「NFTは写真データで稼げるって本当?」
「プロの写真家じゃなくてもできる?」
この記事では稼ぎにくいと言われている写真家やフォトグラファーの収入構造を、ガラッと変えてくれる『NFT写真』について解説していきます。
「NFT写真」の作り方や販売までの手順についても解説していきますので、この記事を読めばNFTでの稼ぎ方について具体的な手順を知ることができます。
稼ぎを増やしたい写真家の方、お手軽に趣味を副業としたい方は是非最後まで読んで頂き、判断材料の一つにして貰えれば幸いです。
目次
NFT写真とは
NFTとは「Non Fungible Token」の頭文字をとったもので、日本語では非代替性トークンと呼ばれています。
非代替性トークンとは、ブロックチェーン上で発行された、唯一無二のデータのことです。
スマホやデジカメが普及した現代において、写真の多くはデジタル化されています。撮った写真を現像する必要があった時代とは異なり、大量のコピーや2次利用が容易なことが、デジタルデータの特徴です。
そこで、デジタル写真をNFTマーケットプレイスにアップロードすることでNFT化を行い、改ざんされづらく、オリジナルとコピーの明確な区別が可能となります。
写真をNFTにすることで、オリジナルの所有権を明確にでき、また多くのNFTマーケットプレイスがロイヤリティ機能を導入しているため、オリジナルのクリエイターは2次流通による収入を得ることもできます。
ロイヤリティ機能とは?
「ロイヤリティ」は、「王族」や「王位」、「気品」などを意味する英単語「royalty」が語源となっているカタカナ語。
皇族や王室などを表す時によく使われる単語だが、「特許権使用料」や「印税」といった意味も持っており、幅広いシーンで使われている。
例えば、NFTで写真を出品するにあたり、ロイヤリティを10%に出品したとする。すると以下のように、継続的に10%の利益が手元に届き続ける。
- AさんがBさんに5万円で転売したら5,000円のロイヤリティ
- BさんがCさんに8万円で転売したら8,000円のロイヤリティ
- CさんがDさんに6万円で転売したら6,000円のロイヤリティ etc
写真データをがたくさんの人の手に渡りながら出品者の利益も確保できるのは、NFTならではの特徴
「NFT写真」販売の準備
NFTマーケットプレイスでの写真販売にあたって、写真を売る「NFTマーケットプレイスの選定」、および取引に必要な暗号資産を入れる「財布(ウォレット)の作成」が必要です。
NFTマーケットプレイスの比較一覧
今回はおすすめのNFTマーケットプレイスを5つ(国内2つ・海外3つ)の基本情報を一覧にまとめました。
それぞれ取り扱うコンテンツや手数料などが異なるため、利用を検討する際の参考にしてください。
プラットフォーム名 | 取扱コンテンツ | 決済通貨 | 日本円対応 | 手数料 |
CoincheckNFT(β版) | ゲームアセット トレーディングカード |
イーサリアム ビットコイン 他 【計13通貨】 |
× |
販売手数料:10% 出庫手数料:0.01~0.16ETH |
AdambyGMO(β版) | デジタルアート | イーサリアム |
〇 クレジットカード |
販売手数料:5% 決済手数料 :3% (クレカ決済の場合) 振込手数料:300円 (日本円取引の場合) |
OpenSea | デジタルアート ゲームアセット トレーディングカード デジタルミュージック ブロックチェーンドメイン ユーティリティトークン |
イーサリアム MATIC(Polygon) Klaytn |
× |
販売手数料:2.5% |
Rarible | デジタルアート ゲームアセット フォトグラフ デジタルミュージック |
イーサリアム WETH |
× |
販売手数料:2.5% |
SuperRare | デジタルアート | イーサリアム |
× |
販売手数料:3.0% ギャラリー手数料:15% |
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上記のように多くのNFTマーケットプレイスは日本円に対応していないため、日本円で取引したい方は仮想通貨を購入・送金するための取引所の口座を用意する必要があります。
オススメの取引所、参考記事はこちら
「NFT写真」成功事例
NET写真を利用して、大成功を収めた事例をいくつか紹介していきます。
意外な写真が驚くほどの高値で取引されていますので、今後NET写真を始める方は是非参考にしてみてください。
事例① インドネシアの男子学生の場合
【1月15日 AFP】インドネシアの大学生が自撮り写真のコレクションを非代替性トークン(NFT)化して販売し、その売り上げが合計100万ドル(約1億1400万円)を超えたことがインターネットで話題となっています。
中部スマランの大学でコンピューターサイエンスを学ぶスルタン・グスタフ・ゴザリさん(22)は5年間ほぼ毎日、パソコンに向かう自分自身の姿を撮影してきました。
当初、この写真は大学卒業に合わせてタイムラプス動画を作成するために撮影したそうなのですが、ブロークチェーン技術を学ぶ内に「ゴザリの毎日」と題してNFTの売買プラットフォーム「オープンシー(OpenSea)」に写真をアップロードすることを思いつきました。
写真の価格は3ドル(約340円)で販売されたが、当初ゴザリさんは「こんな写真を欲しがる人なんて誰もいないだろう」と思っており、それを踏まえての価格設定だったそうです。
写真は2021年12月からアップロードを始めたが、2022年1月、有名シェフが写真を購入し、自身のソーシャルメディアでゴザリさんを紹介すると売り上げが急増。それから数日間で400人以上が無表情なゴザリさんの写真の所有権を購入し、需要増に伴って14日には1枚の価格が暗号資産(仮想通貨)価格で0.247イーサリアム(Ethereum、約9万1800円)となり、同日午後の時点でコレクションの売上合計は100万ドルを超える317イーサリアムに達しました。
将来アニメスタジオを開くことが夢だというゴザリさんは、今回の売り上げを投資に回す意向で、今後も大学卒業まで毎日自分の写真を撮り続けるつもりだそうです。(c)AFP
イーサリアムについての参考記事はこちら
事例② 日本の小学生の場合
次は、写真ではなくNETアートなのですが、日本の小学三年生である通称「Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)」くんが夏休みの自由研究として作ったピクセルアートが約80万円の価格で取引されています。
8月の下旬、都内で働く草野絵美さんの長男(8歳)が『12歳の少年が「おかしなクジラたち(Weird Whales)」と名づけた自作のNFTコレクションを売り、約110イーサ(ETH、約4000万円)を稼ぎ出した 。』というニュースに興味を持ったのが始まりでした。
母親である絵美さんも東京藝術大学の非常勤講師であり、同時にアーティスト活動をする音楽ユニットのメンバーでした。
そこで、「夏休みの自由研究としてやってみる?」と提案。ドット絵が描ける無料のアプリをiPadにダウンロードし、大好きなマインクラフトのゾンビと図鑑や絵本で知った虫や動物たちの絵を掛け合わせてピクセルアートを描くことにしました。
「0.006イーサ(ETH、当時の値段で約2300円)」ほどで最初の作品3枚を売り出した結果、9月9日時点でZombie Zooが出品しているアート全48点の合計の取引高は9.9ETH(約380万円)にまで膨れ上がっていました。
しかしこの全てが収益になるわけではありません。
イーサリアムの取引が追跡できるサイト「イーサスキャン(ETHSCAN)」で「ZombieZooKeeper」のアドレスを見てみると、一時販売や二次販売手数料を含め、売り上げとして入ってきているのは、2.3ETH(約80万円)ほどのようです。
Zombie Zoo Keeper(ゾンビ飼育員)くんは今回の出来事で「最初売れた時は嬉しかったんですが、だんだんお金が溜まりすぎて、それでいいのかなあって。あんまりお金が多すぎたら、人生が変わってしまいそうで」と冷静なコメントを残している。
写真の販売をするのならば最大手の販売プラットフォームを持つマーケットプレイス、OpenSea(オープンシー)がおすすめです。
「NFT写真」のメリットとデメリット
NFTで写真を販売するにあたって、メリットだけでなくイーサリアムブロックチェーンを用いることによるデメリットも存在します。
その特徴をよく理解した上で、利用しましょう。
NFT写真のメリット
NFTが作成されると、制作者は写真データが他の誰かに販売されるたびに手数料を獲得します。
例を挙げるには、絵画がオークションで新しいコレクターに売られるたびに、画家が手数料を集めることができるという著作権のようなシステムです。コピーの総数と手数料の量は、NFT が作成されるときに決定されます (このプロセスは、ミンティングと呼ばれます)。
ほとんどの場合この手数料は仮想通貨で支払われます
プロの写真家がNFTで販売するメリットとして、自慢の作品を簡単に有料出品できることがあげられます。
写真家にとって自分の撮影した写真集を世に出すことは、大きな目標の1つです。しかし出版社などに所属していない場合、写真集の制作には多大な費用がかかります。
また、出版社を通さず自費販売するとなると、印刷所を探したり書店に営業をかけたりと、写真家活動と並行して準備しなければならず、かなりの時間と体力を消費することとなるでしょう。
しかし、NFTネットワークを利用することで、SNSに写真をアップロードするような感覚で自分の作品を簡単に世に送り出すことが可能です。
さらに、制作した写真データは製作者自らが価格を設定(もしくはオークション)をすることができます。
写真家以外の方であっても、自分の趣味や創作物をたくさんの人に知ってもらえるメリットがあります。
例えば、アイドルやタレントがブロマイドを販売する・自作の雑貨や小物の写真を売るなど、多数の人に見てもらうことを目的として利用できます。
NFTは世界中から注目されているネット商材です。その注目度を利用したユーザーも多数存在します。
NFT写真のデメリット
イーサリアムブロックチェーンの仕組みを使ったNFTでは、ガス代と呼ばれる手数料が必要です。この手数料は、写真販以外の販売ジャンルでも支払う必要があります。
ガス代は固定されておらず、時期によって金額が変わることが特徴です。仮想通貨であるイーサリアムの取引量が増えると、ガス代も高騰する仕組みがあります。
制作のタイミングによっては何万円ものガス代がかかり、出品の初期費用が必要となるので注意が必要です。
(ガス代の金額計算は利用するマーケットプレイスによって異なります。)
また、ネットワーク上での取引となるため、販売できる製品はデジタル化する必要があります。
写真でいうと、フィルムで撮った写真やネガは、デジタル化しなければ写真として販売できません。NFTは、デジタルデータの売買を専門としているためです。
ゆえに写真をアナログからデジタルへ変換し、NFTで販売できる形式に整えて出品する必要があります。
NFTの仕組みを活用してどうしても物理的な写真を販売したい場合は「購入後に写真集を受け取る権利証明」などを販売するなどの、工夫をする必要があります。
売れる写真を制作するには?
「NFTでよくわからない絵が数百万円で売れた」という話を聞いたことがあるでしょうか?
2021年3月、海外のオークションサイトで1つのデジタルアートが「約75億円」で落札されました。
これがきっかけでNFTは、世界的に注目を集めることとなったのですが、NFTで写真を販売しても、最初から大きな注目を集めることは難しいです。
いくら、NFTが多くのコレクターが注目するコンテンツであるといっても、顧客の需要を満たしていなければ購入されません。
ただでさえインターネット上では、著作権フリーの無料でダウンロードできる素材サイトがありふれているのです。お金を払ってでも購入したいと思わせる工夫がなければ、販売は難しいでしょう。
ここでは売れる写真を出品するための3つの小技を紹介します。
商業利用を許可する
写真を販売する大前提として、商業利用の許可をだす必要があります。
購入者の大半は、出品されたデータの二次利用を目的としています。ものにもよりますが、わざわざ写真データを個人所有のために購入する人間はほとんどいません。
購入した写真で商品販売の広告やWebデザインに広く活用してもらうことで、多くの顧客に対しアプローチすることができます。
また、商業利用する際にあなたの情報をクレジットとして入れてもらえば、知名度アップや他の出品写真の宣伝にも繋がります。
人物や著作物を撮影する
上記でも述べたように写真を販売する上で、「著作権」と「肖像権」はネックとなります。
逆に言えば、「著作権」と「肖像権」をクリアした商品は限られてくるということです。
特に写真データを商業利用などの利益目的で不特定多数の人々に発信する場合、使用できる写真データは限られてきます。
需要に対して供給が足りない人物写真などは高い評価を得られることが多いのです。
英語で宣伝する
そもそも、「NFT」の利用者は外国のユーザーが圧倒的に多いです。
特にTwitterでは多くのNFT系海外インフルエンサーが誕生しています。英語で発信して海外のインフルエンサーたちに注目してもらえれば、大きな拡散力を期待できます。
NFTで写真を出品する際のタイトルや説明文でも、英語と日本語の表記を併用してみてください。
「NFT写真」を販売する上での注意点
1.コンテストに出した写真や仕事で撮った写真は著作権を調べる
コンテストに応募した写真や仕事で撮った写真は、著作権について確認しておきましょう。
仕事で撮影した写真は雇い主に著作権が写る契約を結んでいることがほとんどですし、まれに「応募時点で主催者側に著作権を寄与」という規約があるコンテストも存在するためです。
あなたが撮影した作品であっても、雇い主や主催者側が権利を持っていれば、NFTで写真を販売する行為は権利侵害になってしまいます。
最近ではそのようなフォトコンテストは減ってきていますが、昔に撮影した写真を販売するときは権利元をよく確認しておきましょう。
また、上記でも述べたように人物や建物を移した写真は、販売するにあたり許可が必要です。
権利の所在には十分な確認をしましょう。
2.非公式の手段で転売される可能性がある
NFT形式の写真販売で、非公式の転売を絶対に防げるというわけではありません。
いくらNFT化を行い改ざんされづらくなっているとはいえ、写真は他のデジタルデータと比べるとスクリーンショットなどで簡単にコピーを作成されてしまう商材になります。
あたかも自分が撮影したかのような形で、転売に手を出すユーザーがいるかもしれません。権利侵害を伴った不正な販売に備え、出品時の説明文で明確にルールを書いておくことが大切です。
NFTは「唯一性」がキーワードとなり注目を集めていますが「NFTなら絶対にコピーされない唯一の作品となる」というわけではありません。十分な注意の上、このリスクを理解しておく必要があります。
3.アップロードできるファイルサイズが限られている場合がある
NFTの販売先である「NFTマーケットプレイス」ごとに、アップロードのファイルサイズがことなります。
例えばRaribleでは30MBまでのアップロードに対応しています。スマホの写真で1〜1.5MB、一眼レフカメラの高画質な写真で7MB以上になるので、大ボリュームすぎる写真集を作るのは難しいでしょう。
とはいえ、基本的に商業利用されやすい写真は高画質なものが多いです。ファイルサイズに注意しつつ、高精度な作品を目指しましょう。
【まとめ】
今回は「NFT写真」の作り方や販売までの手順と「NFT写真」での稼ぎ方について解説しました。
プロの写真家だけでなく趣味でカメラをしている方や宣伝目的の利用など、注意点やデメリットはありますが優れた副業となりえるプラットフォームです。
各マーケットプレイスをよくチェックして、自身のニーズに合った「NFTマーケットプレイス」を利用するようにしましょう。
執筆者 西村大樹