アマゾンがビットコイン決済の導入を期待されてしばらく経ちます。去年初頃には一度本格導入の噂が囁かれたのですが、今だに実現にはいたっていません。今回はビットコイン決済の可能性と、何が導入を阻んでいるのか、超えるべきそのハードルは何かについて解説したいと思います。
目次
アマゾン子会社、仮想通貨データに関する特許取得
17日に公開された文書によると、アマゾンの子会社であるアマゾンテクノロジーズが、仮想通貨取引データを取得できるストリーミングデデータマーケットプレイスの特許を取得しました。
このシステムは、ビットコインアドレスなどの仮想通貨のデータのやり取りも可能で、将来的、本格的ななビジネス展開につながるのではないかと期待されます。
リアルタイムのデータ配信が可能
ストリーミングデータとは、インターネットに接続しながら数百、数千のデータを連続して再生できるシステムのことです。単なるダウンロード方式とは違い、データを受信しながら再生できるために処理時間も短縮できます。
仮想通貨に関連する部分は特許文書の中で、「電子小売業者は発送先住所とビットコイン取引データを組み合わせ、相関性のあるデータを作成し、組み合わせたデータを結合データストリームとして再発行できる」と書かれています。
つまりデータを利用したい顧客は申し込みすることでこのデータサービスを利用できるようになります。
アマゾンでのビットコイン決済は未だ実現せず
ただ、水面下のいろいろな展開にもかかわらず、噂されているアマゾン自体のビットコイン導入は遅れています。去年の夏場頃から、アマゾンが本格的にビットコイン決済を導入するのではないかという噂が市場で囁かれるようになって、さらなる買いを呼んでビットコインの上昇を加速させていた時期もありました。しかし現実には今年4月に至るまでビットコイン決済は実現していません。それにはいくつかの理由があります。
アマゾンがビットコイン決済を導入していない理由
ビットコインの値段の上下が激しすぎる
第一の理由に、仮想通貨の値動きの大きさが挙げられます。
ビットコインは去年6月頃には30万円(日本円換算)でしたが、年末には200万円台に上昇。その後は一時60万円付近まで暴落しました。短期間で値段が6倍になり、3分の一になるような動きです。このような激しい値動きは仮想通貨ならではのもので、ドル円相場なら考えられないことです。
これほど値動きが大きいので、もしビットコイン決済を導入すると業績が安定しなくなる可能性があります。せめてドル円かユーロドルくらいに動きが落ち着いてこないと、大手企業のビットコイン決済導入は難しいでしょう。
ビットコイン決済には時間がかかる
ビットコインはひとつの取引にその性質上10分間かかります。これは商品の決済にかかる時間としてはあまりに遅すぎます。将来的にライトニングネットワークなどが実現化されれば別ですが、現在のビットコインの能力ではアマゾンのような巨大なネット販売ではまだまだ導入は難しいでしょう。
特にビットコインはその人気の高さから処理能力の限界まで取引が増えて、混雑は慢性的なものになっています。まずは決済が数秒ですむようにならなければ、アマゾンや楽天のようなネット大手での導入はありえないでしょう。
アマゾンは仮想通貨に高い関心を寄せている
しかし、アマゾンが仮想通貨やブロックチェーンの技術に高い関心を寄せているのは事実です。
将来的にはドルや円のような国際通貨と同じように仮想通貨で決済ができるようなシステムが導入されるでしょう。
アマゾンは世界一とも言われる2.4兆円もの資金を研究開発費に使っています。これからはかなりの部分がブロックチェーンの研究にも使われていくはずです。
まとめ
アマゾンの子会社が取得した特許文書の中に、ビットコインに関する記述があったということですが、これからはこういう事例も増えていくと思います。
ビットコイン決済がいつ始まるかというのも重要な話題ですが、アマゾンの研究開発の中にブロックチェーン技術がどう位置づけられるかも、これから大事になってくるでしょう。
執筆者 西村大樹