国内初、つくば市がネット投票にブロックチェーンを活用し成功する

つくば市が国内で初めてブロックチェーンを活用したオンライン投票を実施。実証試験が成功を収めたと発表された。

つくば市の取り組み

この取り組みはつくば市が、『つくば Society 5.0社会実装トライアル支援事業』と題し、民間の創意工夫を生かした、サイバー空間と現実社会が行動に融合した超スマート社会の実現を目指す「Society 5.0」に関わるプロジェクトの選考投票のために導入されたものだ。

毎年全国から10数点のアイデアが一堂に会し、平成30年度は13個の企画が提示され、最大で5つの案が投票によって採択の可否判断がされる。

今回この投票に、マイナンバーカードとブロックチェーンが使われたという。ブロックチェーンを用いた投票は国内初の試みだそうだ。

ネット投票の詳細は7月31日に発表された。本投票は8月28日(火)の10時から16時につくばカピオホールで行われ、議員選挙と同様に期日前投票も設定され、8月20日(月)から8月24日(金) つくば市役所本庁舎で行われた。

このネット投票におけるブロックチェーンシステムの構築を担当したのは東京港区に本社を構える『パイプドビッツ』だ。同社は情報資産プラットフォームをメイン事業としている。

今回の投票にはイーサリアム(ETH)のブロックチェーンシステムが用いられた。

さて、なぜネット投票にこれほどの注目が集まるかといえば、不正投票の防止だ。身近なものだと、例えばプロ野球におけるオールスター戦に出場する選手はファン投票によって選抜される。熱狂的なファンは組織票を組む事も珍しくない。

投票時に意図的な操作が可能な現状があるのだ。そこでマイナンバーカードを使って個人情報を厳密に管理し、ブロックチェーン技術を用いて情報の改ざん、消失を防ぐという狙いがある。

また世界と比較しても低い日本の選挙投票率を打開するためにも、ネット投票の普及は欠かせないものとなっている。

実証試験に成功

そして今回の実証試験は見事に成功を収めたという。

投票の流れは、投票所に設置されたカードリーダーにマイナンバーカードを読み取らせ、電子証明書の署名用パスワードを入力し本人確認を実施。事業提案を選択して一人一票、投票する。

パイプドビッツの報告によれば、マイナンバーカードの活用により本人確認が厳格に行われ、投票内容を暗号化することで誰がどれに投票したかが秘密にできたとのこと。ブロックチェーンによってデータ改ざんや消失の防止もできたとのことだ。

つくば市の五十嵐市長はジャパンタイムズのインタビューに「投票前の複雑そうなイメージとは対照的に最小限の手数で簡単に投票が済んだと」とコメントしている。

ただ、パスワードを失念したりマイナンバーカードをスキャンする手間があったりと、改善点も散見されたという。

世界各国のブロックチェーンを用いた投票への取り組み

世界でもブロックチェーンを用いた投票の実証試験が活発化している。

スイスのツーク市が2018年6月に、2017年11月に同市住民向けに発行したeIDシステムを使って、スマートフォンから投票を行うテストを実施した。

同士のいくつかの公共サービスは、支払いに仮想通貨を使用できるなどスイスの中でも先進的な地域として知られている。

またスイス政府は2019年末までに国内3分の2の州で電子投票が行えるよう目指したいとしている。

2018年8月にはウクライナの中央選挙管理員会が、日本人にも馴染み深いNEMのブロックチェーンを活用して投票の実証試験を行ったと発表。

2018年8月、ケニアでも選挙管理員会がブロックチェーン技術の活用を計画を発表している。

ケニアの選挙は暴動が起きることで有名になってしまっている。1990年代以降、支持者同士での衝突が絶え間なく続き、経済、企業活動にも大きな影響を及ぼしているのだ。

ブロックチェーンの導入で投票過程の透明化、信頼性の向上を目指す声が高まっている。

まとめ

つくば市で国内初のブロックチェーンを用いたネット投票の実証試験が行われ、成功した。
パスワード管理や投票の手間など改善点が散見されたものの、上々の滑り出しと観れる。
スイスやウクライナ、ケニアをはじめとする世界各国でもブロックチェーンを用いた投票が前向きに検討されている。

執筆者 西村大樹

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