「仮想通貨と暗号資産の違いがよく分からない」
「暗号通貨は仮想通貨と何が違うのかよく知らない」
初めて仮想通貨について調べようとしたときに、暗号資産や暗号通貨といった言葉が出てきて混乱してしまった人は意外に多いのではないでしょうか。
この記事では、仮想通貨と暗号資産の違いについて解説します。仮想通貨の特徴や種類、電子マネーとの違いについても説明するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
仮想通貨と暗号資産に違いはない
仮想通貨と暗号資産に大きな違いはなく、どちらも電子データであり、暗号化された財産的価値のことを指します。
厳密に言えば、仮想通貨は暗号通貨とも呼ばれるデジタル通貨、暗号資産は仮想通貨(暗号通貨)を含むデータ資産と表現できます。
“仮想”というと、「現実ではないもの」として怪しい・危険といったマイナスイメージがあるため、暗号通貨や暗号資産を好んで使う人が多いようです。
海外では暗号資産・暗号通貨
海外では、「Virtual Currency(仮想通貨)」、「Cryptocurrency(暗号通貨)」、「Crypto asset(暗号資産)」と呼ばれています。
国際会議などの国際的な場においては「Crypto asset(暗号資産)」と表現されるため、こちらが国際基準と言えるでしょう。
最初はゲーム通貨のようなものだった?
2008年に最初の仮想通貨(暗号資産)であるビットコイン(BTC)が誕生しましたが、当初はオンラインコミュニティ内で使われるゲーム通貨のようなものでした。
ある時「誰かビットコインとピザを交換しないか?」と発信されたメッセージに対して、実際に1万BTCとピザ2枚の交換が成立したことが、ビットコイン決算の始まりだとされています。
それまでおもちゃの通貨だったビットコインが、現金と同じ地位を得ることになったこの事例はまさに歴史的瞬間と言えるでしょう。ちなみにこれをきっかけに、交換が成立した5月22日は「ビットコインピザデ―」と呼ばれているそうです。
▼ビットコイン(BTC)について詳しく知りたい方はこちら。
日本の法令上の呼称は暗号資産
現在日本の法律では「暗号資産」という呼称が使われています。
もともとは、2017年に資金決済法(仮想通貨法)が改正されたことにより、法律で使われる「仮想通貨」という呼び方が一般的でした。ですが、金融庁によって2020年5月1日に施行された「資金決済法・金融商品取引法等の改正」によって、法令上の呼称が「仮想通貨」から「暗号資産」に変更になったのです。
なぜなら、国際基準にあわせるため。また、仮想通貨だと日本円などの法定通貨と混同してしまう可能性もあるからです。暗号資産は需要と供給のバランスによって価値が変わるため、法定通貨との誤解を生んでしまう状況は避けなければなりません。
▼仮想通貨(暗号資産)の用語について知りたい方はこちら。
消費税の扱いは暗号資産より仮想通貨が分かりやすい?
以前、仮想通貨は「資産(モノ)」とされていたので、消費税の対象となっていました。
しかし、2017年7月の改正資金決済法によって定義が「支払い手段」に変更。これにより、仮想通貨購入時の消費税は撤廃されました。(※購入時と支払い時の二重課税になるため)
通貨と資産の言葉だけみると少しややこしいですが、「暗号資産はデジタル通貨として支払いに使える」と覚えておけば大丈夫です。
暗号資産の利益は雑所得・事業所得
2017年の時点で、国税庁は仮想通貨の取引で生じた利益は「雑所得」にあたると見解を示しています。
ただし、トレーダーなど事業として取引を行なっている場合は事業所得という扱いになる場合が多いようです。その線引きについては税務署によって意見が異なるため、詳しくは問い合わせる必要があります。
現在は暗号資産と呼称が決められていますが、その扱いや認識に関してはまだ浸透していない部分も多いのが現状。税金についての法律は、しっかりとチェックしておきましょう。
▼仮想通貨(暗号資産)の税金や確定申告について知りたい方はこちら。
今後も暗号資産の呼び方が変わるかも?
これまで仮想通貨から暗号資産へと呼称が変わりましたが、今後も変わる可能性がないとは言えません。「通貨」なのか「資産」なのか、各国の法改正によって定義が変われば、また呼び方も変わることもあるでしょう。
とはいえ、日常で「仮想通貨」という呼び方が禁止されたわけではありません。一言で説明するのが難しいものだからこそ、仮想・暗号・通貨・資産の言葉の組み合わせは用途によって使い分ける、という認識で良いでしょう。
仮想通貨(暗号資産)の特徴や仕組み
仮想通貨(暗号資産)はインターネットを通じてやり取りされる通貨ですが、ブロックチェーン技術によって暗号化され、安全に取引されているのが特徴です。
暗号化通信や電子署名に使われるハッシュ関数SHA-256を利用したそのブロックチェーン技術によって、取引の際に資金が盗まれるなどのハッキング被害にあうこともほぼありません。
▼ブロックチェーンについて詳しく知りたい方はこちら。
仮想通貨(暗号資産)の定義
資金決済法では、仮想通貨(暗号資産)は下記のように定義されています。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
また、日本銀行では仮想通貨(暗号資産)の性質を下記のように説明しています。
(1)不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できる
(2)電子的に記録され、移転できる
(3)法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない
仮想通貨(暗号資産)を使うメリット3つ
仮想通貨(暗号資産)を使う上でのメリットは、低コストで安全に決済・送金できることです。
特に手数料が安くなるという点では、普段から取引回数が多い人にとって嬉しいポイント。送金(消費者)側、お店側ともにメリットがあるので、利用の場はますます広がっていくことが予想されます。
①海外送金が早くて安い
仮想通貨(暗号資産)を使って海外送金を行なうと、即時決算できるだけでなく、手数料が数百円程度ですみます。受領側はドルなどの法定通貨に変換して出金する必要がありますが、トータルの手数料が安いのが特徴です。
銀行を使った場合は日数もかかるうえに大体2,000円以上、オンラインバンキングでも1,000円ほど。中継銀行を利用すると余分にかかりますし、為替手数料も必要になるので受領分が減ってしまいます。
②募金や資金調達に便利
1円などの法定通貨の単位に縛られず、募金やクラウドファンディングで送金することができるのも仮想通貨(暗号資産)の利点です。
国内海外問わず、送金した金額ほぼそのままを相手に受け取ってもらえるので、今後もさまざまな利用シーンが増えていくと考えられます。
③店はクレジットカード決済よりも手数料が安い
お店で仮想通貨(暗号資産)での支払いを可能にした場合、決算代行会社を利用したとしても代行手数料は1%程度。支払い決算にかかる時間もわずか10分ほどです。
もしクレジットカード決済を導入する場合、お店は専用のカードリーダーを用意したり、決算ごとに10%ほどの手数料を払わなくてはいけません。さらに入金まで数日かかってしまうので、仮想通貨(暗号資産)とくらべると負担が大きいと言えるでしょう。
仮想通貨(暗号資産)を保管する際のリスクや注意点
安全に取引ができる仮想通貨(暗号資産)ですが、保管する際には注意が必要です。
通常は仮想通貨(暗号資産)を売り買いできる取引所か、ウォレットと呼ばれる仮想通貨の財布に入れて保管します。保管する場所によってリスクが異なるので、メリットやデメリットを理解したうえで利用することが大切です。
▼おすすめウォレットについては、こちらもあわせて参考にしてみてください。
仮想通貨取引所
仮想通貨取引所のマイページ上など、オンライン上で保管します。取引所が管理するので安心感がありますが、取引所に対するハッキングやアカウント流出などに注意が必要です。もし被害に遭った場合、通貨を紛失する可能性があります。
▼仮想通貨取引所については、こちらも参考にしてみてください。
モバイルウォレット(ホットウォレット)
専用アプリをスマートフォンにインストールして保管します。持ち運びができて取引もしやすいですが、インターネットに接続しているためハッキングやウイルス感染などに注意が必要です。また、スマートフォンの故障もリスクの一つと言えます。
▼ウォレットのメリット・デメリットについては、こちらも参考にしてみてください。
コールドウォレット
インターネットから切り離して保管します。主にパソコンに専用のソフトウェアをインストールする「デスクトップウォレット」、専用端末をUSB接続する「ハードウェアウォレット」、データを紙に印刷した「ペーパーウォレット」の3種類です。
インターネットに繋がっていないので安全性は高いですが、パソコンや端末が壊れたり、紙が劣化したりして通貨を紛失する可能性があります。
▼ペーパーウォレットについて詳しく知りたい方はこちら。
【オススメ】100%コールドウォレット管理の「ビットキャッスル」
仮想通貨取引所「ビットキャッスル(bitCastle)」は、コールドウォレットを採用しています。
仮想通貨をオフライン上で管理しているので、万が一ハッキングを受けても被害を最小限に抑えられる強靭なセキュリティ環境を実現。ほとんどの資産をその管理下に置いているので、安心して保管しておくことができます。
仮想通貨(暗号資産)の種類
仮想通貨(暗号資産)は、世界中で6,500種類以上存在しています。主にビットコイン(BTC)と、それ以外のアルトコイン(オルトコイン)に分けられるのが特徴。
アルトコインで有名なものには、イーサリアム(ETH)やライトコイン(LTC)、リップル(XRP)などがあります。
また、価格変動が少なくなるよう設計された、ステーブルコインと呼ばれる種類の仮想通貨も存在します。特に人気があるのは、米ドルのペッグ通貨であるテザー(USDT)です。
≪ペッグ通貨≫
ドル・ユーロ・円・元などの法定通貨の価値に連動する仮想通貨。送金や決済に利用されることが多い。
▼ステーブルコインやテザー(USDT)について知りたい方はこちら。
仮想通貨(暗号資産)と電子マネーの違い
電子マネーは法定通貨をデジタル化したものなので、仮想通貨(暗号資産)とは異なります。
あくまで法定通貨の代替であり、決算手段として使われる通貨です。そのため、電子マネーのまま第三者に送金することはできません。
【まとめ】仮想通貨と暗号資産の違いはないが推奨は後者
仮想通貨と暗号資産に違いはなく、どちらも暗号化された財産的価値を表している言葉です。
現在の日本の法律では、国際基準にあわせるため「暗号資産」という呼称が使われています。
暗号通貨と呼ばれることもあり、今後も法改正によって定義が変われば呼び方が変わることもあるかもしれません。
執筆者 西村大樹