NY連銀製造業景況指数とは？FX・為替市場の影響は？

米国の製造業の動きをいち早く示す指標のひとつが「NY連銀製造業景況指数」です。

ニューヨーク州を中心とした製造業企業の景況感を調査したもので、発表時期が早いことから米国全体の製造業動向を占う“先行データ”として市場で重視されています。

本記事では、NY連銀製造業景況指数の特徴や発表時期、他の製造業関連データとの違い、そしてFX・為替市場への影響についてわかりやすく解説します。

NY連銀製造業景況指数とは？

NY連銀製造業景況指数は、アメリカの地域連邦準備銀行のひとつであるニューヨーク連邦準備銀行が毎月発表する製造業の景況感を示す指標です。

ニューヨーク州を中心とした地域の製造業を対象に、新規受注、生産、雇用、価格などの動向をアンケート調査し、景気の拡大・縮小を数値で表します。

地域指標でありながら、全米製造業のトレンドを早期に示す先行指標として、為替や株式市場で広く注目されています。

NY連銀製造業景況指数の特徴

この指数は、製造業企業の経営者に「前月と比べて良くなったか、変わらないか、悪化したか」を尋ね、その回答を集計して算出されます。

0を基準値とし、プラスなら景況感の改善（拡大）、マイナスなら悪化（縮小）を意味します。

また、調査項目は以下のような内容で構成されています。

• 総合の業況

• 新規受注

• 出荷

• 従業員数

• 仕入価格

• 販売価格

• 受注残高、納入遅延、在庫、労働時間などの動向

特に「新規受注」と「雇用」、そして「仕入価格」は景気の方向性とインフレ圧力を判断する上で市場の注目度が高い項目です。

NY連銀製造業景況指数はいつ発表される？

NY連銀製造業景況指数は、毎月15日に発表されます。

米東部時間の午前8時30分（日本：夏時間21時30分、冬時間22時30分）に公表されます。

翌月分を先取りする形で調査・発表されるため、米国製造業全体の動きを最も早く示す地域経済指標として位置づけられています。

そのため発表直後には、ISM製造業景況指数の先行的なヒントとして市場が反応するケースも多く見られます。

ISM製造業景況指数やフィラデルフィア連銀製造業景況指数との違い

製造業関連の景況感指標には複数ありますが、カバー範囲や発表時期、算出基準が異なります。

比較 項目	NY連銀 製造業景況指数	ISM製造業景況指数	フィラデルフィア連銀 製造業景況指数
発表機関	ニューヨーク連邦準備銀行	全米供給管理協会（ISM）	フィラデルフィア連邦準備銀行
対象地域	ニューヨーク州周辺	全米	ペンシルベニア州、ニュージャージー州、デラウェア州
基準値	0（プラス＝拡大、マイナス＝縮小）	50（50超＝拡大、50未満＝縮小）	0（プラス＝拡大、マイナス＝縮小）
発表時期	毎月中旬	毎月第1営業日	毎月第3木曜日
市場注目点	先行指標としてISMの動きを予測	全米の製造業を網羅	発表時期が早く市場反応を誘発

他の指標と比較すると、NY連銀指数は調査対象が地域限定ですが、発表が早く、景気動向の先読みができる点で重要視されています。

NY連銀製造業景況指数がFX・為替市場への影響

NY連銀製造業景況指数は、製造業の景況感を通じて米経済全体の方向性を示すため、為替市場でも重要な先行指標とされています。

• 指数が予想を上回る場合：製造業活動の回復やインフレ圧力が意識され、FRBの利上げ観測が強まりドル買いが優勢になりやすい。

• 指数が予想を下回る場合：景気の減速懸念が広がり、リスク回避のドル売りや円買いにつながることがある。

また、仕入価格などの物価関連項目が上昇していれば、インフレ再燃への警戒から長期金利上昇・ドル高の反応が出ることもあります。

逆に、受注や雇用が弱ければ景気後退懸念からドル売りに傾く可能性があります。

このため、NY連銀製造業景況指数はISM製造業景況指数の先行指標として、短期トレーダーにとって重要な経済イベントのひとつです。

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執筆者　西村大樹