台湾が仮想通貨に規制をかける?

日本に対して友好な姿勢である隣国の台湾は、仮想通貨に対して日本よりも厳しい姿勢をとることが分かりました。

日本人からすると台湾は治安も良く穏やかな国のイメージがあるため、意外に思うかもしれません。
しかし、やはりそれぞれお国柄や事情があるようですよ。

仮想通貨にマネロン法を適用?

台湾の法務大臣は2018年11月までに、仮想通貨規制に関する法案を発表することを明らかにしました。

大臣の邱太三氏は、台湾国内における仮想通貨取引がマネーロンダリングなどに使われる恐れがあるとして警戒を強めています。

今後は国内の 金融監督管理委員会(FSC)・法務大臣・中央銀行・調査局と足並みを揃えて、法案やルール政策について話を進めていく予定だそうです。

しかし、この流れは突然生まれたわけではありません。
以前から台湾国内で行われる仮想通貨取引については、規制を課すべきという声が根強く存在していたのです。

それには大きな理由があるようです。

台湾ではこんな事情が……

というのも、台湾国内では仮想通貨やマイニングに関する事件が少なからず起こっていることが大きく影響しています。

最近話題になったのは台湾で、ギャングが関わる銃撃事件が起こったことが分かっています。
これは2018年4月中旬に起こった事件で、ウーというビットコインマイナーが地元のギャングから資金を受け取ったものの約束した利益を期日までに用意できなかったことで金銭トラブルに発展したようです。

ウー氏が受け取ったのは1,000元(約180万円)で、打ち合わせの席で約束通りの利益が用意できないと話すとギャングたちは銃を取り出しウー氏のくるぶしを撃ったそうです。

しかし、ここで問題なのは地元のギャングの存在です。
彼らの多くは中国本土から渡ってきたり、本土のマフィアとつながりのある人物ばかりだそう。

ちなみにウー氏がマイニングを予定通りに行われなかったのは、中国政府による規制が影響しています。

規制に抗おうとする勢力も

これらの事件や当局の動きにより、台湾では仮想通貨を規制する方向へ向かっています。
先日ヨーロッパで行われた国際的サミットでも仮想通貨規制へ舵を取ったことも影響していると見られています。

しかし、その一方でそんな状況に抗おうとする勢力も存在しています。

それは 台湾の仮想通貨取引所OTCBTCのCEOであるイーティン・チェン氏が、今年冬開かれる台北市の市長選挙に立候補することが明らかになりました。

これはチェン氏が自分のFacebookページで発表したもので、下記のURLから確認することができます。
//www.facebook.com/xdite/posts/10156390849728552

台北市は台湾最大の都市で、すでに富士通やIOTAの運営と提携してブロックチェーンを用いた市民サービスを提供する予定です。

台北市の市長選は現在までに8人の候補者が立候補しておりますが、そのほとんどが60〜70年代の高齢者です。
チェン氏は新しい経済の形に対応できるリーダーが必要だと考えており、「アジアで都市のブロックチェーン化を進められるパイオニア」と自らをアピールしているようです。

今後どうなる?

台湾は実質的には中国本土とは違う国家であると国内外にアピールしています。
日本でも台湾と中国は異なる国だとイメージする人が多いようですが、文化や人材のつながりには強いものがあるようで、本土の法規制に大きく左右させられています。

しかし、官僚の決定は一元的で時代や現状に沿っていないこともしばしばです。
日本も例外ではなく、コインチェックの事件が起きてから各企業を検査するなどルールの不備が目立っています。
若い世代が既存の価値観に立ち向かう台湾に、私たちが学ぶことは多くありそうです。

執筆者 西村大樹