米消費者物価指数（CPI）の結果と為替市場の反応

10月24日（日本時間21時30分）に発表された米国の9月消費者物価指数（CPI）は、前年比＋3.0％と市場予想（＋3.1％）をわずかに下回り、インフレ鈍化を示す結果となりました。

市場では、

「物価の上昇圧力が着実に和らぎつつある」

「FRBによる利下げ決定がさらに現実味を帯びた」

との見方が広がり、株式・債券・為替の各市場が即座に反応しました。

特に為替市場では、ドル円が発表直後に一時152円前半まで下落した後、米10年債利回りの4％台維持を背景に再びドル高に戻るなど、「インフレ鈍化×金利差維持」という複雑な力関係が意識された1日でした。

本記事では、

を整理し、今後のFOMC利下げ判断やドル円相場への影響を展望します。

米消費者物価指数（CPI）の結果

10月24日に発表された9月の米消費者物価指数（CPI）は、市場予想をわずかに下回る結果となりました。

インフレの勢いがやや落ち着きを見せる一方で、依然として高止まりの印象も残ります。

まずは、その中身と構成を確認してみましょう。

9月の米消費者物価指数（CPI）は、前年同月比＋3.0％（予想＋3.1％）とわずかに下振れしました。

前月（＋2.9％）からは小幅な上昇で、インフレ圧力は緩やかに続いているものの、勢いはやや鈍化しています。

前月比では＋0.3％（予想＋0.4％）と、こちらも市場予想を下回りました。

内訳を見ると、エネルギー価格が＋1.5％上昇し、なかでもガソリンが＋4.1％と大きく伸びました。

電気（＋0.5％）や天然ガス（＋1.2％）も上昇し、総合指数を押し上げる主因となっています。

一方、コアCPI（食品・エネルギー除く）は前月比＋0.2％と前回の＋0.3％から減速。

前年同月比では＋3.0％と、前月・予想の3.1％を下回りました。

品目別では、航空運賃（＋2.7％）や衣料品（＋0.7％）が上昇した一方で、

中古車（▲0.4％）や自動車保険（▲0.4％）、通信（▲0.2％）が下押し要因となりました。

また、住宅関連コストの伸びも落ち着きを見せ、総合的には「エネルギー上昇がコアの鈍化で相殺された構図」といえます。

この結果を受けて、市場では「インフレ鈍化の流れを確認した」との見方が広がっています。

今回の発表は、米政府機関の一部閉鎖（シャットダウン）によるデータ収集の遅れを経て行われました。

発表が後ろ倒しになったことで注目度が高まり、市場では「インフレが想定以上に落ち着いているか」が焦点となっていました。

結果的に、インフレは「緩やかに鈍化」という評価が多く、急激な物価上昇再燃への懸念は後退。

そのため、10月FOMCの市場見通しでは、「連続利下げ濃厚」との見方が優勢となりました。

CPI発表直後、為替市場では一時的にドル売り・円買いが優勢となり、ドル円は152円前半まで下落しました。

しかしその後、米長期金利（10年債利回り）が4.0％台を維持したことでドルが下支えされ、

最終的にはドル円は152円台半ばまで持ち直し、円安ドル高方向に戻しました。

米金利が高止まりする一方で、日本側では金融緩和姿勢が続くとの見方が強く、

「インフレ鈍化→利下げ観測」よりも、金利差による円売り圧力のほうが意識された形です。

金利差の行方

FRBがFOMCで利下げを決定しても、米長期金利が4％前後で推移すれば円安基調は維持されやすい。
一方で、FRBが「連続利下げ」に踏み切れば、金利差縮小により一時的なドル安圧力が強まる可能性。
日銀の政策スタンス

10月30日の金融政策決定会合では「現状維持」の報道多数。
植田総裁の発言トーンが「物価目標への自信」を強調するかどうかに注目。
リスクイベント前後のポジション整理

FOMC・米中会談・日銀会合などイベント集中週では、発表直後の乱高下に注意。
短期筋のドル買い戻しや円売り巻き戻しが入りやすい。