仮想通貨の中でも、ゲームやアプリなどを中心に多くのユーザーから注目を集めているイーサリアム(ETH)。
送金しようと思ったらガス代が必要と言われ、ただ何となく支払っている方も多いのではないでしょうか。
ウォレットによってはガス代の初期価格が高く設定されていることもあるため、知らないうちに損してしまっていることも十分考えられます。
この記事では、イーサリアム(ETH)のガス代の概要と損しない価格設定の方法を解説します。
目次
仮想通貨イーサリアム(ETH)について
引用元:イーサリアム公式サイト
イーサリアム(ETH)がリリースされたのは2015年7月。
Vitalik Buterin(ヴィタリック・ブテリン)氏が、分散型アプリケーションが利用できるプラットフォーム開発しました。
使用する通貨はEther(イーサ/ETH)。
プログラムを簡単に作り変えられる自動契約システム「スマートコントラクト」を持ち合わせており、取引部分を自由に書き換え可能です。
最近では、DApps(分散型アプリケーション)の開発やNFTアートなどを通して注目されることも増えています。
興味がある方はこちらの記事を参考にしてください。
また、2021年9月30日からは株式会社リアルワールドと株式会社REAL FINTECHがイーサリアム(ETH)などの仮想通貨(暗号資産)をデジタルギフト・サービス「RealPayギフト」に追加したということでも話題になりました。
仮想通貨イーサリアム(ETH)のガス代の役割
イーサリアム(ETH)を利用する際に知っておきたいのがガス代です。
ガス代とは送金やスマートコントラクトの実行、ストレージを使用する際に支払う手数料を言います。
「イーサリアム(ETH)のガス代=燃料」と考えると分かりやすいかもしれません。
ここでは、ガス代を理解するうえで役立つ基本情報をいくつかお伝えします。
①ネットワークやサーバーへの負担過多を避ける
ガス代をユーザーが支払うことで、ネットワークやサーバーに大きな負担がかかることを意図的に避けています。
イーサリアム(ETH)には過去に不正アクセス被害「Dos攻撃」に遭った経験があり、スパムや悪質なbotへの対策という意味でもガス代を導入しています。
これにより、あらかじめ設けられている上限に達するとマイナーは作業を停止できるため、トラブルを未然に防げるようになっているわけです。
②マイナーの作業効率を高める
ガス代を設定することは、日々多くのトランザクション承認に必要なデータ計算処理を行うマイナーの作業効率を高めることに大きく貢献していると言えるでしょう。
マイナーはユーザーが設定するガス代の一部を報酬として受け取っています。自分が行った作業が給与に反映されるとなれば、ガス代が高く設定されているものを優先的に作業するのは当然です。
これによりトランスザクションが混雑しやすくなり、ガス代高騰を引き起こす要因になっているとも言われています。
ガス代をそれほど高く設定せずに申請すると、混み具合によっては承認されるまで時間がかかる可能性が高いと思ってください。
申請状況の確認方法
引用元:Etherscan公式サイト
ガス代を設定し申請した後は、「Etherscan」というサイトを利用するといいでしょう。
申請が承認されたかどうか、ガス代に関するデータや承認までにかかった時間などが簡単にチェックできます。
ガス代高騰でガスリミットを最高額に引き上げ
ガス代の高騰を受けて、2021年4月にガスリミットを過去最高額となる約1500万円にまで引き上げました。ガスリミットとは、マイナーが作業する際に設ける手数料の上限値を言います。
ガス代高騰は以前からイーサリアムネットワークにおいて問題視されている問題。
最近は、スマートコントラクトを実装したエコシステムにおいて、より公正で透明性のあるマイナー報酬の実現を目指す研究開発組織「Flashbots」の採用を進めています。
これにより、ユーザーにとって避けたいガス代高騰という苦しい状況は、回復の兆しを見せ始めているという意見もあります。
仮想通貨イーサリアム(ETH)のガス代の計算方法
ガス代の計算方法は以下のとおりです。
ガス代(Gas)=Gas Price(Gwei) × Gas limit(UNITS)
ガス代を高く設定するには、Gas PriceのGwei(ギガウェイ)を高く設定しなければいけません。
ちなみに、1Gweiはイーサリアム(ETH)の10億分の1となる0.000000001ETH、標準ガス価格は41Gweiとなっています。
仮想通貨イーサリアム(ETH)ガス代の決め方を紹介
「できるだけガス代を節約したい」という方も多いのではないでしょうか。
使用するウォレットによっては、適正価格よりも高い価格でガス代が設定されていることもあるため、十分注意しましょう。初めて使用する場合は、ガス代がいくらで設定されているのかチェックしておくと安心です。
ここでは、サイトを活用してガス代を節約して決める方法を2つ紹介します。
①ETH Gas Stationでガス代の価格をチェック
ガス代を節約するためには、まずは適正価格をチェックしましょう。
ETH Gas Station(イーサガスステーション)を活用すれば、トランザクションの込み具合をすぐに確認できます。初めてガス代を設定するといった方も、その時々の状況に合わせて損しない価格でガス代を設定できるでしょう。
この場合だと、承認スピードを速めるためには92GweiをGas Priceとして設定したほうがいいということが読み取れます。
②Gas Nowでガス代が高い時間帯を把握する
ガス代は時間帯によって価格が変動しやすいため、Gas Nowを使用して高い時間帯を把握することをおすすめします。
出典:Gas Now
2021年9月25日から10月1日までの1週間で表示されています。
この期間で最も高いのは10月1日8時の421Gwei、安いのは9月25日19時20時の32Gweiです。その差は389Gwei。
ガス代を安く済ませたいと考える方は、慎重にタイミングを見極めることをおすすめします。
残ったガス代は返金される
承認スピードを速めるために高いガス代を設定し申請した場合でも、計算処理後に余ったガス代はユーザーにきちんと返金されます。
「優先的に処理したから」ということで、ガス代を全て消費されてしまうわけではありません。
仮想通貨イーサリアム(ETH)のガス代の注意点
承認スピードはトランザクションの込み具合によって異なります。タイミングによっては、トランザクションが大混雑してしまうこともあるため注意しましょう。
申請から承認まで急いでいない場合は問題ないのですが、急ぐ場合は適正価格よりも高いガス代を設定し、マイナーに少しでも早く承認してもらえるように努力することをすすめします。
【まとめ】仮想通貨イーサリアム(ETH)のガス代の設定は慎重に
今回は、イーサリアム(ETH)の概要と利用時に必要となるガス代について解説しました。送金時にガス代を設定する際は、初期設定のまま申請すると場合によっては損することも考えられます。
記事内で紹介したサイトを活用して、希望する取引スピード実現に向けてガス代を設定してみるといいでしょう。
執筆者 西村大樹