精度が高いと呼ばれるテクニカル分析の一つに“フィボナッチリトレースメント”(ハイローと呼ぶこともある)という手法があります。
この手法はフィボナッチ数列を用いた特殊な分析方法で、FXやバイナリーオプションでよく利用されています。
ところがこのフィボナッチリトレースメント、実は初心者が使うにはちょっとコツがあったり、中々慣れが必要な分析方法であったりします。そこで本記事ではフィボナッチリトレースメントの仕組みと使い方のコツを解説。
バイナリーオプションでの応用法も併せて紹介します。
「フィボナッチリトレースメントを効果的に使えるようになりたい」
「効果的なテクニカル分析の手法を学びたい」
そんな方の参考になる内容となっています。
参考記事はこちら
フィボナッチリトレースメントとは
フィボナッチリトレースメントとは、文字通りフィボナッチ数列を使って相場の押し目や戻り目を判断するテクニカル分析手法です。
具体的には直近の高値と安値を直線で結び、その間の価格をフィボナッチ比で分割。その比の値に沿った水平線を引いて分析します。
フィボナッチ数列とは
フィボナッチ数列とは、13世紀のイタリアの数学者であるレオナルド・フィボナッチによって導入された数列です。
0と1から始まり、それ以降の数が直前の2つの数の和で表される数列です。具体的には、0、1、1、2、3、5、8、13、21、34…のように続いていきます。
この数列の解説には、ウサギの繁殖モデルを使った話が有名であり、内容は次のようになります。
ウサギは1ヶ月で成熟し、繁殖を始めると仮定すると、1対のウサギが最初の月に誕生します。
2ヶ月目には、最初のウサギが成熟し、新たなウサギのペアが生まれます。
3ヶ月目には、最初のウサギのペアと新たなウサギのペアの両方が成熟し、
それぞれ新たなウサギのペアが生まれます。
この繰り返しを続けると、フィボナッチ数列が得られます。
フィボナッチ数列は、自然界や科学、数学、芸術など様々な分野で応用されています。例えば、ひまわり花の種の配置や、オウムガイの貝の殻、宇宙のスパイラルなどでフィボナッチ数列の特徴が見られます。
これらの特徴は、フィボナッチ数列の隣り合った数字の比と同じ性質を持っており、この比率を“黄金比”と呼びます。
フィボナッチ数列は数学的な興味の対象であり、その美しいパターンと性質から多くの人々に魅了されています。
フィボナッチ数列とテクニカル分析の関係
フィボナッチ数列を投資の現場で使う場合、ある一定の期間の値動きを黄金比で分割して使います。
この時、黄金比にあたるポイントでは、特定の値動きをすることが多く、上昇相場であれば押し目の判断、下降相場であれば戻り目の判断に利用したりできます。
ところがこの分析方法では、押し目や戻り目を判断する根拠は、フィボナッチ数列しかありません。
テクニカル分析で重要な、以前の価格動向や、オーダーの発注状況などは一切考慮していないのです。
これが「フィボナッチリトレースメントは運に頼っているだけのオカルト手法」
などと呼ばれる理由であり、フィボナッチリトレースメントにネガティブなイメージを持つ方の大半はこの発想からくるものです。
フィボナッチリトレースメントは全く役に立たない手法なのか
とはいえ、フィボナッチリトレースメントが全く役に立たない分析手法なのかと聞かれればそんなことはありません。
実際にチャートで分析してみると、フィボナッチリトレースメントが機能している場面が多々あります。中にはピッタリ押し目を当てていることもあります。
これは市場に参加している人の多くが、フィボナッチリトレースメントを考慮して取引をしていた証拠です。
利益確定や新規注文などのオーダーが黄金比の値に集まっているために反発や押し目がみられます。
つまり、フィボナッチリトレースメントそのものに優位性はありませんが、多くのユーザーが同じ指標を気にした結果、フィボナッチリトレースメントが機能したように見える。というわけですね。
大多数が押し目だと思ったポイントに買い注文が大量に入っていればそこから価格が急上昇するのも当然です。
フィボナッチリトレースメントは投資家心理を読むツール
こういった背景を踏まえると、フィボナッチリトレースメントの本質は、市場参加者の心理を読み解ける分析手法ともいえることが分かります。
わかりやすい押し目のポイント、サポートになりそうなライン、トレンド発生後の最初の戻り目。多くの投資家はいつもこういったポイントを探っています。
これが明確に判断できなかったとき、投資家たちは一つの目安としてフィボナッチリトレースメントを使うことでしょう。
こうすることで自分がエントリーすべきポイントの目安が付きやすくなるので、投資判断の参考にしている人も少なくないはずです。
その結果がフィボナッチリトレースメントが機能する場面だと考えられるのであれば、フィボナッチリトレースメントが機能する場面とは、“投資家たちが悩んでいる相場”と考えることができます。
これらの特徴を踏まえると、フィボナッチリトレースメントは投資家たちが次の動向を決めかねているときに機能しやすい分析手法と言えるでしょう。
参考記事はこちら
https://bitcastle.io/column/post-20019/
フィボナッチリトレースメントの使い方
フィボナッチリトレースメントの使い方はとてもシンプルです。トレンドの始点から終点に向けてポイントを設定。その価格の幅で黄金比に分割します。
黄金比は38.2%、50%、61.8%で分けられ、反応があったパーセンテージの値でその後の挙動を判断します。
では具体的な使い方を解説していきましょう。
フィボナッチリトレースメントを使う手順
フィボナッチリトレースメントを使うには以下の手順でチャートを分析していきます。
- トレンドの判断
- ツールを使ってフィボナッチリトレースメントを表示
- 反発したパーセンテージを確認
- 補助の分析ツールを導入する
順番に見ていきましょう
トレンドの判断
フィボナッチリトレースメントは、トレンドの起点や押し目、戻り目を判断する分析方法です。ですので、まずはチャートからトレンドの方向を探る必要があります。
このとき、トレンドが不鮮明であったり、わかりにくい場合は、レンジ相場になっている可能性があるので、その場合は明確なトレンドが発生するまでフィボナッチリトレースメントを使うことはできません。
ツールを使ってフィボナッチリトレースメントを表示
では実際にトレンドを見つけたらツールを使ってラインを引いていきましょう。
引き方は簡単。上昇トレンドであればトレンドの起点から一旦の最高値へラインを引き、下降トレンドであればトレンドの起点から一旦の底値へラインを引きます。
このときフィボナッチリトレースメントを描写した段階ではどこまで押すのかは分からない状態です。
その後、結果としてこの時の押し目は38.2%で反発したことが分かります。このようにフィボナッチリトレースメントはまだわからない押し目を判断するときに高価を発揮。その後トレンドは続いていきました。
下降トレンドの時は全くこの反対で、まだわからない戻り目を判断するときに役立ちます。
反発したパーセンテージを確認
フィボナッチリトレースメントでは、反発したパーセンテージでそのトレンドの強さが分かります。
例えば38.2%。このポイントで反発が始まった場合、そのトレンドはかなり強いと判断できます。
次に50%。相場格言に“半値戻しは前値戻し”という言葉があるようにこのラインでの反発は非常に重要です。
ここで反発すればまだトレンド継続の可能性もありますが、トレンドが終了する可能性も考慮しなくてはいけません。
最後に61.8%。ここがトレンド継続かどうかを示唆する最終防衛ラインです。このポイントを抜けてしまうとトレンドが終了した可能性が強くなり、トレンドの転換ポイントとなりうる場面になります。
また、このポイントでちょうど反発したとしても、その後のトレンドが続くかは懐疑的です。61.8%はトレンド継続の判定ポイントでありながら、次のトレンドを探る起点ともなりうる重要な指標と考えられます。
補助の分析ツールを導入する
フィボナッチリトレースメントを更に有効に活用するためには、他のテクニカル分析ツールを導入するのも有効です。
例えば、売られ過ぎ・買われ過ぎを判断するMACDとフィボナッチリトレースメントを組み合わせて取引する方法があります。
MACDで売買の偏りが顕著になったポイントと、フィボナッチリトレースメントの重要なパーセンテージが合致したタイミングで取引を行うことで、反発のポイントを探る制度が向上するでしょう。
これは分析ツールを組み合わせたほんの一例です。他にも組み合わせることで効果を発揮するツールはまだまだありますので、ご自身でオリジナルの組み合わせを考案してみてもおもしろいかもしれませんね。
参考記事はこちら
バイナリーオプションでの応用方法
バイナリーオプションとは、特定の金融商品の価格が判定時間時に上がっているか・下がっているかを予想する投資商品です。FXとは違い、価格の方向性を予測する取引ですので、値動きに対する損益の変動はありません。
判定時間は短いときで数分、長くても数時間が一般的です。そのため、バイナリーオプションは短期トレードの代名詞とも呼ばれていて、安定して勝つためにはバイナリーオプションに特化した技術が必要です。
フィボナッチリトレースメントの反発ポイントを狙う
短期間でトレードが完結するバイナリーオプションは、悠長に値動きを眺めている時間はありません。予想を的中させるにはピンポイントで、短期的に結果が出る場所にエントリーする必要があります。
このときフィボナッチリトレースメントを使って38.2%、50%、61.8%の付近でのみオーダーを入れておくと反発する可能性が高く、非常におすすめです。
仮想通貨のバイナリーオプションを狙う
バイナリーオプションは、仮想通貨の値動きでも挑戦できます。仮想通貨は株式や為替と異なり、トレンドの見分けが比較的簡単という特徴があり、これがフィボナッチリトレースメントとの相性が抜群です。
そもそも、フィボナッチリトレースメントはトレンドが発生していなければ機能しません。レンジ相場が多い為替の相場ではなかなか出番はありませんが、トレンドの発生が頻発する仮想通貨ではフィボナッチリトレースメントの使いどころが多数存在します。
トレンドが発生しやすい分、思うようにトレードが継続しない“ダマし”も発生しやすくなるといったデメリットもありますが、それでもエントリーポイントが増える仮想通貨のバイナリーオプションとフィボナッチリトレースメント組み合わせは挑戦してみる価値ありの手法です。
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仮想通貨のバイナリーオプションを取り扱っている証券会社はそれほど多くはありません。
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【まとめ】バイナリーオプションとフィボナッチリトレースメント組み合わせは最強
トレンドの反発点を探るフィボナッチリトレースメントは、ピンポイントの値動きを狙っていくバイナリーオプションとの相性がとても良いことがお分かり頂けたでしょうか。
「なかなかバイナリーオプションで勝てない」と悩んでいる方はもしかしたら投資家心理を読み解くフィボナッチリトレースメントを使うことで勝率が一気に向上するかもしれません。
新しい手法を試す機会にもなりますし、ぜひ一度検証してみてはいかがでしょうか?
執筆者 西村大樹