FXとは違うの?コモディティ投資を初心者にもわかりやすく解説

FX取引をしていると、使っているプラットフォームによっては“コモディティ”というメニューがあります。

コモディティとは、ざっくり言えば小麦やエネルギーを対象とした投資商品のこと。金や銀、鉄などもコモディティになります。

石油取引なんて聞くと“個人でもできるの⁉”と驚かれてしまいそうですが、実は“CFD取引”を利用すればこれらの商品も簡単に取引が可能です。

しかもコモディティは通貨ペアと違い、長期的に価値の上昇が約束された商品も多数存在。取引方法によっては高勝率で資産を築ける可能性もあります。

今回はコモディティを取り扱うCFD取引と、コモディティについて解説します。

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CFD取引とは

CFD取引とは、Contract for Difference、日本語では差金決済契約といい、金融市場での取引に使用される金融派生商品の一種です。

CFD取引の種類にはFX、暗号資産、コモディティ、エネルギーなど数多くの商品に対応。レバレッジを効かせると小資金で市場に参加できることから、個人投資家たちを中心にCFD取引を行っています。

CFD取引の特徴

CFD取引はレバレッジを効かせられるため、現物取引とは異なる特徴を持っています。

主な特徴は次の3つであり、基本的にはFXにおける特徴と同じです。

  • 取引できる資産が多岐に渡る
  • レバレッジを掛けた取引
  • 長期・短期問わず有効な取引ができる

詳しく見ていきましょう。

取引できる資産が多岐に渡る

CFDの最たる特徴は、取引対象の金融資産が多岐に渡る点です。株式、株価指数、外国為替(FX)、商品、債券など、さまざまな金融資産を売買でき、なおかつ始めやすいというメリットもあります。

さらに、CFDは“取引の対象となる資産は実際には所有されるのではない”ので、売りポジションからエントリーすることも可能です。

通常株式の信用売買で売りから入った場合、返還期限が定められますが、CFDの場合は期限は無制限。下がり続けると思った相場であれば売りポジションをホールドし続けられます。

そのため、取引戦略も広がり、FXよりもチャンスが多くなります。

レバレッジを掛けた取引

CFD取引は、証拠金を用いたレバレッジ取引が一般的です。レバレッジとは、投資家が実際に投入する資金額よりも大きな金額の資産を取引できる仕組みで、レバレッジ10倍であれば入金額の10倍。100倍であれば入金額の100倍の金額まで取引ができます。

レバレッジは倍率を高めるほど資金効率が上昇し、小資金から短期間で大きく稼げる可能性がある一方で、損失リスクもそれに応じて高まります。

ちなみに、レバレッジは、日本ではレバレッジ規制によりFXの最大倍率は25%まで、コモディティを取り扱うCFD取引では5倍までと定められています。より高いレバレッジを掛けて取引をしたい場合は、海外の取引口座を開設がおすすめです。

長期・短期問わず有効な取引ができる

CFD取引は、様々な投資商品に対して取引ができるため、長期的な投資のみならず、短期的なトレードにも適しています。例えば、短期的な取引を目的としたCFD取引であればレバレッジを大きく掛け、ボラティリティの大きな商品を選択するのが有効です。

反対に長期的なCFD取引では、株価指数など、ボラティリティが小さく長期的に上昇し続ける可能性が高い商品を取引すると、高いパフォーマンスが期待できるでしょう。

このように、自身の投資戦略に応じて、多様な金融商品を取引できるのもCFD取引ならではの特徴です。

コモディティとは

コモディティ(Commodity)とは、主に自然資源や一次産品であり、市場で取引される標準化された商品を指します。これには、小麦、トウモロコシ、コーヒーなどの農産物、原油、天然ガスなどのエネルギー資源、そして金、銀、銅といった希少金属などが含まれます。

これらの商品は、品質がほぼ均一であるため、どこで生産されても基本的に価値は変わりません。

コモディティ市場の重要性

コモディティは多くの産業の基礎となるため、経済全体に大きな影響を与えます。たとえば、原油価格の変動は、エネルギーコストや輸送費に直接影響を与え、ひいては商品価格全体に波及します。農産物価格の変動も、食料品の価格に影響を及ぼし、消費者の生活に直接関わってきます。

これらの特徴はコモディティ投資を行うときの重要な投資判断材料となり、コモディティと私たちの生活との関りを深く知っておくことが重要です。

例えば、小麦やトウモロコシを生産輸出を行っているアメリカで天候不良が続けば農産物のコモディティは上昇がみられますし、中東で政治的不安が生まれれば原油価格は上昇します。

このように、コモディティは対象となる商品の需給が価格に大きな影響を与え、場合によっては短期、または長期的に価格が大きく変化する可能性があります。

インフレ

コモディティ価格はインフレの重要な指標です。コモディティ価格が上昇すると、生産コストが増加し、最終的に消費者物価にも影響を及ぼします。

中でも、コモディティと政策金利は深い関係を持ち、各国の中央銀行はコモディティの物価上昇率から国民のインフレの度合いを調査。政策金利の方向性を決定します。

コモディティはCFD取引によって身近な投資商品に

世界各国の中央銀行や投資家が注目するコモディティ。以前は膨大な資金力が無ければ取引ができませんでしたが、最近はCFD取引の登場により、より身近な投資商品となりました。

コモディティ市場への参入ハードルが下がったことで、コモディティ先物取引やETF(上場投資信託)を通じて、個人投資家によるコモディティ取引が活発化。これにより、投資ポートフォリオの多様化やリスクヘッジが可能となりました。

コモディティの取引方法

コモディティの取引方法は基本的に取扱業者のプラットフォームを利用します。海外のFXブローカーでは為替の他にコモディティも取り扱っているところが多く、口座を一つ開設しておけば簡単に取引が始められます。

特に金や銀などの希少金属への投資は取り扱い業者も多く、比較的始めやすい商品といえるでしょう。

反対に農産物のコモディティは種類が多岐に渡るため、取引業者によっては取り扱っていない商品もあるので注意が必要です。

ETFとコモディティファンド

また、コモディティ投資は、ETF(上場投資信託)やコモディティファンドを通じて、コモディティ市場に間接的に投資することもできます。

商品毎に取引をしないことでリスクが分散し、リスクヘッジの手段として有効です。長期的な目線でコモディティ投資を始めるのであれば、ファンドによる運用を利用するのは投資戦略として非常に有効です。

コモディティ投資は取り扱う商品によって特徴が大きく異なります。ここからは商品毎のコモディティの特徴を簡単に紹介していきます。

コモディティの種類

農産物

小麦

主な用途 パンやパスタなどの主食製品の原料
主要生産国 アメリカ、カナダ、ロシア、オーストラリアなど
季節性 収穫期に価格が下落し、栽培シーズンには価格が上昇する傾向があります

小麦は世界中で主要な食料源であり、価格変動が食品価格に直接影響します。気象条件や政治的状況が価格に大きな影響を与え、主要生産国の地政学リスクは市場価格の大きな変動を引き起こします。

比較的多くの取引業者が取り扱っており、小麦を含めた農産物をまとめたETFが人気です。

コーヒー

主な用途 飲料用として消費される
主要生産国 ブラジル、ベトナム、コロンビア、エチオピアなど
品質差 アラビカ種とロブスタ種の違いにより、価格や用途が変化

コーヒーもコモディティとしては一般的です。しかし、コーヒーのみを取引できるCFDを用意している取引業者は少なく、基本的には農産物関連のETFに含まれて取引されます。

比較的価格も安定しており、急騰・急落は少なめです。しかし、コーヒーは世界で最も取引される農産物の一つのため商品の需要は常に高め。気候変動や病害虫の発生が供給に影響を与えた場合には、価格変動が大きくなります。

エネルギー資源

原油

主な用途 燃料(ガソリン、ディーゼル)、プラスチック、化学製品の原料
主要生産国 サウジアラビア、ロシア、アメリカ、イラン
価格指標 WTI(西テキサス中質原油)とBrent(ブレント原油)が主要な価格指標

原油はエネルギーの基盤であり、その価格は世界経済に大きな影響を与えるコモディティです。地政学的な緊張やOPEC(石油輸出国機構)の生産調整が価格に影響を与え、価格は常に高止まりを維持しています。

電気や原子力など、今後の主力となる可能性のあるエネルギーの登場により今後も価値が高まり続ける保証はありませんが、少なくとも直近で価値が暴落する可能性は少ないでしょう。

単品で取り扱っている業者も多く、取引は容易です。

天然ガス

主な用途 発電、暖房、産業用途
主要生産国 ロシア、アメリカ、カタール、イランなど
輸送方法 パイプライン輸送やLNG(液化天然ガス)として輸送される

天然ガスはクリーンエネルギーとして注目されており、発電や産業用途での需要が増加しています。価格は地域的な市場要因と輸送コストに影響。単品での取り扱い業者は少なく、投資はETFを通じて行うのが一般的です。

天然ガスの輸送コストには原油価格が影響する為、価格にはある程度の相関性が見られますが、石油に比べると需要が少ないため、産出国の地政学リスクによる価格高騰は限定的です。

金属

主な用途 投資資産、ジュエリー、電子機器など
主要生産国 中国、オーストラリア、ロシア、アメリカ
価格指標 ロンドン金市場(LBMA)が主要な価格決定市場

金は「安全資産」として、経済不安やインフレ時に需要が高まります。中央銀行の金保有政策や宝飾品需要が価格に影響を与え、長期的には常に値上がりを続けている金融資産です。

CFD取引の取り扱い業者は多く、気軽に始められますが、ボラティリティが非常に大きく、過度なレバレッジ取引は非常に危険です。

ロンドン市場が開いている時間に活発に動き、FXと同じような感覚で取引できることから初心者にも始めやすいコモディティといえるでしょう。

主な用途 電線、配管、電子機器
主要生産国 チリ、ペルー、中国、アメリカ
需給バランス 経済成長やインフラ投資が需要を左右する

銅は「経済のバロメーター」として知られ、経済活動の活発さを反映します。需要はインフラ整備や電気自動車の普及により増加傾向。近年は電子デバイスの普及や、電気自動車の台頭により銅の価格は上昇を続けています。

金に比べると取り扱い業者が少なく、取引コストは高めです。しかし、半導体や電子機器の需要が高まり続ける現代において、銅は長期的な投資資産として保有しておくのも悪くないかもしれません。

鉄鉱石

主な用途 鉄鋼の原料
主要生産国 オーストラリア、ブラジル、中国、インド
価格指標 大手鉄鋼メーカーの長期契約価格が指標となることが多い

鉄鉱石は建設や製造業の基盤であり、その価格は世界経済の健康状態を反映します。中国の需要が特に価格に大きな影響を与えるため、チャイナショックの近辺ではボラティリティが非常に大きくなりました。

鉄鉱石のCFD取引は取り扱い業者が少なく、ETFなどで購入するのが一般的。世界情勢や主要各国の経済成長率によって需要が大きく変化する為、予測が難しい投資商品です。

【まとめ】コモディティ取引は簡単に始められる

コモディティ市場は、各商品の特徴と市場ダイナミクスによって複雑かつ多様です。農産物、エネルギー資源、金属それぞれが異なる需要と供給の要因に左右され、その価格変動は経済全体に影響を与えます。これらのコモディティを深く理解することで、経済や投資の動向を把握より詳しく把握できるようになるでしょう。

闇雲に投資をする必要はありませんが、私たちの生活に密接するコモディティ。興味があれば挑戦してみるのもいいかもしれません。

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執筆者 西村大樹