貴金属は古来よりその希少性と美しさから人々に愛され、富の象徴として扱われてきました。現代においても金、銀、プラチナ、パラジウムといった貴金属は、ジュエリーだけでなく投資対象としても重要な役割を果たしています。
特に近年は貴金属のCFD(Contract for Difference、差金決済取引)が注目を集めており、手軽に貴金属市場でチャレンジできると人気に。
しかし貴金属のCFDはボラティリティも大きく、リスクが高いため、中々手が出せずにいる人も少なくないでしょう。
そこで本記事では、貴金属のCFD取引の特徴について詳しく解説。初心者が取引をするときの注意点などをまとめてみました。
ぜひお付き合いください。
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目次
CFD取引とは
まず、CFD取引の基本について説明します。CFDとは、売買の対象となる資産の価格変動を利用して利益を狙う金融商品の一種です。実際に資産を保有することなく、その価格変動に対して投資を行う商品で、私たちに馴染みのある、FXも為替のCFDといえます。
価格変動に対してのみ投資ができるCFDは、価格上昇(ロング)や価格下落(ショート)の両方の方向で取引が可能となるため、上昇相場、下降相場ともに取引のチャンスがあります。売りから入れる分、エントリータイミングが増えますが、その一方でポジションを持ちすぎる、通称“ポジポジ病”にも掛かりやすいなどのデメリットには注意が必要です。
また、CFD取引はレバレッジを活用できるため、少ない資本で大きな取引を行うことも可能です。取引チャンスが多く、レバレッジによって小資金でエントリーできるCFD取引は資金効率が非常に良い投資商品といえるでしょう。
貴金属CFDの特徴
貴金属はその希少性、工業用途、そして歴史的価値から、独自の価格動向を持つ投資対象です。しかし、その値動きや特徴は金属の種類によって大きく変化します。
FX同様、勝つためには銘柄の特徴を押さえることが最優先です。以下には金属ごとの特徴をまとめていきます。
金(ゴールド)
ゴールドは安全資産としての認識が強く、経済不安やインフレーション時に価格が上昇しやすい傾向にあります。一般的な利用方法にはジュエリー、投資用金地金、電子機器などがありますが、市場に大きな影響を与えるのは経済不安などの要因が主となります。
取引市場のボラティリティは非常に大きく、ハイリスク・ハイリターンなCFD取引の銘柄といえるでしょう。
CFD取引を提供している業者では比較的にスタンダードに取り扱われており、市場への参加ハードルは低めです。
銀(シルバー)
シルバーは工業用途が多く、金と比較して価格変動が激しいという特徴があります。ゴールド同様装飾品にも利用されますが、多くは電子機器、太陽光パネル、医療機器などに使用されます。
市場の値動きのクセとしてはある程度ゴールドとの相関はあるものの、経済不安によって大きな値動きを見せることは稀という点。
とはいえ、そもそものボラティリティが非常に大きいため、唐突な暴騰、暴落には注意が必要です。
プラチナ
プラチナは、自動車触媒やジュエリーに多く使用されます。産出量が少なく、特定の地域に依存しているため、供給リスクが高く、工業需要と投資需要のバランスが価格に影響を与えます。
プラチナの主な産出国は南アフリカ。なんと世界の生産量のほとんどを占めています。そのため、南アフリカの情勢不安や、輸出ルートの寸断といった事象が発生した場合には、価値が急騰するリスクがあります。
特に南アフリカは、紛争や、政治暴力、犯罪など、諸外国に比べて治安が安定していません。こういった地域性の問題も価格リスクの一つてして懸念されます。
需要が高く、価値が極端に下がることは考えにくいので、十分なリスクヘッジの上で買いポジションを維持し続けることが大切かもしれません。
パラジウム
主に自動車触媒に使用される。近年、自動車業界の規制強化により需要が増加。プラチナと同様、供給リスクが高い貴金属です。
ちなみに、パラジウムはプラチナの副産物として一緒に産出されるケースが多く、こちらも南アフリカが主な供給元となります。
ゴールドやシルバーに比べて流通量が少ないものの、最近ではパラジウムETFなどの登場により需要は上昇傾向。CFDでも取り扱い業者が増えてきています。ボラティリティが非常に高い銘柄のため、投資はレバレッジを下げるなど、慎重な立ち回りが重要です。
貴金属のCFD取引のメリット
CFD取引を通じて貴金属に投資することには、多くのメリットがあります。
主なメリットは次の通り。
- レバレッジ効果
- 柔軟な取引
- 低コスト
- アクセスの容易さ
詳しく見ていきましょう
レバレッジ効果
CFD取引はレバレッジを利用することができ、少ない資本で大きな取引を行うことが可能です。これはもちろん貴金属にも有効で、本来莫大な資金がいる貴金属投資を低資金で始められるのは資金効率の向上に繋がります。
柔軟な取引
貴金属CFD取引は24時間取引が可能です。市場が閉まらないため、市場の急な変動にも迅速に対応することができますし、空いた時間に短時間でトレードするなど、自由度の高い取引ができます。
また、ロングとショートの両方のポジションを取ることができ、価格の上昇・下降にかかわらず利益を狙うこともできるため、取引スタイルを柔軟に変化させられます。
社会人の方など、まとまった時間が取りにくい方や、夜間にしか市場をチェックできない人にとっては大きなメリットでしょう。
低コスト
現物取引に比べて、CFD取引は取引手数料が低く抑えられることが多いことも特徴の一つです。また、現物を保持するわけではないので、保管コストや輸送コストも掛かりません。
アクセスの容易さ
CFD取引はオンラインプラットフォームを利用することで、世界中どこからでも簡単に取引を始めることができます。証券会社の店頭でしか取引できなかった時代を考えると、今の市場へのアクセスのしやすさは、誰にでも簡単に投資に挑戦できる大きなメリットといえるでしょう。
貴金属のCFD取引のデメリット
メリットが大きい貴金属のCFD取引。しかし、CFD取引にはデメリットも存在します。これらを理解し、リスクを適切に管理することが重要です。
- レバレッジリスク
- 手数料とスプレッド
- 信用リスク
- 市場リスク
レバレッジリスク
CFD取引は、レバレッジを利用することで利益を大きくすることができますが、その分損失も拡大します。特に予期せぬ市場の動きにより、大きな損失を被る可能性があるため、過度なハイレバレッジは大変危険です。
手数料とスプレッド
多くのCFD取引では、スプレッド(売買価格の差)がかかります。特に貴金属ではスプレッドが大きくなりやすく、想定よりも取引コストがかかる可能性も考慮しておかなくてはなりません。
また、スプレッドが小さい業者では取引手数料がかかることもあります。これら2つの取引コストは長期的な取引において利益を圧迫する可能性があり、損失リスクを合わせて資金管理をすることが大切です。
信用リスク
CFD取引は証券会社やブローカーとの取引となるため、その取引先との信用リスクが存在します。特に、ハイレバレッジトレードをする場合など、海外口座を利用するときには信頼性の高い業者を選びましょう。
市場リスク
貴金属の価格は政治的、経済的な要因に大きく影響を受けます。例えば、中央銀行の政策変更や地政学的リスクなどは大きなトレンド転換のきっかけになることも。経済指標以外にも価格変動を生む要因が多岐に渡るため注意が必要です。
貴金属CFD取引の戦略
貴金属のCFD取引を成功させるためには、効果的な戦略を立てることが重要です。以下にいくつかの基本的な戦略を紹介します。
トレンドフォロー戦略
市場のトレンドを追従する戦略です。価格が上昇トレンドにある場合はロングポジション、下降トレンドにある場合はショートポジションを取ります。テクニカル分析は比較的シンプルで、移動平均線やトレンドラインを用いてエントリーポイントを見極めます。
最も投資の王道とされるトレンドフォロー戦略は、長期的に見て勝てる可能性が高く、初心者におすすめです。
しかし、トレンドフォロー戦略は、短期的に見ると一時的に含み損が大きくなることや、エントリーしたとたんに逆行することも少なくありません。ある程度の損失にも耐えられるよう、適切なレバレッジと資金力のバランスを考慮しながらのエントリーが重要です。
逆張り戦略
価格が極端に動いた際に、逆方向のポジションを取る戦略です。例えば、急激な価格上昇後にショートポジションを取るなど、短期的な値動きを狙ってエントリーをします。
テクニカル分析はおもに過去の価格データをもとに分析するオシレーター系を利用して、反転のサインやエントリーのポイントを探っていきます。
デイトレーダーやスキャルパーの多くは逆張り戦略を使っており、なるべく含み損をせずに確実に利益を稼ぐスタンスを取っています。
リスク管理
投資戦略の中には、効果的なリスク管理を中心に考えた取引戦略もあります。リスク管理の徹底は成功の鍵とも言われており、レバレッジの適切な設定や、損失を限定するためのストップロス注文は、勝ち続けるための必須テクニックといってもいいでしょう。
リスク管理の基本的な考え方は“1回の損失額を資金の5%以内に収めること”。
こうすることで、トレードの試行回数が増え、優位性のあるトレードを繰り返すほど利益が増えていきます。
リスク管理の方法はこれだけではなく、期待する利益と許容できる損失の割合からポジション数を考える“リスクリターン比率”や総利益と総損失の比率から優位性のある取引を検証する指標である“プロフィットファクター”など、管理方法は無数にあります。
トレード戦略だけではなく、リスク管理の方法もしっかりと勉強しておきましょう。
ニュースとファンダメンタル分析
貴金属の価格はニュースや経済指標に影響されやすいため、これらの情報を常にチェックし、価格動向を予測します。このような分析方法をファンダメンタル分析といい、チャートデータやインジケーターではなく、世界動向から市場の方向性を読み取っていきます。
例えば、中央銀行の金利政策からその国のインフレ率や、景気動向を予測。景気が良く設備投資が増えているのであれば、シルバーやプラチナなど、工業製品に大きく影響する貴金属の価値が高騰すると予測できます。
これはあくまで非常に簡単に予測した結果ではありますが、ファンダメンタル分析はこういった経済の移り変わりを多角的に分析して相場を予測します。
非常に難易度の高い投資戦略ではありますが、極めれば経済市場全体の動きが見えるようになるため、最低限の知識と勉強はしておいて損はないでしょう。
【まとめ】貴金属のCFD取引は簡単に始められる
貴金属のCFD取引は、レバレッジの利用や市場の双方向性など、多くのメリットを持っています。しかし、同時に高いリスクも伴うため、慎重な取引が求められる一面も。
とはいえ、適切なリスク管理と効果的な取引戦略を駆使することで、貴金属市場の魅力を最大限に引き出すことは誰にでも可能です。
CFD取引の特徴を理解し、賢く投資を行うことで、貴金属市場での成功を目指しましょう。
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