住宅着工件数とは？FX・為替市場の影響は？

米国経済の動向を占ううえで欠かせない指標のひとつが「住宅着工件数」です。

実際に新しい住宅の建設が始まった数を示すこのデータは、住宅需要や建設業の活発さを直接反映し、消費や雇用にも波及する重要な統計とされています。

特に住宅ローン金利や景気サイクルの変化に敏感に反応するため、発表直後には株式・債券市場に加えて為替市場でも注目されることがあります。

そこで、本記事では、住宅着工件数の特徴や発表時期、他の住宅関連データとの違い、そしてFX・為替市場への影響についてわかりやすく解説します。

住宅着工件数とは？

住宅着工件数（Housing Starts）は、一定期間内に新しく建設が始まった住宅の数を示す経済指標です。

米国の住宅市場や建設業の動向を直接反映するため、景気の先行きを占う重要なデータとされています。

景気全般の動向や住宅ローン金利の変化に敏感に反応しやすく、消費や雇用にも波及効果を持つため、市場参加者から注目されています。

住宅着工件数の特徴とデータ項目

住宅着工件数は、実際に建設工事が開始された戸数を計測するもので、以下のようなデータが含まれます。

• 着工件数（季節調整済み・年率換算値）
• 住宅の種類別データ（一戸建て・集合住宅など）
• 地域別の着工件数（北東部・中西部・南部・西部）

特に一戸建ての着工は消費者の購入意欲を示し、集合住宅の着工は都市部の需要を反映するため、内訳の変化にも注目する必要があります。

住宅着工件数はいつ発表される？

この指標は米国商務省センサス局（U.S. Census Bureau）が毎月中旬（通常は前月分）に発表します。

米東部時間の午前8時30分、日本時間では夜22時30分（冬時間は23時30分）に公表されます。

速報性が高く、住宅市場や建設業の足元の動きを早期に把握できる点が特徴です。

他の住宅関連指標との違い

米国には複数の住宅関連データがありますが、住宅着工件数は「実際に工事が始まった戸数」を示す点が特徴です。

• 新築住宅販売件数：販売実績を示すため、需要側の動向を把握できる。
• 中古住宅販売件数：既存住宅の販売状況を示し、市場全体の実態を広く反映する。
• 住宅着工許可件数：建設予定段階の数を示すため、将来の供給を予測できる先行指標。

つまり、住宅着工件数は「計画」や「販売」ではなく、現実に始まった建設活動を示すため、建設業や関連産業の景気動向を直接捉えることができます。

指標名	内容・特徴	市場カバー範囲	注目ポイント
住宅着工件数	実際に新しく建設が始まった住宅数	一戸建て・集合住宅／全米	建設業や関連産業の動向を直接反映
住宅着工許可件数	建築許可が下りた住宅数	将来の建設予定	先行指標として住宅需給を予測
新築住宅販売件数	新築一戸建ての販売件数を集計	市場全体の約1割	景気や金利に敏感、速報性が高い
中古住宅販売件数	既存住宅の販売件数を集計	市場全体の約9割	米住宅市場の実態を広く反映

住宅着工件数がFX・為替市場への影響

住宅着工件数は、景気の動きや住宅需要の強弱を測る材料として為替市場に影響を与えます。

• 予想を上回る結果：建設活動が活発と判断され、景気拡大期待からドル買い要因になることがある。
• 予想を下回る結果：住宅需要の減速や景気不安が意識され、ドル売り要因となる可能性がある。

ただし、住宅市場全体を映す中古住宅販売件数などに比べると単独での影響力はやや限定的です。

それでも、住宅関連データの中で景気の先行きを早めに示す指標として、FXトレーダーにとって注視すべきデータのひとつです。

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執筆者　西村大樹