「NFT写真って何だろう?」
「普通の写真とは違うの?」
NFT写真とはアーティストや写真家が撮影した画像をNFTに変換したものです。
最近ハイテク分野のニュースなどを見ると「NFT」という言葉を見る機会が増えたのではないでしょうか?NFTはコピーの出来ないデジタルデータのことで、アーティストたちの間では自分の作品をNFTにして公開や販売を行う「NFTブーム」が起きています。
NFT写真は今後、写真家やアーティストたちの新しい収入源となり、仮想通貨とのつながりもより深くなっていくことが予想されます。しかしNFTの販売市場はまだ始まったばかりで、作成方法に分かりやすいマニュアルもないばかりか、信頼のおけるNFT取引所やNFT写真専門の販売所を見つけるのも容易ではありません。
本記事ではNFT写真について、NFT写真作成の基本や実際に販売するにあたって知っておくべきことを4つにまとめてますのでNFT写真に興味がある、NFT写真家になってみたい、という方は是非最後まで読んでいってください。
目次
その①、NFT写真について
まずはNFTとはどういった特徴があるのか、なぜNFTが注目されているのかについて確認しておきましょう。
NFTとはnon-fungible token(非代替性トークン)といいブロックチェーン上で稼働する暗号資産の一種です。NFTは唯一無二のトークンであり、そのデータをコピーすることはできません。
NFTとして変換できるデジタルデータは画像、動画、音楽など様々なメディアに対応しており、NFT化されたメディアコンテンツは異なるフォーマットで閲覧、視聴が可能です。
写真やアートなどのデジタルデータはコピーやスキャンが容易にできるため希少性といった付加価値を付けることは困難でしたが、NFT化してデジタルデータを唯一無二にすることでデジタル作品に希少性を持たせることができるようになりました。
これによってクリエイターたちはデジタルの分野でも創作活動を開始し、新しい作品が毎日のようにアップロードされています。
NFTでのお金の稼ぎ方には他にどのようなものがあるの?と思った方は以下の記事も参考にしてみてください。
NFTの稼ぎ方に関する詳しい記事はこちら
NFT写真の長所と短所
NFT写真のメリットは一枚の写真から唯一無二のNFT写真を複数発行できると言う点です。通常の写真であればオリジナルは1枚しか存在しない為、収益はその1枚の作品からしか得られませんが、NFT写真として発行すれば発行した分のNFT写真がすべて収益となります。
NFT写真はそのすべてがオリジナルとなるので同じNFT写真でも1つずつシリアル番号などが異なり、希少価値を維持したまま同じ構図のNFT写真を販売することができます。
しかしこのメリットは同時にデメリットともなり、NFTはその希少性から価値が生まれます。なので大量に作成された同じ作品のNFTは作品そのものの価値を下げてしまうことになるので、結果として作成にかかったコストに見合わない価格でしか売れない場合があります。
仮に1つずつシリアル番号が異なっていたとしても10,000番といった大きな数字にまでなってしまうとあまりプレミアムな価値を感じられなくなってしまうのは想像に難くないかと思います。
自分がクリエイターとなってNFTを作成する際は1つの作品を大量にNFT化するのではなく多くの作品を少しの数だけNFT化すると大きな価値が生まれるでしょう。
その②、NFT写真の作成方法
NFT写真を作成する手順を説明します。NFT写真の製作は非常に簡単で、まずベースとなるNFTを作成し、作成したNFTに写真のデジタルデータを載せたら完成します。
NFT自体の作成方法もシンプルで、仮想通貨取引所で、独自の暗号資産を上場(取引可能な状態に)させるだけです。NFTの作成が仮想通貨取引所に上場するのとどんな関係があるの?と疑問を持たれた方もいるかと思いますが、NFTも暗号資産の一種で、作成とは取引ができる状態のことを意味しています。
なのでNFTの作成とは暗号資産の上場ということになるわけです。
以下ではNFTを個人で作成し販売できるようにするまでの代表的な方法をフローチャート式で簡単に説明していきます。
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- STEP.01準備
- まずはNFT取引ができる仮想通貨取引所のアカウントを作成します。おすすめの取引所はBinance,Kraken,crypt.comなど大手の仮想通貨取引所が安心です
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- STEP.02入金
- NFT取引に使用したい仮想通貨取引所のアカウントにログインしたら、法定通貨を入金します
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- STEP.03購入
- 入金が完了したらETH(イーサリアムのブロックチェーンで稼働する暗号資産)を購入します。ちなみにETHの購入は仮想通貨取引所によってクレジットカードやデビットカードでも購入可能なため、その場合はSTEP02の法定通貨の入金を飛ばしても問題ありません
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- STEP.04転送
- 購入したEHTを「MetaMask」などの暗号資産を預け入れるためのウォレットに転送します。この時暗号資産用のウォレットを持っていなければ先に作成しておきましょう
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- STEP.05作成
- ETHを転送したウォレットをNFTマーケットプレイスに接続し、マーケットプレイス側で用意しているプラットフォームで転送されたETHをベースにNFTへ変換します。この時ETHからNFTへの変換はプラットフォームが自動で行ってくれます
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- STEP.06上場
- 作成したNFTに写真などのデジタルデータをアップロード(ミンティング)し、NFT写真を作成。ウォレットを通してNFTマーケットプレイスにガス代(手数料)を支払うことで上場が完了しNFT写真の販売が可能になります
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NFT写真の作成から販売までのイメージ画像 -
その③、NFT写真の販売方法
実際にNFT写真が完成したらNFTマーケットプレイスで販売します。NFTマーケットプレイスはメジャーなものからマイナーなものまで様々ですが、なるべくユーザーの多いマーケットプレイスで販売した方が購入見込みのユーザーが多く、収益が得られやすいでしょう。
- OpenSea
- SuperRare
- Rarible
- MakersPlace
- Bitski
上記の中でも特にOpenSeaは利便性に優れたプラットフォームと利用者の多さからNFT写真の販売にはおすすめです。しかしOpenSeaでNFT写真を販売するにはすでにOpenSeaに登録しNFTを販売しているクリエイターからの招待を受ける必要があります。
やや排他的なサービスではありますが会員制のSNSが当たり前のように普及していたことを考えるとさほど問題にはならないのではないでしょうか。
もし招待を受けられない方はFoundationというマーケットプレイスも使いやすくて便利です。
OpenSeaでNFT写真を販売する方法
ではOpenSeaを利用して実際にNFT写真を販売する流れを前述のNFTの作成手順を踏まえて詳しく解説します。
①OpenSeaのアカウントを作成する
まずはOpenSeaのアカウントを作成し、暗号資産ウォレットを接続します。接続するウォレットをはNFTを作成するときに準備したMetaMaskを利用するといいでしょう。
②ファイルのアップロード
OpenSeaにNFT化したい写真やデータのファイルをアップロードしてNFT写真を作成します。OpenSeaのプラットフォームではあらゆるファイル形式に対応しています。
- JPG
- PNG
- GIF
- SVG
- MP4
- WEBM
- MP3
- WAV
- OGG
- GLB
- GLTF
アップロードできるファイルサイズは最大で100MBとなっていて、少し大きな画像データも問題なくアップロードできます。
③オークションを作成し商品説明を入力する
アップロードが完了したら販売するNFT写真のオークションを作成します。オークションの種類は入札方式か、価格固定方式か選択することが可能で、好みの販売方式でオークションが行えます。
ほかにもオークションの設定はプライバシー、スタート価格、販売時期といった条件を細かく指定することができ、出品者の都合の良いオークションが開催可能です。
そして忘れてはいけないのが商品説明です。出品したNFT写真には商品説明を記載する部分があるので詳細に記載しましょう。ユーザーは出品されているNFTの説明を見ることで購入の判断を決めており、NFTは現実に手に入る「モノ」と違うので、特に正確な情報の記載が収益につながります。
また説明欄には外部リンクを乗せることもできるので、クリエイター自身のホームページやSNSを紹介することで、販売しているNFT写真の信頼性が向上します。
④ガス代(手数料)の支払い
OpenSeaでNFTを上場させ販売するにはガス代と呼ばれる手数料を支払う必要があります。ガス代は利用する時間や日によって変化するので、100ドルから600ドルの任意の範囲に設定することができます。
比較的ガス代が安く済む時間帯はサーバーにいる人が少なくなる休日や、早朝、深夜などです。この時間に作成したNFT写真を上場させると安価なガス代で収益を得ることができます。
NFT写真の上場が完了したらコレクションの宣伝の画像(アイキャッチ)を準備します。OpenSeaでは複数の画像の同時公開が無料となっているのでアイキャッチ画像もあらかじめ作成しておくといいでしょう。
OpenSeaでは上場時のガス代は1度だけですが、その他にも以下のような手数料が存在します。
- NFTの購入
- オファーを受け入れる場合
- 入札の取り消し
- 以前に上場したNFTの取り消し
- 接続しているウォレットの暗号資産を変換する
- 他のユーザーへNFTを転送および譲渡
これらの操作に定められた手数料が発生します。上場のガス代以外にも手数料が発生する操作が多くあるように思えますが、売り上げに応じた販売手数料などが差し引かれない為、大手のフリーマーケットサイトやオークションサイトと料金形態はさほど変わりません。
ちなみに下記の操作では手数料が発生しません。
- コレクションの開始
- 以前に上場させたNFTの値下げ
- 「レイジ―ミンティング」というOpenSeaのオプションを利用したNFTの作成
他にもNFTは様々なアート作品を販売できます。NFTアートに関する他の記事も合わせてご覧ください
NFTアートに関するその他の記事はこちら
その④、NFT販売による税金のルール
最後は税金面です。NFT写真家としてNFT写真を販売して生計を立てることを考えると、避けて通れないのが税金の問題です。実は現在の税金のルールではNFTに対する課税の区分が明確に決まっていないのが実態です。
2021年10月時点ではNFT取引の課税関係について国税庁からは正式な発表はありません。なのでNFT販売による収益は既存の税制の仕組みや考え方から税区分を判断する必要があります。しかしこれによる問題点は、「税制の解釈によってはどのような税区分でも取り扱うことができる」という点が挙げられます。
暗号資産に関しては現在法整備が進んでおり、売却益や購入においての税区分がはっきりしてきましたがNFTが同じ扱いになる保証はありません。というのもNFTは暗号資産と違い、流動性(通貨のように持ち主が次々に代わる性質のこと)に乏しく唯一無二の暗号資産であることから、「流動資産として解釈できない」という可能性も考えられます。
そうなるとNFTに関する税制はますます複雑になり、暗号資産と取り扱いは同じだろうと何も調べずに確定申告(クリエイターなどの個人事業主が税金の申告をする作業)を行うと、書類不備による追徴課税といった事態になることもあり得ます。
NFT写真家として活動するためには最新のNFTに関する税金のニュースは常にチェックしておきましょう。
【補足】
NFTが流動資産にならない可能性という記載について:絵画などのアート作品の税区分は、金額によって固定資産として考えられます。流動資産と固定資産はそれぞれの税区分が違う為、税率の計算が異なりますが、現時点でNFTを流動資産にするのか固定資産にするのか明確なルールがありません。
本記事では誤解を招かない為に税区分においては断定的な表現を避けていますのでご了承ください。
また税金に関する正確な計算は税理士や公認会計士といった専門家の解釈に相談するようにしましょう。
現在の税金のルールから考えるNFT販売の税制
この内容はあくまで現在の税金のルールなら「この分類だろう」という一例であり100%この解釈が正しいわけではないので注意が必要です。NFTの税金に関する疑問の確実な回答は税理士、公認会計士に相談しましょう。
NFT写真家としてNFT写真の販売が主な収入源であれば事業所得として確定申告が認められます。事業所得であればNFT写真と製作する為のコストは経費として計上することができるので、収入から経費を差し引いたものが所得となります。
一方でNFT写真を趣味で作成しており、販売収益が事業として認められなかった場合は雑所得として確定申告が必要となります。雑所得は経費の計上方法や、課税方式が事業所得と異なる為、税率も変化します。
このあたりの線引きがNFT販売の所得では曖昧になってしまうため、確定申告時は注意しなくてはならないポイントです。
【まとめ】本ガイドを参考にNFT写真家に挑戦しよう
今回ご紹介した4つのガイド通り進めるだけで誰でもNFT写真家にチャレンジがすることができます。NFTの技術はまだ普及し始めたばかりであり、NFTの製作方法、販売する場所、世間の認知度は常に進化し続けています。
それに伴ってデジタルアートの分野にも新しいクリエイターが次々に参加しています。NFT写真はNFTアートの中でも参加の敷居がとても低く、比較的チャレンジしやすいジャンルです。
少しでもNFT写真に興味がある方はまずはお気に入りの写真をNFT化してみてはいかがでしょう?もしかしたらそれがNFT写真家への第一歩になるかもしれません。
執筆者 西村大樹