海外FXでも税金はかかるの?税金のルールを初心者にもわかりやすく解説

FXで一定金額を稼いだら必ず納めなくてはならない“税金”。国内の証券会社を利用していた場合、日本のルールに従って納税しなくてはならないのは何となくわかるかもしれませんが、海外の証券会社だったときには税金は発生するのでしょうか。

「海外の口座だから税金はかからないよ」

「税金は日本の投資に関する税金のルールが適用されるんじゃないの?」

と思っている方、残念ながら不正解です。

そこで今回は海外証券口座でFXをしたときの税金について、初心者にもわかりやすく解説します。

これから海外FXを始める方、海外FXで稼いでしまって税金で悩んでいる方の参考となる内容です。是非お付き合いください。

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海外FXで税金はかかるの?

海外FXであったとしても、一定以上利益が発生すれば所得税が発生します。海外の口座だからといって非課税とはならないので注意しましょう。

いくらから税金はかかる?

FXでは、1月1日から12月31日までの1年間で、20万円以上の利益が発生すると確定申告の義務が発生。確定申告をすると所得に応じて科せられる“所得税”を支払わなくてはなりません。これはFXに限った話ではなく、株式や、仮想通貨取引、副業による収入でも同じです。

仮に取引している証券会社が海外企業であったとしても、日本国内から取引している場合、日本の税金のルールが科せられます。

ただし、気を付けたいのは利益は年間ベースで計算するという点。もし1月から11月までに100万円利益が出ていたとしても、12月の損失が90万円だとすると年間の利益は10万円となり、確定申告の義務は発生しません。

反対に1月から11月まで100万円の損失が出ていたとしても12月に120万円の利益が発生すると年間利益は20万円。確定申告の義務が発生します。

この様に確定申告の義務は年間ベースで計算しなくてはならないので、月ごとに収支をまとめておくと、あとから計算しやすくなるのでオススメです。

税金がかかるタイミングはいつ?

海外FXで税金が発生するタイミングは、利益が出た瞬間です。注文したポジションを保有している間は、評価額に関わらず利益・損失の計上はせず、ポジション決済を行ったタイミングで損益を計算します。

したがって12月31日までの総利益が10万円。保有しているポジションの含み益が30万円で年を跨いだ場合、所得は10万円として計算するので、確定申告の義務は発生しません。

一方、12月31日までの利益が120万円。保有しているポジションの含み損が100万円で年を跨いでしまった場合、確定申告の義務が発生し、損失は翌年に計上されます。

決済のタイミングによって申告する金額が変動するので、年末のポジションを上手く利用すると一定の節税効果が発生します。

海外FXは税金の抜け道があるって聞いたけど?

海外FXだからといって税金に抜け道はありません。きちんと申告して、納税しないと脱税となるので注意しましょう。

ちなみに、脱税の罪は10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金。もしくはその両方が科せられます。すぐに逮捕というケースは稀ですが、申告漏れを指摘された場合、通常の税金に加えて“追徴課税”が適用されますので、ある程度稼いだら確定申告をお忘れなく。

国内FXと海外FXの違い

国内外に関わらず、FXで一定の利益が発生したら納税義務が発生することはお分かりいただけたでしょうか。

しかし、国内FXと海外FXでは税金に関するルールが異なります。国内FXのルールで税金を計算すると、申告漏れや、税金の過払いといった事態になりますので、それぞれのルールの違いを確認しておきましょう。

国内FXと海外FXの違い①税率

国内FXと海外FXでは適応される税率が異なります。

海外FXで発生する税率は次の通り。

所得額 税率 控除額※
1,000円~194万9,000円 5% 0円
195万円~329万9,000円 10% 9万7,500円
330万円~694万9,000円 20% 42万7,500円
695万円~811万1,000円 23% 63万6,000円
900万円~1711万1,000円 33% 153万6,000円
1,800万円から3,911万1,000円 40% 279万6,000円
4,000万円以上 45% 479万6,000円

海外FXでは、所得に応じて税率が変動する累進課税法が適用されるため、税率は5%から最大45%まで変動します。

一方の国内FXでは、投資による税金は一律で20.315%と決められています。海外FXと比べると、所得額が811万円までは海外FXの方が税率が低いですが、それ以降は税率が逆転。国内FXの方が税金が安くなります。

大きく稼げない初心者のうちは、海外FXでしか取引できないハイレバレッジトレードで効率よく資金を増やし、安定してい勝てるようになったタイミングで、年間収支と見合わせて国内口座に切り替える方法が最も節税効果が高いでしょう。

※控除額とは、税金を計算するときに差し引くあたいのこと。例えば4,000万円の所得に対して控除額が479万6,000円だった場合、税金は控除額を差し引いた3,520万4,000円に税率を掛けた金額となります。

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国内FXと海外FXの違い②課税方法

国内FXと海外FXでは課税方法も異なります。課税方法とは税金を計算する方法のことで、総合課税、申告分離課税などが挙げられます。

課税方法が異なると、税金の申告方法が変化するため税金を納める時には注意が必要です。

課税方法による税金の計算方法の違いは次の通り。

  海外FX 国内FX
課税方式 総合課税 申告分離課税
税率 5%~45% 一律20.315%
所得区分 雑所得 雑所得

海外FXは総合課税であるのに対し、国内FXは申告分離課税が適用されます。

両者の違いは税率の差。総合課税である海外FXは累進課税が適用され、税率は5%から45%まで変化しますが、申告分離課税である国内FXは一律20.315%で固定されています。

国内FXと海外FXの違い③損益通算ができる所得の範囲

国内FXと海外FXでは、損益通算ができる所得の種類も異なります。損益通算とは、その名の通り、1年間の所得の損益を計算、損益を確定することを言います。このとき、総合課税である海外FXは他の総合課税である雑所得との損益通算が可能です。

例えば、海外FXで120万円の利益が出ていたが、仮想通貨取引で110万円の損失が出ていた場合、これは損益通算をすることで年間の所得を10万円として計算することができます。

一方、国内FXでは、国内FXの利益、先物取引、オプション取引の所得のみ損益通算が可能です。

損益通算できる所得の種類を間違えると、想定以上の税金が発生することもあるので一定額の利益が発生している人は予め調べておくと良いでしょう。

ちなみに、損益通算をした後、所得が20万円以下になったとしても確定申告は必要です。

損益通算は、確定申告を行って初めて税務署への届け出として認められます。なので

「損益通算をしたら合計20万円以下の利益だったから確定申告はいらない」

と勘違いしないように注意しましょう。

国内FXと海外FXの違い④赤字を繰り越しできる期間

国内FXと海外FXでは赤字を繰り越しできる期間も異なります。残念なことに海外FXでは赤字を繰り越すことはできません。国内FXであれば赤字を3年間繰り越せることを考えれば、この点については海外FXが冷遇されているといっていいでしょう。

とはいえ、損益通算できる所得に幅がある分、国内FXよりも節税できる範囲が広がります。

海外FXで節税するコツ

税金面でやや不利な海外FX。しかし海外FXは日本の税制上総合課税に分類されるので、損益通算を使えば国内FX以上に節税することも可能です。

たくさん利益が出てしまったけれど税金を抑える方法はないのかな?と悩んでいる方は是非参考にしてみて下さい。

経費計上する

総合課税の大きなメリットは経費を計上できる点です。

FXに直接関わるものであればなんでも経費にできるため、

  • FXに関する書籍
  • セミナーや講習代
  • 自動売買ソフト利用料
  • パソコン購入費
  • 通信費

これらの項目は経費として計上することが可能です。ただし、経費として申告するにはレシートや領収書を保管し、帳簿を付け必要があるので、経費になりそうな領収書はすべて保管するようにしましょう。

また、通信費などFX以外にも使用した経費は家事按分といってFXで利用した分だけを申告する必要があります。全額経費にはできない点にも注意しておきましょう。

損益通算する内容を見直してみる

総合課税である海外FXは、同じ総合課税の所得と損益通算することができます。

総合課税に分類される所得には

  • 事業所得
  • 給与所得
  • 雑所得

など。多くの収入が総合課税に分類されます。

したがって副業、他口座での海外FX、仮想通貨取引など、これら総合課税に分類される所得の損益を通算し、経費計上することで課税額を低く抑えられます。

法人化する

FXを事業として法人化してしまうのも節税には大きな効果があります。法人化すると個人が確定申告する時よりも、より幅広い項目が経費として計上できるようになりますし、税率も抑えることが可能です。

法人化のメリット一覧
  •  経費計上できる幅が広がる(交際費など直接FXには関係のない項目も計上できる)
  •  実効税率の最大が約33%
  • 従業員への給与を払うことができる
  •  10年間損失繰り越しができる

特にたくさん稼いでいる人にとって、法人化するメリットはかなり大きいと言えます。累進課税が適用される個人FXの収益での最大税率は、住民税の10%を加えると約55%であるのに対し、法人では実効税率の最大値は約33%です。

もし年間4,000万円稼いだとすると、個人の場合では2,200万円の税金が発生しますが、法人では1,320万円しか発生しません。その差はなんと880万円です。

もちろん、あまり稼いでいない人にとっては、法人化はそれほどメリットがある節税方法ではありませんが、一定以上利益が出る人であれば法人化の検討を進めてみるのも一つでしょう。

入金ボーナスなども経費として計上する

海外FXによくある入金ボーナスや口座開設ボーナスも損失計上できるので、忘れずに損益へ含めましょう。

仮にボーナスを使って全損した場合、損失は入金額よりも大きくなってしまいますが、こちらは損失として計上することが認められています。

より大きなボーナスを展開している業者ほど、この恩恵が大きくなるので、リスクヘッジの意味も込めてボーナスが大きな業者を積極的に使っていきましょう。

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【まとめ】海外FXでも納税義務は発生する

例え海外のFX業者を利用していたとしても、ある程度の利益が出てしまうと納税義務が発生します。

課税方法は総合課税。その他雑所得との総益通算が可能なため、経費をしっかり精算すれば節税対策が可能です。あまりにも高額な利益が出た場合には法人化も考慮に入れると、さらに節税効果は増すでしょう。

一見すると国内FXに比べて税制面で冷遇される場面も見受けられますが、海外FXならではのハイレバレッジ、ボーナスクレジットを考慮すると、やはり海外FXは魅力的です。

税金面に関する不安は、実際に利益が出てからでも遅くはありません。最悪、よくわからなければ最寄りの税務署に確認すると詳しく教えてくれる場合もあります。

“稼いだら税金を納める”これだけ分かればFXに関する税金はばっちりです。

執筆者 西村大樹