グランビルの法則。「聞いたことはあるけど、詳しい内容までは分からない」そんな方も少なくないかと思います。確かに、グランビルの法則は細かくパターン分けがされていて、投資初心者の方にとっては少し難しそうに見えますよね?
ですが実はこの法則は、全部で8個のパターンを覚えれば誰でも簡単に相場の環境認識ができる素晴らしい法則です。
「全部で8個もパターンがあるの⁉そんなに覚えられないよ」と思った方もご安心ください。相場状況によっては1パターンだけ覚えていても十分に通用するのがこの法則のいいところです。
そこで本記事ではグランビルの法則について基本的な考え方と、実際の使い方を詳しく解説します。
シンプルで効果的なテクニカル分析の手法を探している方は、ぜひグランビルの法則を試してみてくださいね。
参考記事はこちら
https://bitcastle.io/column/post-11220/
目次
グランビルの法則とは
グランビルの法則とは、米国のアナリスト「ジョセフ・E・グランビル」が考案した法則です。
この法則は、移動平均線の動きと、相場の値動きを基に8つの売買ポイントを判断する方法で、トレンドフォロー・逆張りどちらの手法にも対応したテクニカル分析になります。
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グランビルの法則の使い方
グランビルの法則は以下の画像のようなチャートパターンが発生したときに有効です。
オレンジ色で示している①~④が買いポイント、水色で示している⑤~⑧が売りポイントになります。
きちんと定義されたこれらのポイントでのエントリーは、根拠が明確であり、損切がしやすくなるといったメリットがあるので、投資初心者がエントリーのポイントを決めるにはおすすめの分析方法のひとつです。
では画像の①~⑧まで、それぞれの売買ポイントを詳しく確認していきましょう。
買いエントリーの基本ポイント
買いポイント①
買いポイント①はトレンドの最初から買っていきたい人が使えるエントリーポイントです。具体的には以下の条件を満たしたときに買いポイント①とします。
- 移動平均線が上向きになりつつ、株価が下から上に抜けた場合
移動平均線が上向きになりつつあるということは、既に値動きは安値を切り上げてきている状態だと考えられます。
そのため、価格は上昇傾向にあり、トレンド発生の序盤を取りに行くようなトレードをする場合はこのポイントに注目します。
しっかり機能すれば大きく勝てる買いポイントですが、必ずしもトレンド転換のポイントになるとは限りません。
もしかしたら調整の戻りが大きいだけで、下降トレンドが継続している可能性(ダマしといいます)もあります。トレンドの転換点は見極めが難しいポイントでもあるので、上抜けてすぐにエントリーするよりも、少し様子を見てからエントリーした方が損切のリスクを少なくできるでしょう。
買いポイント②
買いポイント②はトレンドの発生を確認してからエントリーしたい方に使えるポイントです。一度トレンドが発生してからエントリーするので、負けにくく勝率の高いトレードを目指す方におすすめです。
買いポイント②を満たす条件は以下の通り。
- 移動平均線が上昇中で、価格が移動平均線を上回った後に再び移動平均線を下抜けしたとき
相場はトレンドが発生しても一方向に動くことはなく、必ず上下に値動きを繰り返しながら進んでいきます。
トレンド初期の反発は移動平均線をやや下回る場合が多く、このポイントを狙ってエントリーすると、トレンドの初動を掴めるかもしれません。
仮にトレンドが出なかったとしても、買いポイント①付近に損切ポイントを置いておけば損失も小さくて済みます。
①の買いポイントと同様に、ダマしに合うリスクもありますが、上手くリスクコントロールをすれば損失と利益のバランスが取れたトレードが可能になるポイントです。
買いポイント③
買いポイント③は、強い上昇トレンドが発生しているときに出現するパターンです。実際のチャートで出現することは稀ですが、発生した場合には高確率でトレンド方向に価格が伸びていくでしょう。
買いポイント③を満たす条件は以下の通り。
- 上昇中の移動平均線に向かって価格が下落し、移動平均線を下回ることなく上昇に転じた時
この条件を満たすような強いトレンドが発生している場合には素直に買いポジションを持つと高い勝率が期待できます。
しかしトレンド後半でこのパターンが発生する場合も多く、①や②のポイントに比べると利益が乗りにくい買いポイントと言えます。
高勝率を目指す方は買いポイント③に注目してエントリーすると成績が良くなるかもしれませんね。
利益よりも損失を抑える方向けのディフェンシブな作戦にマッチします。
買いポイント④
買いポイント④はトレンドのピークが過ぎたあたりエントリーをしたい方が使えるエントリーポイントです。トレンドに逆らうようなエントリーになるので、逆張りの手法になります。
買いポイント④を満たす条件は以下の通り。
- 価格が移動平均線を大きく下抜けて、移動平均線との乖離が大きくなったとき
「トレンドのピークが過ぎてるのにわざわざ逆張りで入るの?」と疑問に思うかもしれませんが、トレンド転換前の大きな下落は、短時間で強く反発やすい特徴があります。そのため、短期で利益を出したい方にはこのような手法がとても相性がいいでしょう。
しかし、リアルタイムの値動きでは、価格がどこまで下がるかもわかりませんし、世界情勢や材料による大幅な下落であればこの方法は機能しません。
リスクが高い分、短時間で大きく稼ぐチャンスは生まれますが、損失をできるだけ抑えるのであれば、安易に買いポイントの④を狙ったトレードは控えたほうがいいでしょう。
とはいえ、買いポイント④を見抜く力は、逆張り手法においては強力な武器にもなりますので、自身がある時には積極的にエントリーしていきたいですね。
売りエントリーの基本ポイント
売りポイント①
売りポイント①は上昇トレンドが下降トレンドに転じ始めたタイミングを狙うエントリー方法です。買いポイントの①と同じようにトレンド発生の序盤からポジションを持ちたい人におすすめのポイントです。
売りポイント①を持たす条件は以下の通り
- 移動平均線が下向きになりつつ、価格が移動平均線の上から下に抜けた時
買いポイント①と反対の条件が売りポイント①になっていることが分かります。
このポイントでのエントリーは大きな利益を期待できるポイントではありますが、反対にダマしに合う確率も少なくありません。ハイリスク・ハイリターンなトレードが好みの方は積極的に狙っていくポイントとなるでしょう。
売りポイント②
売りポイント②はしっかりとトレンドが発生したことを確認してからエントリーしたい方におすすめです。トレンド発生の起点となっている売りポイント①を損切のラインに設定すれば損失リスクを抑えたトレードが可能になります。
売りポイント②を満たす条件は以下の通り。
- 移動平均線が下降中で、価格が移動平均線を下回った後に再び移動平均線を上抜けしたとき
売りポイント②は下降トレンド発生後に生じた大き目の戻り目を狙ってエントリーします。トレンド発生後1回目の大き目な戻り目はその後の反発が大きくなる可能性が高く、多くのトレーダーが注目しているもポイントのひとつです。
売りポイント①に比べるとトレンドの前半ではエントリーできませんが、売りポイント②は頻発する可能性があるので見つけた時にはチャンスかもしれません。
売りポイント③
売りポイント③はトレンドがしっかりと伸び始めた時に見られるエントリーのポイントです。戻りの勢いよりも下落の力が強いときに発生しやすく、ポジションの含み益をできるだけ小さくしたい方におすすめです。
売りポイント③を満たす条件は以下の通り。
- 下降中の移動平均線に向かって価格が上昇し、移動平均線を上回ることなく下降に転じた時
この条件を満たしているときは強い下降トレンドが発生している可能性があります。こういったケースでは逆張りを狙うよりも素直にトレンド方向にエントリーした方が勝率が高く、抱える含み損も小さくて済みます。
その分実際のチャートで出現する回数は少なく、もしトレンド序盤で発生しているのを見つけたら大チャンスです。
売りポイント④
売りポイント④は、移動平均線から大きく乖離したところを狙う、逆張り手法に使えるポイントです。発生回数は多めですが、安易な逆張りは大きな損失を抱えるリスクになりますので、エントリーの見極めが重要です。
売りポイント④を満たす条件は以下の通り。
- 価格が上昇中の移動平均線を大きく上抜けて、移動平均線との乖離が大きくなったとき
相場は大きく動いた分、戻す力も大きく働きやすい性質があります。売りポイント④はその性質を利用したエントリーポイントで、移動平均線から上に大きく乖離したときに、逆張りでエントリーします。
上手く機能すれば短期間で大きな利益を上げられる可能性があるので短期トレードを中心に行う方におすすめです。
しかし、あまりにも強い値動きがあると一切戻りを付けることなくトレンドが進んでいくこもあります。リスクとリターンのバランスが重要な手法ですので、使う前には検証作業が必要ですね。
【まとめ】グランビルの法則はトレード手法を決めるための基礎となる
グランビルの法則は、相場の値動きと移動平均線の方向から相場環境を把握するテクニカル分析です。
売り買いのポイントが明確に示されているので、この法則を基準に取引手法を設計するとシンプルかつ安定した勝率の取引が期待できるでしょう。
しかし、法則通りのきれいなチャートが出現することは珍しく、実践で取り入れるにはある程度の検証作業が必要です。
上手く使いこなせばかなり強力なテクニカル分析の手法となりますので、これからトレードを学んでいく方は一度検証してみてはいかがでしょうか。
執筆者 西村大樹