【全然違う?】暗号資産とPayPay|それぞれの違いについて解説

ステーブルコインといった法定通貨と価格連動する銘柄の登場により、支払いにも利用できるようになった暗号資産(仮想通貨)。現金を使わずにインターネット上で決済できることから電子マネーのように使う方も多いことでしょう。

ところが暗号資産と電子マネー。両者は大きく異なり、リスクも違います。そこで今回は暗号資産と電子マネーの違いについて解説します。

特に電子マネーは今利用者急増中の“PayPay”にフォーカスして紹介していくので

「暗号資産と電子マネーの違いについて知りたい」

「PayPayは暗号資産とは違うの?」

このような疑問を持つ方の参考になる内容です。ぜひ最後までご覧ください。

暗号資産とは

暗号資産とは、ブロックチェーン技術を利用して作成されたデジタルアセットのことを指します。2018年の法令改正によって仮想通貨から暗号資産へと呼称変更されましたが、意味は同じです。

暗号資産は、“中央集権的な機関に頼らずに取引ができ、取引履歴が改ざんされる可能性が少ない”などの特徴があります。いわゆる分散管理と呼ばれる運営システムですね。

ネットワークの参加者すべてが暗号資産の維持・管理を担うことから、銘柄の価格や記録情報をコントロールするのは非常に難しく、ブロックチェーンデータセキュリティ性が高いといったメリットがあります。

一方で、ネットワークの参加者が少ない場合、ブロックチェーンデータの改ざんが容易になるといったデメリットもあります。

これを“51%”問題と呼び、新興のブロックチェーンネットワークや小規模コミュニティで運営されているプロジェクトではこういったセキュリティ上の対策が必要とされています。

代表的な暗号資産

代表的な暗号資産としては、ビットコインやイーサリアムがあります。ビットコインは、中央集権的な金融機関に依存せずに、分散型取引所であるDEXが使用されます。

DEXを利用すると個人間での取引が可能となり、国際間の送金も容易に行えます。

そのため、現在は世界中でビットコインの取引がされていおり、その取引高は暗号資産市場第1位。もっとも有名な暗号資産と言っても過言ではないでしょう。

一方、イーサリアムは、スマートコントラクトと呼ばれる自動でプログラムを実行できるシステムが実装されているため、ビジネスやアプリ開発に多く利用されます。

開発の現場における拡張性の高さから、一時期の価格変動率(ボラティリティ)は、ビットコイン以上を記録。売買差益を生みやすい銘柄として、投資家に大人気の銘柄とも言われていました。

現在は、ブロックの承認システムにステーキングを取り入れた“イーサリアム2.0”がリリースされ、アルゴリズムが大幅にアップデート。イーサリアムの弱点であったスケーラビリティ問題を改善できるとして注目を集めています。

暗号資産のビジネスモデル

暗号資産は、仮想通貨取引所などで簡単に購入することができます。購入が容易なことから普及率が高く、最近ではブロックチェーン技術を利用した新たなサービスやビジネスモデルが生まれてきています。

代表的な例としては、暗号資産を用いた決済や投資、不動産取引などです。

特に暗号資産への投資は、ビットコインが登場した2009年ごろに比べると格段に始めやすくなっており、海外はもちろん日本国内の証券会社も金融商品として取引プラットフォームを提供しています。

一般ユーザーへの普及が進み、利便性が増す暗号資産ですが、それに伴うリスクの顕在化が懸念されています。

暗号資産のリスク

取引や決済などのユースケースが増える一方で、暗号資産は価格変動が激しいなど、高いリスクが伴います。

取引所のセキュリティの問題や、匿名性を持つ取引のためにマネーロンダリングなどの犯罪に利用される暗号資産は規制の対象となりうるデジタル資産です。

決済利用として認められていた銘柄が規制対象となると、市場価値は急激に下がり、暗号資産としての意味を持たなくなるでしょう。

このリスクについてはステーブルコインにも同じことが言え、急激な価格変動を始めとする取引リスクは暗号資産全体の問題と言えます。

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電子マネーとは

電子マネーとは、現金やクレジットカード、デビットカードなどの代替として利用される電子決済手段です。

従来の現金やカード決済と比較して、簡単で迅速な支払いが可能であり、また、現金のように財布を持ち歩く必要がなく、スマートフォンや専用のカードで支払いができる点が特徴です。

電子マネーには、プリペイド型とポストペイド型の2種類があります。プリペイド型は、あらかじめチャージした金額分だけ利用できるタイプで、ポストペイド型は利用分を後日まとめて請求されるタイプです。

ポストペイ型は後払いという性質上、クレジットカードに付帯していることが多く、iDやQUICPayなどがそれにあたります。

電子マネーによっては、現金入金以外にもクレジットカードや銀行口座と連携してチャージや決済が可能なものもあり、利便性の高さから一般普及率は90%以上とされています。

電子マネーを利用できる場所

電子マネーは、コンビニエンスストアやスーパーマーケット、駅の自動券売機など、多くの店舗で利用が可能です。

実店舗での利用以外にも、ネットショッピングやモバイル決済といったインターネット上での決済にも広く利用され、対応店舗は年々増加しています。

軽快なリズムとキャッシュバックキャンペーンによって知名度が一気に上がったPayPay。2023年時点の加盟店数はなんと374万か所。飲食店やコンビニはもちろんガソリンスタンドやスーパーでも支払いに対応しています。

この様に電子マネーは急速にそのユースケースを拡大しており、一部店舗では現金決済を上回る金額が電子マネーで支払われています。

電子マネーのリスク

利便性の高い電子マネーですが、リスクもあります。電子マネーにおけるリスクは主に以下の2つ。

  1. 支払い時に手数料が加算される
  2. ハッキングなどの不正利用リスク

これらのリスクは電子マネーを利用する上で必ず発生します。便利な支払いツールである反面、利用するときはきちんとしたリスク管理は大切です。

電子マネーの手数料

電子マネーは基本的に決済時には利用手数料がかかります。この手数料は店舗によってまちまちですが、おおよそ支払金額の1~3%ほど。クレジットカードの決済手数料とほぼ同じ水準です。

そして問題となるのがこの“決済手数料の負担を誰がするのか”という点です。通常電子マネーの決済手数料は導入している店舗側が負担します。

しかし、店舗によっては決済手数料分を商品代金に上乗せし、利用者が負担するケースも珍しくありません。

こういったケースでは電子マネーで支払うことにより通常よりも高い金額で商品を購入している可能性があります。

お店側にとって負担となる決済手数料の一部を利用者に負担してもらうのは特に違法というわけではありません。しかし、電子マネーを使うことによって他の決済方法よりも高い金額になる場合があるということは把握しておく必要があるでしょう。

ハッキングなどの不正利用リスク

電子マネーは現金と違い、スマートフォン端末やカードで支払いを行うため、情報漏洩や不正利用のリスクもあります。

今でこそ、技術の進歩によりそういったセキュリティ上のリスクは低くなってきました。しかし、依然として不正利用のリスクはなくなっていません。

例えば、“スマーフォンを置いて目を離していた”、“決済画面でのパスワード入力を見られてしまった”など日常のちょっとした出来事で電子マネーの不正利用は簡単にできます。

便利に利用できる電子マネーですが、その取り扱いには細心の注意が必要であることは言うまでもありません。

暗号資産とPayPay(電子マネー)の違い

それでは本題です。PayPayと暗号資産は、両方ともデジタル決済の手段として利用できますが、その仕組みには大きな違いがあります。

発行者の有無による違い

暗号資産とPayPayの違いの一番大きな点は発行者の有無による違いがあります。

PayPayは、他の電子マネーと同じ中央集権型の決済手段です。取引の流れとしては発行元であるPayPay株式会社が決済を代行し、利用者に料金を請求といった形です。

そのため、利用できる場所や決済方法、手数料、利用限度額などはPayPay株式会社がすべてコントロールし、極端な高額支払いはできません。

制限がある代わりに信頼性が高く、加盟店が多いことが特徴です。

一方、暗号資産は中央集権型ではなく、分散型のデジタル資産です。発行元が存在せず、ブロックチェーンと呼ばれる分散台帳技術によって取引が行われます。

価格変動が激しいため、利用できる場所や銘柄はかなり限られてしまいますが、実際に取引を行う当事者が合意すれば、どのようなものでも暗号資産で支払うことが可能です。

極端な話をすれば住宅をビットコインで購入することも問題ありません。

当事者の合意のみで成立する暗号資産の取引は制限がほぼ無い代わりに、信頼性、セキュリティの観点でリスクが発生します。

法律的な違い

またPayPayと暗号資産には法律的な取り扱いの違いがあります。

まず、PayPayを始めとする電子マネーは、法的に“前払式支払手段”として分類され、電子マネーに残された残高には貨幣価値が存在します。

ですので、PayPayにチャージしたお金に関しては、法定通貨に基づいた規制が存在し、消費者保護の面でも信頼性が高くなります。

一方、仮想通貨は未だに法的な規制が整備されていません。暗号資産そのものに貨幣価値はなく、消費者保護という概念もありません。

そのため、不正取引やマネーロンダリング、カウンターパーティリスクなど、思いがけない損失が発生するリスクがあり、決済に利用する場合は最大限に注意を払わなくてはなりません。

ユースケースの違い

さらに、PayPayと暗号失資産にはユースケースの違いもあります。電子マネーは主に日常的な小額決済に利用され、商品やサービスの購入などの一般的な決済手段として利用されます。

暗号資産は、個人間取引や国際送金など、高額かつ特定の用途に限定された決済手段として利用されます。

国内で商品決済に利用する分にはPayPayが非常に便利ですが、国際間の取引には暗号資産が便利です。それぞれにリスクはありますが、上手く使い分けることで効率的なデジタル資産として利用できるでしょう。

【まとめ】それぞれの良さを比べて適切に利用しよう

PayPayは、電子マネーとして決済の便利さや消費者保護の面で利用者にとってメリットがありますが、暗号資産のように、匿名性を持った取引や国際送金など、決済以外の利用には利用できません。

反対に、決済利用には不便な暗号資産は、国際送金や匿名取引に大きな利便性を発揮します。

どちらも一長一短治デジタル資産ですが、暗号資産は価格変動が激しく、不正取引や規制の問題があるため、日常の決済手段として普及するのはまだ先になるでしょう。

最近では、暗号資産にも法的な規制が整備されつつありますが、まだまだ不透明な部分も多く、投資目的以外での利用には慎重さが求められます。

一方、電子マネーは、すでに法的な規制が整備され、安定的な決済手段として日常的に利用されています。

PayPayと仮想通貨は、共にデジタル決済手段ですが、発行元や仕組み、利用用途、リスクなどに違いがあります。利用する場合には、それぞれの特徴を把握し、自分に合ったものを選ぶことが大切です。

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執筆者 西村大樹