本記事では、11月第2週に予定されている経済指標や要人発言に注目し、トレーダーが市場動向を正しく読み取るための手助けを提供します。
具体的には、経済指標の発表や重要人物の発言が、為替市場にどのような影響を与えるのか解説していきます。
※ただし、米政府閉鎖の状況により、一部指標の発表が延期される可能性があります。
11月第2週の全体像と戦略視点
11月第2週は、米国のインフレ関連データと欧州の成長指標が中心となる「物価×景気」テーマの週です。
特に、中盤から後半にかけて米CPI・PPI、欧州・英国のGDP速報値が発表され、世界経済の減速懸念と利下げ観測の行方を占う重要局面となります。
そのため、戦略としては、週前半は日本やドイツのデータでリスク動向を探りつつ、週後半の米CPI・PPIと小売売上高を軸にトレンド形成を狙う姿勢が有効です。
CPI・PPI・小売の3点セットが一致すれば方向性が明確になりやすく、逆に結果がまちまちなら一時的なボラティリティ上昇に注意が必要です。
【FX週間カレンダー】主要イベントと経済指標一覧
| 日付 | 時間 | 主なイベント内容 | 前回 | 予想 | 結果 | 注目度 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 11月10日（月） | 08:50 | 🇯🇵日銀会合主な意見（10月会合分） | － | － | － | ★★ |
| 11月11日（火） | 08:50 | 🇯🇵国際収支（経常収支） | 3兆7758億円 | ー | － | ★★★ |
| － | 🇺🇸米債券市場休場（ベテランズデー） | － | － | － | － | |
| 11月12日（水） | 15:00 | 🇯🇵工作機械受注（前年比） | ＋8.1% | ＋9.9% | － | ★★ |
| 19:00 | 🇩🇪ドイツCPI（改定値・前年比） | ー | ー | － | ★★★ | |
| 11月13日（木） | 16:00 | 🇬🇧GDP（7-9月期・前年同期比） | +1.4% | ー | － | ★★★★ |
| 22:30 | 🇺🇸CPI（消費者物価指数・前年比） | +3.0% | ー | － | ★★★★★ | |
| 11月14日（金） | 19:00 | 🇪🇺EU GDP（7-9月期・前年同期比） | +1.5% | +1.3% | － | ★★★★ |
| 22:30 | 🇺🇸小売売上高（前月比） | ー | ー | － | ★★★★ | |
| 22:30 | 🇺🇸卸売物価指数（PPI・前年比） | ー | ー | － | ★★★★ |
【FX指標｜11月10日（月）】 日銀会合主な意見
まず、週明けは日銀の「会合主な意見」が公表され、金融政策正常化への議論がどこまで進んでいるかが焦点になります。
植田総裁が「賃金上昇と物価の好循環」をどの程度確認しているかによって、円買い・円売りの反応が分かれるでしょう。
そのため、今後の政策転換時期を占ううえで、日銀内部の温度感を示す材料として注目されます。
【FX指標｜11月11日（火）】 日本国際収支／米債券市場休場（ベテランズデー）
この日発表される日本の国際収支では、貿易収支の黒字幅が拡大すれば、円買い方向の支援要因となる可能性がありますが、一方で赤字が拡大すれば、円売り要因となる可能性もあります。
ただし、米国市場がベテランズデーで債券市場が休場のため、取引量は減少しやすく、方向感が出にくい展開となりそうで、流動性の低下による一時的な値動きには注意が必要です。
【FX指標｜11月12日（水）】 日本工作機械受注／ドイツCPI
そして、水曜はドイツのCPI改定値が焦点です。
前回速報値から下方修正されれば、ECBの利下げ観測を後押しし、ユーロ売りが強まりやすいが、一方で、インフレが想定以上に粘着的な結果となれば、ユーロが買い戻される可能性もあります。
日本では工作機械受注が発表され、企業設備投資の勢いを確認する材料になります。
【FX指標｜11月13日（木）】 イギリスGDP（7-9月期）／米CPI
この日は、イギリスでは第3四半期GDPが発表され、景気の底堅さが確認できればポンド買いが優勢になりますが、 一方で、成長の鈍化が明確ならBOEの早期利下げ観測が強まり、ポンド売りに反応する可能性があります。
また、米国のCPIは為替市場の焦点。
インフレが3%を下回る結果となれば、FRBの利下げ観測が一段と高まり、ドル売り・株高が進むシナリオも。
逆に予想を上回れば、利下げ観測が後退しドル買い戻しが加速する可能性があります。
【FX指標｜11月14日（金）】 EU GDP（7-9月期）／米小売売上高／卸売物価指数（PPI）
そして、週末は欧米の景気関連指標が集中します。
ユーロ圏GDPは成長鈍化が続く見通しで、ECBの政策スタンスに影響を与える材料に、また、米国では小売売上高とPPIが同時発表され、消費と企業コストの両面から景気を測る重要イベントとなります。
小売が堅調でPPIが落ち着けば「理想的なソフトランディング」期待が高まり、ドル売り・株高になりますが、逆にどちらも強い場合は「高金利長期化」観測が再燃し、ドル買い優勢の展開が想定されます。
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執筆者 西村大樹