NFTアートとは?作り方・販売方法・メリットデメリットを解説

「NFTアートって何?なぜ高額で売買されているの?」
「NFTアートってどうやって作るの?販売方法は?」

日本国内の大手企業が続々と参入しているNFTアート業界。「無名のアーティストが作るデジタルアート作品が数億円で落札された」というニュースでNFTアートに興味を持った人も多いのではないでしょうか。

ここでは、NFTアートとはそもそも何なのか、NFTアートの作り方と販売方法、NFTアートを取り扱うメリットとデメリットについて詳しく解説しています。

ブロックチェーンや仮想通貨というキーワードから専門的な知識を持っている人たちだけの世界だと思われがちですが、実はとても簡単にアート作品を売り買いすることができるのです。NFTアートの売買に興味がある人は、ぜひ参考にご覧ください。

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NFTアートとはデータ自体が価値を持つアート作品

NFTアートとは、ブロックチェーン技術を活用して唯一無二の価値を持たせたデジタルアート作品のことです。NFTアートのNFTとは「Non-Fungible-Token」の略で、非代替性トークンと呼ばれています。データそのものに所有者などのデータを記すことで価値を証明できるため、コピーや改ざんなどの不利益を回避できるというメリットがあり、製作者・売り手・買い手が安心して取り扱いできるシステムになっています。

NFTアートは純粋にその作品を楽しむ目的で売買される他、資産価値を持つため投機目的として売買されることもあります。

NFTアートの種類は幅広い

NFTアートになり得るものは幅広く、デジタルデータとして取り扱いされているものは全て対象だと言えます。

NFTアートの種類例

  • イラスト
  • 写真
  • 動画・映像
  • 音楽
  • 音声
  • ゲーム内のキャラクターやアイテム(アセット)
  • ツイート

「ツイートがNFTアート?」と驚かれるかと思いますが、2021年3月22日にTwitterのCEOであるJack Dorsey氏が最初にTwitterでつぶやいたツイートをNFT化し、約291万ドル(約3億1,500万円)という高額で販売しました。

また、NFTはゲームとの相性も非常によく、ゲーム内で取り扱われる希少価値の高いキャラクターやアイテムを売買できたり、自作した作品を他のユーザーが使えるように販売することもできます。互換性のあるブロックチェーン技術を使用しているゲーム同士で相互運用することもでき、例えばスーパーマリオ内のキャラクターをどうぶつの森で使うことができる、というようなイメージです。

アートではないですが、スポーツ界ではチームや選手ごとにNFTトークン(仮想通貨)を作ってファンクラブのような使い方もされています。

NFTアートに唯一無二の価値をつけるブロックチェーン技術

現在、NFTアートの多くはイーサリアムというブロックチェーン技術の「ERC-721」という規格を用いられることが一般的です。他にもNFTアートの発展を目指したブロックチェーンがいくつかあり、今後それらのブロックチェーンに分散される可能性も視野に入っています。

2021年8月3日には、ZOZOTOWNの前社長で株式会社スタートトゥデイ代表である前澤友作氏が、NFTアートに特化したブロックチェーン「パレット」の開発を行う国内企業HashPort(東京都文京区)に対し、約4億8000万円を投資しました。

イーサリアム以外にも、「FLOW」「Polygon」「Near Protocol」「Polkadot」といったのブロックチェーンがNFTに特化した代表的なものです。

NFTアートの取引所も国内外で続々登場

NFTアートの取引ができる取引所(NFTマーケットプレイス)も、国内外で続々と登場しています。

国内外の主要なNFTマーケットプレイス

  • OpenSea(アメリカ)
  • Sorare Marketplace(フランス)
  • Rarible(アメリカ)
  • Foundation(アメリカ)
  • Nanakusa(日本)
  • Coincheck NFT(日本)

「OpenSea」はNFTマーケットプレイスの最大手です。デジタルアートの取り扱い数もさることながら、ゲームのアセットなどさまざまなNFTが取引されています。これからNFTアートの取引にチャレンジしてみたい人は、OpenSeaをのぞいてみることをオススメします。

その他のNFTマーケットプレイスの特徴として、「Sorare Marketplace」では「Sorare」という現実で行われているサッカーの試合と連動しているトレーディングカードの取り扱いを、「Rarible」ではデジタルアート作品に特化した取り扱いを、「Foundation」ではアーティストの登録前事前審査を採用しているという特徴をもっています。

国内のNFTマーケットプレイスとしては、日本で初めてリリースされた「Nanakusa」やCoincheckが運営する「Coincheck NFT」が主流となっています。Nanakusaはデジタルアート作品の取り扱いが多く、映像・動画作品のNFTも多く取り扱っているという特徴を持ちます。

「Coincheck NFT」はすでにCoincheckを利用しているユーザーであればすぐに利用が可能で、ブロックチェーンゲームで取り扱われているアセットの取引などにも活用されています。

2021年8月30日には、楽天グループが「Rakuten NFT」のリリースを2022年春に予定していることを発表しました。スポーツやエンターテインメントに特化したNFTマーケットプレイスになるとのことです。

NFTアートの作り方と販売手順

それでは実際にNFTアートを作り、販売してみましょう。難しそうに感じますが、実は簡単に自身のアート作品をNFTアートとして販売することができます。

準備しておくもの

NFTアートとして販売するために準備しておくものは次の3つです。

  • アート作品
  • 仮想通貨取引所の口座
  • デジタルウォレット

アート作品

NFTアートにするアート作品です。デジタルデータであれば、写真や音楽、イラスト、動画・映像など、どのような種類でもNFTアートにできます。

NFTアートに限ったことではありませんが、販売するNFTアートはオリジナル作品であることが必須条件となりますので、著作権を侵害していないか注意を払ってください。

仮想通貨取引所の口座

NFTマーケットプレイス上での売買に使用する通貨は、使用するブロックチェーンに基づいた仮想通貨です。これから初めてNFTアートの販売をする場合、主流となっているイーサリアムのブロックチェーンをオススメしますので、仮想通貨イーサ(ETH)の取り扱いがある取引所で口座を作成しておきましょう。

なお、イーサ(ETH)はビットコイン(BTC)についで市場ランキング2位に位置する有名な仮想通貨ですので、日本国内の取引所であればどの取引所でも取り扱いがあります。

CoincheckであればNFTマーケットプレイス「Coincheck NFT」も利用することができますし、楽天銀行や楽天市場といった楽天経済圏を利用している人は今後のNFTマーケットプレイスリリースに備えてRakuten Walletを利用するのもオススメです。

デジタルウォレット

デジタルウォレットとはその名の通りお財布のことで、私たちが普段現金を持ち歩くために使用しているお財布と同じような使い方をします。先ほどご紹介した口座と混同してしまいがちですが、まったく別モノです。

NFTマーケットプレイスでNFTアート作品が売れた時、仮想通貨イーサ(ETH)がウォレットへと振り込まれます。そして、それを現金化するために取引所の口座でイーサ(ETH)と現金を交換します。もちろん、現金化せずに他の仮想通貨と交換することも可能ですし、そのままイーサ(ETH)へ投資した状態にすることも可能です。

デジタルウォレットには対応通貨があり、NFTアートの売買に向いているのがイーサ(ETH)に対応している「MetaMask/メタマスク」です。MetaMaskはパソコンとスマホの両方で登録が可能です。パソコンの場合はChromeブラウザを利用する必要があるので、パソコンにインストールされていなければまずChromeの準備をしましょう。

MetaMask
https://metamask.io/

Chrome
https://www.google.co.jp/intl/ja/chrome/

NFTマーケットプレイスへの出品手順

いよいよNFTアートを作り、NFTマーケットプレイスに出品してみましょう。NFTマーケットプレイスに出品までは、以下の3つの手順を踏んでいきます。

  1. ブロックチェーンを決める
  2. NFTマーケットプレイスに登録する
  3. NFTマーケットプレイスに出品登録する

手順①ブロックチェーンを決める

最初にNFTとして取り扱うためのブロックチェーンを決めましょう。特にこだわりがなければイーサリアムのブロックチェーンで問題ないかと思います。現在NFTアートはイーサリアムの独壇場となっていますが、現在多くのプロジェクトがNFTに特化したブロックチェーン開発を進めていますので、今後の動向を見つつトライしてみてください。

なぜブロックチェーンを決めなければいけないのかと言うと、NFTマーケットプレイスは全てのブロックチェーンに対応しているわけではないためです。多くのNFTマーケットプレイスはイーサリアムに対応していますので、そういった意味でもイーサリアムにすれば間違いないと言えるでしょう。

手順②NFTマーケットプレイスに登録する

次に、出品するNFTマーケットプレイスへ登録します。いくつ登録しても良いですが、まずは1つ登録してみて感覚をつかんでください。

初心者にオススメなのは、最大手の「OpenSea」か、日本語対応している「Nanakusa」です。どちらもMetaMaskの準備さえできていれば連携するだけですぐに出品が可能です。ブロックチェーンはどちらもイーサリアムとポリゴンに対応しています。

【引用】OpenSea

手順③NFTマーケットプレイスに出品登録する

NFTマーケットプレイスでの登録が完了すれば、あとは出品するだけでNFTアートとして販売が開始されます。「NFTアートを作る」といっても、実際にクリエイターが行うのは出品登録時にブロックチェーンを選ぶだけです。

NFTアートとして販売するメリット・デメリット

最後に、自身が作ったアート作品をNFTアートとして販売するメリットとデメリットについてご紹介します。

NFTアートのメリット

NFTアートのメリットは、アート作品を売る上で仲介業者に頼る必要がなかったり、本物であるという証明ができたり、収入が得られるといった点が挙げられます。

仲介業者に頼る必要がない

芸術家・クリエイターとしてネックとなるのが、自身の作品を販売する難しさです。素人とプロの境界線とも言えるのではないでしょうか。

仲介業者を介してアート作品を販売する場合、クリエイターの実績や仲介者の好みに左右されることもあります。販売するためのアクションを起こすこと自体、とてもハードルが高いものですよね。

一方、NFTアートとして販売する場合、誰もが公平に自身のアート作品に価値をつけることができ、その価値を公平に認めてもらえます。しかも、市場が日本国内だけでなく、国籍問わず売り買いできるという点も大きなメリットです。クリエイターにとって大きなチャンスの場だと言えるのではないでしょうか。

本物であるという証明ができる

デジタルアート作品を販売する時のデメリットである「コピーに対する脅威」がないのもNFTアートの魅力です。

厳密に言うと、デジタルデータである以上、NFTアートであっても残念ながらコピー自体は可能です。ただ、従来のデジタルデータとは違い、オリジナル作品にはオリジナルであるという証明をつけることができるため、コピーされた作品が出回ったとしてもそれが偽物であると証明できるというメリットを持ちます。

収入が得られる

プロとして活動している人だけでなく、駆け出しの作家や、趣味でアート作品を作っている人でも収入が得られるという点もメリットです。売り手もいれば買い手も存在し、NFTアートのコレクターとなった投資家もいます。

今はまだ一部の人にしか知られていないNFTアートですが、日本国内でも楽天やヤフオクといった大きな経済圏を持つ大手企業が参入しています。今後NFTが私たちの生活に根付くようになれば、それだけ多くの人に作品を見てもらえるようになりますので、大きな可能性を秘めていると言えますね。

NFTアートのデメリット

反対に、NFTアートのデメリットには、パソコンやITに疎い人にとってハードルが高いことや、イーサ(ETH)の取引手数料が高いこと、市場が現実味を帯びていないことが挙げられます。

パソコンやITに疎い人にはハードルが高い

NFTアートのデメリットの一つが、デジタルウォレットの作成やNFTマーケットプレイスへの登録など、パソコンやITに疎い人にとってハードルが高いことです。また、これまで投資経験がなければ、仮想通貨そのものに対して不安を感じることでしょう。

イーサ(ETH)の取引手数料がかかる

NFTアートに限らず、イーサリアム(ETH)の取引時に発生する手数料の高さが問題になっています。イーサリアム(ETH)の手数料はガス代と呼ばれているのですが、ガス代が高騰する問題を解決するためのアップデートが進んでいるところです。

また、NFTアート業界に関しては、最大手のOpenSeaではガス代排除に向けてイーサリアム以外のブロックチェーンであるPolygonを採用したり、今後もFLOWとの連携を進めていくという情報を出しています。ガス代排除に向けて対策を打っているNFTマーケットプレイスを選ぶと良いでしょう。

市場が現実味を帯びていない

【引用】https://www.cryptokitties.co/kitty/896775

NFTアートは良くも悪くも認知度が低く、NFTアート自体がまだ希少な存在です。そのため一部のNFTアートコレクターが高額で取引するなど、市場が現実味を帯びていないという実態があります。

2021年3月にはデジタルアーティストBeeple氏の作品が75億円で落札されたり、クリプトキティーズというブロックチェーンゲーム内で作成したネコのキャラクターが2,000万円で購入されるなど、実際の価値と販売価格が果たして合致しているのかという疑問が上がっているのです。

地に足がついていない状況に不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

【まとめ】NFTアートはチャンスの可能性を秘めている市場

NFTアートを取り扱うNFTマーケットプレイスは、毎日のように新しくリリースされています。日本でも大手企業が続々と参入し、多くの投資家が期待している業界でもあり、今後発展していくことは間違いないでしょう。

デジタルデータ作品を扱っているアーティストやクリエイターにとっても、自身の作品価値を高める可能性を秘めている市場と言えます。

国内で本格的な盛り上がりを見せる前に、一足早く参入してみてはいかがでしょうか。

執筆者 西村大樹