ISM製造業景況指数とは？FX・為替市場の影響は？

米国経済の動向をいち早く映し出す先行指標のひとつが「ISM製造業景況指数」です。

製造業の購買担当者を対象に調査したデータを基に算出され、受注や生産、雇用といった経済活動の強弱を総合的に示します。

特に発表直後はドル相場を大きく動かすことが多く、FRBの金融政策見通しを占う材料としても重視されています。

本記事では、ISM製造業景況指数の特徴や非製造業指数との違い、そしてFX・為替市場への影響についてわかりやすく解説します。

ISM製造業景況指数とは？

ISM製造業景況指数（ISM Manufacturing PMI）は、米サプライマネジメント協会（Institute for Supply Management, ISM）が毎月発表する経済指標で、米国の製造業活動の強弱を示す重要なデータです。

調査対象は製造業の購買担当者で、受注や生産、雇用などの動向をアンケート形式でまとめています。

景気の先行きを示す「先行指標」としての性格が強く、米国経済全体の動きを占う上で世界中の投資家に注目されています。

ISM製造業景況指数の特徴とデータ項目

この指数は「景況感が改善しているか、悪化しているか」を示す指数で、50を境に景気拡大か縮小かを判断します。

ISM製造業景況指数のデータ項目は以下の通りです。

• 新規受注
• 生産
• 雇用
• 納入遅延
• 在庫

参考として個別に公表される主な項目：

• 仕入価格
• 受注残
• 輸出
• 輸入

特に「新規受注」「生産」「雇用」は市場で重視され、先行きの景気動向やインフレ圧力を読み取る材料として使われます。

ISM製造業景況指数はいつ発表される？

ISM製造業景況指数は毎月第1営業日の午前10時（米東部時間）に発表されます。

つまり、前月の状況を即座に反映するため速報性が高いのが特徴です。

日本時間では通常、

• 夏時間：23時
• 冬時間：0時

に公表されます。

雇用統計やCPIに比べて発表が早いため、月初の市場動向を占う重要な材料とされています。

ISM非製造業景況指数との違い

ISMは製造業だけでなく、サービス業を中心とした非製造業（ISM Non-Manufacturing PMI）も発表しています。

• 製造業指数：米経済全体の約1割を占める製造業の動向を反映。
• 非製造業指数：米経済の約7割を占めるサービス業をカバー。

製造業は変動が大きく景気の先行指標になりやすい一方、非製造業は経済全体の実態をより的確に表す傾向があります。

また、非製造指数の発表は第三営業日となっています。

市場では両者をあわせて確認することで、米国経済のバランスを把握します。

ISM製造業景況指数がFX・為替市場への影響

ISM製造業景況指数は発表直後に為替市場を大きく動かすことが多い指標です。

• 50を上回り強い結果：
  景気拡大期待が高まり、FRBの利上げ観測が強まる → ドル高要因

• 50を下回り弱い結果：
  景気減速懸念が広がり、利下げ観測が意識される → ドル安要因

また、雇用や仕入価格のデータはインフレ見通しとも関連し、CPIや雇用統計と同じく金融政策の判断材料として市場が敏感に反応します。

特に月初の重要指標として位置づけられているため、FXトレーダーにとっては必ずチェックすべきデータです。

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執筆者　西村大樹