仮想通貨・クアンタム(QTUM)の特徴とメリットは?リスクも解説

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の良いとこ取りをしている仮想通貨として知られているクアンタム(QTUM)は、GoogleやAmazonといった大手企業とパートナーシップ契約を結んで共同プロジェクトを進行させるなど、将来性に期待されています。

この記事では、仮想通貨・クアンタム(QTUM)の基礎知識や特徴、メリット、将来の見通しについてわかりやすく解説しています。これからクアンタム(QTUM)の取引を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

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クアンタム(QTUM)のリアルタイムチャート


仮想通貨・クアンタム(QTUM)の基礎知識

クアンタム(QTUM)は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の長所を取り入れつつ、双方が持つ問題点を解決し、ビジネスシーンでの効率性を向上させることを目的に開発されたブロックチェーンプラットフォームおよび仮想通貨です。ビジネスシーンでの活躍を目的としていることもあって、多くの企業がクアンタム(QTUM)の仕組みを採用したプロジェクトを進めています。

構想がリリースされたのは2016年で、同年12月に発行がスタート。2020年3月にCoincheckにて国内初上場を果たしました。運営主体はシンガポールにあるQTUM CHAIN FOUNDATION Ltd.です。計画開始当初から大きく注目され、新規仮想通貨公開時には10億円以上の資金調達に成功しました。2018年1月には約11,000円の最高値を記録し、今後の可能性に期待する動きも高まっています。

クアンタム(QTUM)は現在も開発が進行しており、フレキシビリティーの向上を目的としたアップデートや、公式ウォレットでもパフォーマンスを強化したアップデートが予定されています。

仮想通貨はアップデート前後に価格が上昇する傾向を持つため、クアンタム(QTUM)も同じくアップデート前後での段階的な価格上昇が見込めるでしょう。

クアンタム(QTUM)が持つ3つの特徴

クアンタム(QTUM)には、従来のプラットフォームが持つ課題への解決やビジネスシーンでの汎用性、リスクヘッジによる安定性が特徴として挙げられるでしょう。

  1. プライバシー・セキュリティー・自動化を兼ね備えている
  2. GoogleやAmazonとパートナーシップ契約を締結
  3. ネットワークの安定性が高い

詳しく解説していきます。

特徴①プライバシー・セキュリティー・自動化を兼ね備えている

クアンタム(QTUM)の最大の特徴は、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の長所を取り入れたことによる、プライバシー・セキュリティー・自動化の実現です。

残高管理の方法は「UTXO」と「アカウント形式」の2つに分類され、ビットコイン(BTC)は「UTXO」を、イーサリアム(ETH)は「アカウント形式」を採用しています。「UTXO」は取引データに基づいて残高を計算する方法で、「アカウント形式」はアカウントごとに残高を管理する方法をとっています。「アカウント形式」は、言わば私たちに馴染みのある一人ひとり持っている通帳のような考え方だとイメージするとわかりやすいかと思います。

クアンタム(QTUM)は、ビットコイン(BTC)と同じ「UTXO」という残高表示を採用しています。理由は、第三者からアカウントに対しての追跡が難しいため、ウォレットごとのプライバシーやセキュリティーが高いというメリットがあるからです。

しかし、取引が行われる度に複雑な残高管理をしなければならないというデメリットを同時に抱えることとなります。

それを解決するため、「AAL(アカウントアブストラクトレイヤー)」というクアンタム(QTUM)独自の機能を搭載しました。イーサリアム(ETH)で実現した分散型アプリケーションプラットフォーム「スマートコントラクト」を「UTXO」の土台の上でバーチャルマシンとして構築し動かしているのです。

これにより、ビットコイン(BTC)の長所であるプライバシーやセキュリティーの高さを持ちつつも、イーサリアム(ETH)が持つ自動取引契約とスムーズな取引が実現しました。

特徴②GoogleやAmazonとパートナーシップ契約を締結

クアンタム(QTUM)の開発目標は、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの従来のブロックチェーンが抱えている問題を解決しビジネス効率の改善を促進することと、ブロックチェーン経済圏の構築です。そもそもがビジネス向けに開発されたプラットフォームということもあり、GoogleクラウドプラットフォームやAmazonWebサービスとのパートナーシップ契約を締結し、分散型アプリケーションプラットフォームの構築を進行しています。

両社の提携意図は、ブロックチェーンサービス(Baas/Blockchain as a Service)の加速です。両社のサービスを利用することで、クアンタム(QTUM)のスピーディーで効率的という特徴を活かしたスマートコントラクトの開発および公開が実現するのです。

現在クアンタム(QTUM)のプラットフォームは金融や医療サービス、エネルギーなど幅広い分野で用いられ、今後エンタープライズ向けの普及も見込まれています。

特徴③ネットワークの安定性が高い

クアンタム(QTUM)のノード(ネットワークに参加しているコンピューター端末のこと)の数はビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)に続いて多く、半数は韓国に建てられているものの、ヨーロッパやアジア、北米などの世界に分散されているという特徴があります。

ノードが分散しているメリットは、ネットワークの安定性を維持できることです。クアンタム(QTUM)は災害や国家による規制によるリスクに備えることができています。

クアンタム(QTUM)が持つ3つのメリット

クアンタム(QTUM)のメリットは以下の3つが挙げられます。

  1. 信頼性に強み
  2. 報酬が得やすい
  3. スムーズなウォレット動作

1つずつ解説していきます。

メリット①信頼性に強み

クアンタム(QTUM)の創業者でありCEOのパトリック・ダイ(Patrick Dai)氏は、フォーブス誌の「30 under 30(30歳以下の30組の若手起業家)」に選出され、パトリック・ダイ氏がCEOだという信頼性からクアンタム(QTUM)を購入している人も多く存在します。

パトリック・ダイ氏は中国のAmazonと呼ばれる中国大手Eコマース企業「Alibaba Group(アリババグループ)」のデジタルエンターテインメント部門チーフを担当していました。パトリック・ダイ氏が仮想通貨業界に参入したのは2012年頃です。中国科学技術大学で博士課程にいたパトリック・ダイ氏は、当時まだ注目されていなかったイーサリアム(ETH)のスマートコントラクト技術に目をつけ、在学中に「AAL」の構想を思いついたそうです。

クアンタム(QTUM)の信頼性は、クアンタム(QTUM)に出資している著名人たちからも生み出されています。

「ビットコイン(BTC)の神」として知られているエンジェル投資家のロジャー・バー(Rpger Ver)氏やKuaiDiの創設者であるウェイシン・チェン(Weixing Chen)氏、イーサリアム(ETH)開発に携わるアンソニー・ディ・イオリオ(Anthony Di Iorio)氏、オーガー(Augur/REP)の開発に携わるジェレミー・ガーデン(Jeremy Gardner)氏、世界最大級の仮想通貨取引所を運営するOKCoinのCEOシュウ・スター(Xu Star)氏などがクアンタム(QTUM)に出資しています。

メリット②報酬が得やすい

クアンタム(QTUM)のコンセンサスアルゴリズムには、報酬を得られる確率が高い「MPoS(Mutualized Proof of Stake)」を採用しています。

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)では「PoW(Proof of Work)」を採用しており、取引記録の改ざんが難しいというセキュリティーの高さを特徴に持つ反面、早い者勝ちであることから計算力の高さが重要なのですが、それによって使用される電力の多さが問題視されています。これを解決するために開発されたものが「PoS(Proof of Stake)」で、速さよりも保持している量を優遇する仕組みになったことにより、コンピューターの性能によって左右されず、省エネルギーかつ公平性の高い取引が実現しました。

「MPoS」は「PoS」をさらに改良したものです。ブロック生成と報酬受け取りのタイミングが即座に実施される「PoW」「PoS」と異なり、ブロック生成と報酬受け取りのタイミングにタイムラグが発生するように作られ、不正なブロック生成からの報酬支払いを回避することが可能となったのです。

コンセンサスアルゴリズムとは

コンセンサスを直訳すると「合意」、アルゴリズムを直訳すると「方法」や「手順」です。仮想通貨におけるコンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンを追加する際のルールとなる「合意」を行う「方法や手順」のことを指します。

メリット③スムーズなウォレット動作

クアンタム(QTUM)には、QUTUM WALLETという「ライトウォレット形式」を採用した独自の公式ウォレット「Qtum Core(クアンタムコア)」を採用しています。

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)は、ブロックチェーン上の全ての取引をダウンロードするフルノードなのですが、フルノードはブロックチェーンのトランザクションが正しいかを自ら検証できる点からプライバシーやセキュリティーの高さがメリットである反面、データ容量が多いため動作に時間がかかるというデメリットを持ち合わせています。さらに、検証に対する報酬もありません。

対してクアンタム(QTUM)が採用している「ライトウォレット形式」は必要なブロックチェーンデータのみをダウンロードするだけで良いという特徴を持っており、これによりスマホでも管理できるスムーズなウォレット動作が実現しました。また、サーバー自体の容量を削減できるというメリットもあります。

Qtum Core(クアンタムコア)公式サイト>

さらに、公式ウォレット以外にも「Qtum Electrum(クアンタムエレクトラム)」や「Trust wallet(トラストウォレット)」、「Bitpie(ビットパイ)」といったクアンタム(QTUM)に対応しているウォレットアプリがあります。

クアンタム(QTUM)で懸念される2つのリスク

今後の将来性に高い期待が持てるクアンタム(QTUM)ですが、懸念すべき点もあります。ポイントは、仮想通貨全体が持つ課題である「環境問題への配慮」と「取り締まりの強化」です。

特にクアンタム(QTUM)では以下の2つの点が懸念されます。

  • ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の影響大
  • 中国情勢の影響大

詳しく見ていきましょう。

ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の影響大

クアンタム(QTUM)はビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の技術を持ち合わせていることもあり、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の動向による影響を良くも悪くも受けやすいです。

過去にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)ではハッキング被害を経験しましたが、今後も同じようなハッキング被害が起こった時はクアンタム(QTUM)への信頼性にも目を向けられることになるでしょう。

逆にビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)での価格上昇があった場合も、クアンタム(QTUM)の価格形成に影響すると言えます。次で詳しく解説しますが、実際にビットコイン(BTC)の下落が影響してクアンタム(QTUM)も下落の傾向を見せています。クアンタム(QTUM)を保有するのであれば、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の動向にも注目する必要があるでしょう。

中国情勢の影響大

クアンタム(QTUM)の運営主体はシンガポールに籍を持ちますが、プラットフォーム自体は中国発となっています。ノードが世界各国に分散しているとは言え、中国情勢の影響は間違いなく影響すると言えるでしょう。

2021年5月19日、中国では仮想通貨に関連する取引の取り締まり強化を発表しました。国内における銀行での仮想通貨取引の禁止や、すべてのマイニングファームに対して5月25日までにマイニングに使用しているマシンをシャットダウンするようにとの通達が実施されたのです。

同じタイミングで、米EV大手テスラ社のイーロン・マスク(Elon Musk)氏による環境問題を配慮してビットコイン(BTC)決済を停止するという発信からビットコイン(BTC)の売り注文が殺到。価格は大きく下落し、過去2番目の下落率となりました。クアンタム(QTUM)も同じく大幅下落を見せています。

ただし、今後中国は国をあげて仮想通貨へ本格的に参入するのではという見方もあり、中国と結びつきの強いクアンタム(QTUM)の動向に期待する人たちも多く存在します。

クアンタム(QTUM)の将来性は?2つのポイント

クアンタム(QTUM)の将来性について、「企業提携」と「新規上場」の2点で見ていきましょう。

企業提携の進行で長期的な価格上昇に期待

クアンタム(QTUM)はビジネスシーンでの汎用性に優れているため、今後も幅広い分野での企業提携が見込まれます。

ブロックチェーン技術は、すでに私たちの生活の中で活用が進んでいます。例えば、中古不動産流通プラットフォームサービス「Renosy(リノシー)」を運営する株式会社 GA technologies (ジーエーテクノロジーズ)は、スマートコントラクトを利用した不動産契約の自動化するプラットフォームの構築を進めており、茨城県つくば市では2018年にブロックチェーン技術を用いた日本初のネット投票が行われました。

クアンタム(QTUM)とパートナーシップ契約を結ぶ企業が増え、技術を利用したサービスが拡大していけば、価格の上昇に期待できるでしょう。

国内取引所への新規上場による価格上昇が期待

仮想通貨は新規取引所への上場をきっかけに価格が段階的に上昇する性質を持ちます。クアンタム(QTUM)はすでに国内数社で上場していますが、今後も取引を開始する取引所は増えていくと予測されます。上場する取引所が増えるということは、クアンタム(QTUM)自体の市場拡大や信頼性がアップしていくため、上場タイミングはぜひチェックしておきたいです。

【まとめ】仮想通貨・クアンタム(QTUM)は長期保有向き

クアンタム(QTUM)の特徴やメリット、将来の見通しについて解説しました。2021年7月現在は価格に落ち着きを見せているものの、これから市場規模の拡大を考えると、いわゆるガチホと呼ばれる長期保有が向いている通貨だと言えるでしょう。

中国情勢やビットコイン(BTC)・イーサリアム(ETH)の動向、投資家が発信する情報をチェックしながら取引することをオススメします。

執筆者 西村大樹