「モネロ(XMR)は安心して取引できる?」
「モネロ(XMR)は今後どうなる?」
2014年にローンチしたモネロ(XMR/Monero)は、2021年8月現在、市場ランキングは30位前後に位置し、上昇と下落を繰り返している状況です。興味があるものの、上場している取引所が少なく、どうすれば購入できるのか?と悩まれている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、仮想通貨モネロ(XMR)の特徴や、発生した問題、抱えている課題などを分析し、今後の見通しや将来性について解説していきます。
ぜひ参考にご覧ください。
目次
モネロ(XRM)のリアルタイムチャート
仮想通貨モネロ(XMR)が持つ3つの特徴
モネロ(XMR)は、エスペラント語で「お金」という意味を持ち、「追跡不可能」「紐付け不可能」という原則に基づいて開発された仮想通貨です。
ビットコイン(BTC)に性質がよく似ていますが、ビットコイン(BTC)の場合、取引時に身元を隠すことができるものの、ブロックチェーン自体が開かれているため支払いを追跡すれば身元がわかってしまいます。一方、モネロ(XMR)は完全に閉ざされた取引が可能のため、送信者・受信者の身元が保護されるという特徴を持ちます。
その優れたプライバシー機能の他にも、高度な処理スピードや、個人でのマイニングが可能だという特徴を持ちます。詳しく見ていきましょう。
特徴①優れたプライバシー機能
仮想通貨モネロ(XMR)は高い匿名性を持っており、「誰が誰にどれくらい送金したか」といった取引内容がわからないようにできます。外部に情報が漏れる心配がないため、多くの企業や政府などから支持されています。
モネロ(XMR)の優れたプライバシー機能は以下の3つの技術によって成り立っており、これらの技術によって「送金元」「送金先」「送金額」を非透過にすることができるのです。
- リング署名
- ステルスアドレス
- 秘匿トランザクション
1つずつ解説していきます。
リング署名
リング署名とは、ある個人の署名をグループに内包することで、誰が署名を実施したからわからなくするというプライバシー保護技術です。
例えば、野菜グループ内に属するニンジンさんから果物グループに属するブドウさんへ送金を行う際、送金元であるニンジンさんの署名を野菜というグループの中で誰が行ったかわからないようにして果物グループとの取引を実行する、といったイメージです。
ステルスアドレス
ステルスアドレスとは、取引を実行する際に一時的に作成されるアドレスのことです。モネロ(XMR)では、他の仮想通貨のブロックチェーンとは異なる「モネロ・レジャー」という台帳を採用しており、取引で使用したステルスアドレスをリンクされません。これにより、いくら取引を辿っても送金元がわからないようになっています。
実行された取引は全く関係のない他の取引と一緒にグループ化され、取引した2者は別々の取引として処理されます。
秘匿トランザクション
秘匿(ひとく)トランザクションとは、「取引をこっそり隠すこと」という意味を持ち、取引された金額を隠す技術のことです。
モネロ(XMR)では「閲覧用」と「送金用」でパスワードが必要で、それぞれに匿名性を持たせた「秘密鍵」と、取引をオープンにする「公開鍵」があります。
- 閲覧用…秘密鍵及び公開鍵
- 送金用…秘密鍵及び公開鍵
閲覧用鍵で見られる範囲は大まかな金額のみで具体的な金額までは見られないようになっており、具体的な取引額を把握するには送金用の鍵が必要です。
特徴②高度な処理スピード
モネロ(XMR)の処理スピードは1回につき2分程度。これは、1回あたり10分程度の時間を要するビットコイン(BTC)に比べて約5倍速いことになります。
特徴③一般的なコンピューターからでも可能なマイニング
仮想通貨で利益を得るには、取引をするか、マイニングをして新しい通貨を新規発行するか、の二択になります。マイニングとは、文字通り自分で通貨を採掘しにいく作業です。
例えば、これからダイヤモンドを採掘しに行くとします。ダイヤモンドを採掘するには、鉱山に入って採掘したり、川に入って砂を洗い流しながら見つけたりしなければならず、膨大な労力と装備、技術、経験も要しますよね。
仮想通貨のマイニングでは、実際に足を運ぶことはないものの、マイニング用のコンピューターやソフトを準備しなければならないですし、より早く処理できるコンピューターである方が有利でしょう。自宅にマイニング環境がない人向けに、GMOでは1口約6億円・メンテナンス費用1ヶ月約1,600万円でビットコイン(BTC)をマイニングできるマイニングマシンのレンタルサービス(「Z.com Cloud Mining」)を実施しています。
このように、マイニングというものは仮想通貨やコンピューターに詳しくない人にとって高い壁であり、まとまった資金も必要であるため、一部の限定された層のみが参入できるものでした。
そこで、マイニングしてみたいという人が気軽に自宅のパソコンからマイニングができるように設計されたのがモネロ(XMR)です。モネロ(XMR)は、Windows、macOS、Linux、Androidといった主要なOSでのマイニングが可能で、特別なハードウェアは必要ありません。さらに、マイニングによる報酬を維持するため、最大供給量を設定しておらず、無限に放出され続けます。
仮想通貨モネロ(XMR)が持つ2つの課題
仮想通貨モネロ(XMR)の匿名性は、良い面だけでなく課題も抱えています。次に、モネロ(XMR)が抱えている2つの課題について見ていきましょう。
課題①マネーロンダリングに悪用されやすい
匿名性の高いモネロ(XMR)は、マネーロンダリングに悪用されやすいという課題を生み出します。マネーロンダリングは日本語で「資金洗浄」と訳され、犯罪などで手に入れた資金の出所をわからなくしてしまうことです。実際にモネロ(XMR)は過去に、麻薬などの不正取引ができる闇サイトで利用された経緯があります(現在は封鎖されています)。
モネロ(XMR)が支持されるのは、匿名性を活用したい闇市場からの需要が大きいのも一つの要因となっています。
課題②ASIC耐性
ASIC(エーシック)とは集積回路の一種で、「Application Specific Integrated Circuit」の略称です。簡単に言うと、ASICは優れた計算処理能力を持っており、マイニングにおいて一般的なパソコンではASICを搭載したコンピューターに太刀打ちできません。そのため、多額の資金を設備投資できる富裕層など、限られた層に優位に働いてしまうというデメリットが生まれてしまうのです。
そこでモネロ(XMR)では、公平なマイニングの実現に向け、ASIC耐性を維持するためのアップデートを続けています。
ASICに対する問題は、モネロ(XMR)だけでなくビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など他の仮想通貨にも共通することで、イーサリアム(ETH)では過半数のユーザーがASIC耐性への対策を講じた開発に賛成をしています。
仮想通貨モネロ(XMR)の今後の見通し
仮想通貨モネロ(XMR)の今後の見通しや将来性について解説していきます。
モネロ(XMR)は2021年8月現在、ポジティブなニュースだけでなく、ネガティブなニュースも抱えています。上昇・下落に影響する可能性が大きいですので、ぜひ目を通しておいてください。
取引所の多さに高い信頼
モネロ(XMR)は世界中の取引所で取り扱いがあり、日本国内の取引所にも上場しています。上場する数が多いということは取引量や流通量での母数の多さを意味しますので、ポジティブな影響があると考えられます。
元リード責任者逮捕による不安感
モネロ(XMR)は少数のコアチームで開発されており、責任者以外は公の場に出ないという匿名性の高いモネロ(XMR)らしい開発体制をとっています。
残念なことに、リード開発者だったリカルド・スパーニ(Riccardo Spagni)氏が、2021年7月20日、米テネシー州ナッシュビルで逮捕されてしまいました。
【参照】
モネロの元リード開発者、詐欺容疑で逮捕──暗号資産とは無関係|Yahoo!ニュース
仮想通貨とは関係のない詐欺罪ですが、このニュースを受けて下落を見せました。下落のまま横ばいが続いていましたが、下落前に持ち直した状態です。
今後も開発メンバーのニュースには注目しておくべきでしょう。
市場ランキングは上位で安定
【引用】時価総額 – 仮想通貨価格、チャート – CoinMarketCap
元リード開発者逮捕というネガティブなニュースを受けて一時値を下げたものの、市場ランキングは2021年8月で30位前後という上位に位置しています。
匿名性やマイニングのし易さという強みを持つモネロ(XMR)は支持者も多く、ネガティブなニュースがあっても持ち堪えられる実力を兼ね備えています。
【まとめ】仮想通貨モネロ(XMR)は投資よりもマイニングや取引向き
モネロ(XMR)は過去に、ハッカー集団がモネロ(XMR)をマイニングするマルウェア(悪意のあるプログラム)を1,000以上の企業に感染させたり、ハッカーへの身代金としてモネロ(XMR)を確保する企業や組織が増えている噂が飛び交うなど、ネガティブなニュースの多い仮想通貨にもかかわらず価値を下げません。良くも悪くも幅広い支持層を持つ仮想通貨だと言えます。
モネロ(XMR)の取引をする際は、知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれる可能性も十分理解した上で、常にニュースをチェックしておくべきだと言えるでしょう。
【参照】Monero公式サイト
執筆者 西村大樹