公開されてしばらくは価格が高騰することもなく落ち着きを見せていましたが、2021年に入り価格が高騰しました。
②2021年に価格が高騰
2021年2月から3月にかけて、「Serum(セラム)」の無償配布イベントが行われました。イベントでは新しい仮想通貨COPEが2,000枚無料で配布されました。このタイミングで価格が急上昇。2月の月初は400円程度だったにも関わらず、2月後半には1,800円と約4倍もの高騰を見せたのです。
同年3月には、ソラナ(SOL)のステーブルコイン(安定した価格を実現するように設計された通貨)である「テザー(USDT)」がローンチされ、その後も立て続けに新しい銘柄がソラナ(SOL)上で公開され、価格上昇に拍車をかける形になったと考えられます。
さらに、ソラナ(SOL)は数多くのプロジェクトとパートナーシップ契約を結んでいますが、徐々にプロジェクトが目に見える形まで進行してきたことで信頼性が高まり、価格を押し上げる形になっています。
仮想通貨ソラナ(SOL)の今後の見通し
仮想通貨ソラナ(SOL)は、これからの価格上昇が期待されている通貨の一つです。エコシステムの拡大により、ますます利用者の母数も増えていくことでしょう。
ソラナ(SOL)の今後の見通しを解説していきます。
- 他のブロックチェーンと相互運用を予定
- SushiSwapが統合を予定
- さらなるプロジェクト提携を予定
①他のブロックチェーンと相互運用を予定
これまでのブロックチェーンは、互換性がありませんでした。そんな中、ソラナ(SOL)は他のブロックチェーンとの相互運用を目指して開発が進んでいます。
それに伴い、ソラナ(SOL)は「Certus One」と提携し「Warmhole」というイーサリアム(ETH)とのブリッジ機能を開発しました。スケーラビリティ問題を抱えているイーサリアム(ETH)は、このブリッジ機能によって高速かつ低コストであるソラナ(SOL)上での処理が実行可能になります。
イーサリアム(ETH)はこれまでも、DeFiプラットフォームのAvalanche(アバランチ)やCelo(セロ)とも相互運用が実現していますが、ソラナ(SOL)はイーサリアム(ETH)だけでなく他の仮想通貨とも互換性を持たせていることが大きな相違点となります。
イーサリアム(ETH)が持つスケーラビリティ問題とは
スケーラビリティ問題とは、仮想通貨のブロックチェーン技術において、1つのブロックで取引するデータが限られていることによって起きてしまう障害のことです。
ブロックいっぱいになるまで取引データが書き込まれると、処理速度が低下してしまい、送金遅延が発生してしまいます。利用者にとっては、手数料が高騰するといったデメリットがあります。今後のアップデートで解消が見込まれていますが、イーサリアム(ETH)が抱える大きな課題として認知されています。
②SushiSwapが統合を予定
「SushiSwap(スシスワップ)」は、イーサリアム(ETH)を基盤として開発されたDEX・分散型取引所です。独自トークンであるSUSHI(スシ)は他の取引所にも上場するなど人気がありますが、イーサリアム(ETH)基盤ということで、先ほどご紹介したスケーラビリティ問題を同様に抱えることになります。
SushiSwapはイーサリアム(ETH)のスケーラビリティ問題を解消するため、ソラナ(SOL)基盤のDEXである「Raydium(レイディウム)」と統合することを2021年2月に発表しました。この流れは他の分散型アプリでも見られています。
イーサリアム(ETH)といえば「ビットコイン(BTC)を超える」とも言われ、王座に君臨し続けてきた存在ですが、高速かつ低コストが魅力のソラナ(SOL)の登場により時代が変化しつつあります。
③さらなるプロジェクト提携を予定
ソラナ(SOL)はこれまでも100を超えるプロジェクトと連携していますが、まだ私たちが知り得ないプロジェクトも数多く存在すると言われています。進行中のプロジェクトには、知る人ぞ知る仮想通貨取引所やブロックチェーンプラットフォームも含まれているので、さらなる価格高騰も期待できるのではないでしょうか。ソラナ(SOL)のエコシステムはまだまだ拡大する見込みです。
エコシステムとは
エコシステムとは経済圏を意味し、ブロックチェーンを活用することで創り出される社会や仕組み、経済のことです。
仮想通貨ソラナ(SOL)が買える取引所
残念ながら国内の取引所には上場していないソラナ(SOL)ですが、海外の取引所を利用して購入することができます。
【ソラナ(SOL)が買える主な海外取引所】
- Binance
- FTX
- Huobi
- OKEx
- CoinEx
また、分散型取引所(DEX)でも取引が可能です。
【ソラナ(SOL)が買える主な分散型取引所】
- Serum(セラム)
- Raydium(レイディウム)
- Oxygen(オクシジェン)
海外取引所を利用する注意点
海外取引所には、国内の取引所では難しい高いレバレッジ取引ができたり、100種類以上の銘柄で取引ができるなどのメリットがありますが、デメリットもあります。
日本人が利用できる(日本人向けにサービスを提供している実態がある)にも関わらず、日本での仮想通貨交換業登録を実施していない業者に対し、金融庁からは厳しい対応が取られます。過去には、日本人が多く利用していた「BitMEX(ビットメックス)」に対し日本人の登録及び利用が禁止された事例があります。これは、金融商品取引法及び資金決済に関する法律が改正されたことによる施行で、現在はアカウントを持っていてもすでに取引ができないようになっています。
この他にも、不正な資金調達を目的としたいわゆる「詐欺コイン」と知らずに購入してしまったり、ハッキング被害に合う可能性もあります。入金・出金する際も、国内の取引所を介す必要があるなど、送金手数料や損失が出るリスクも持ち合わせます。
海外取引所を利用する際は、これらの注意点を十分理解しておきましょう。
【まとめ】仮想通貨ソラナ(SOL)の可能性に期待
ソラナ(SOL)は、2020年に公開されて以来、時価総額ランキング上位に食いこんでくるなど、今後の可能性が大いにあると言えるでしょう。従来のブロックチェーンと比べて処理速度が高く、コスト面も優れていることから、イーサリアム(ETH)の存在にとって変わる存在とも言えます。
すでに多くの有名企業とパートナーシップ契約を結びエコシステムの拡大を進めていますが、水面下で動いているプロジェクトに実態を帯びてくると、まずます需要の拡大が見えてくるでしょう。
ソラナ(SOL)に限らず仮想通貨全般に言えることですが、短期間で価格が高騰した通貨は調整のために下落することがあります。大きな事件や動きがないにも関わらず下落した場合は、調整期間に入っている可能性が高いでしょう。今後の下落も念頭におきつつ、長期的な取引計画を進めていくことがポイントとなります。
執筆者 西村大樹