FXにおける空売り(ショートポジション)は、通貨の価格が下がることを見越して取引を行う戦略の一つであり、「ある通貨を売って後から買い戻す」という方法で利益を狙います。この手法は通貨の値下がりが見込まれる局面で非常に有効です。
空売りによって値下がりする相場でも利益を狙えるため、特に下降トレンドや経済的な不安の高まりなど、通貨の価値が下落しやすい環境で利益を出しやすくなります。しかしながら、空売りにはその性質上、独特のリスクが伴うため、適切なリスク管理を行うことが非常に重要です。
以下では、空売りが効果的に利益を生みやすい環境と、注意すべきリスクの詳細について順を追って解説します。
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目次
空売りの基本的な仕組み
FXにおける空売りは、特定の通貨を「売り」、後で反対に「買い戻す」ことで利益を得る手法です。この場合、通貨の価格が下落していればいるほど利益が大きくなり、逆に価格が上昇すると損失が発生します。これは、通貨の価格が下がる局面を予想し、下落する相場で利益を得る方法です。
- 取引開始時:USD/JPY(米ドルと日本円の通貨ペア)が110円のときに「売り」のポジションを持つ
- 相場の変動:その後、USD/JPYが105円にまで下落
- 利益の確定:105円でポジションを「買い戻し」た場合、売り時の110円からの5円の差額が利益になります
このように、売値が買い戻しの価格よりも高い場合、その差額が利益として得られるため、下落局面で効果的な取引となります。特にFX市場では株式市場と異なり、空売りが比較的制約なく行えるため、相場の上昇だけでなく、下落時にも収益機会を得ることができる柔軟な運用が可能です。
空売りが有効な環境
空売りで利益を得やすい環境は、通貨が全体的に下落傾向にあるときや、政策変更、経済的な不安が増大している局面です。
下落トレンドにあるとき
まず、通貨の価格が下降トレンドにあるとき、つまり長期的に下落し続けている局面では、空売りが大きな利益をもたらす可能性が高まります。このような下落トレンドは、経済的要因や市場全体のムードによって引き起こされることが多く、こうした局面では空売りを活用することが有効です。
例えば、市場でリスク回避の動きが活発化すると、安全資産とされる円(JPY)が買われ、ドル(USD)が売られる傾向が強まります。この場合、USD/JPYの空売りを行うことで、ドルが円に対して下落する局面で利益が得やすくなります。
金融政策の変更があるとき
中央銀行による金融政策の変更も、通貨の価値に大きな影響を与えます。利上げや利下げなどの政策が発表されると、通貨の価値が大きく変動するため、このタイミングで空売りを行うと、下落局面で利益を得やすくなります。政策変更は定期的に行われるため、発表を事前に予測して取引に活用することも可能です。
例:アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和(利下げなど)を発表した場合、市場はドルが売られる可能性を考慮して動くことが多くなります。こうした場合には、ドルを空売りすることでドルの価値が下がる局面に乗じて利益を狙うことが可能です。
経済不安や地政学的リスクが高まるとき
経済的な不安や地政学的なリスク、例えば戦争、テロ、貿易摩擦の拡大などの状況は、通貨市場においてリスク回避の動きを生み出しやすくなります。このような状況では、安全資産とされる円(JPY)やスイスフラン(CHF)などが買われやすくなるため、対になるリスク通貨の空売りが効果的です。
地政学リスクが高まっている例
欧州で政治的リスクが高まった場合、例えばEU内での分裂や経済不安が増大すると、ユーロ(EUR)が売られる傾向が強まります。こうした局面では、EUR/JPYなどの空売りを行うことで、円に対してユーロが下落する可能性を利用して利益を得るチャンスが生まれます。
空売りのリスクと注意点
空売りは利益を得るチャンスを広げる一方で、特有のリスクも含んでおり、特に以下のようなリスクに対して注意が必要です。
理論上損失が無限に拡大するリスク
空売りは、価格が下がることで利益が得られますが、反対に通貨価格が上昇してしまった場合には損失が拡大します。株式の空売りでは株価がゼロ以下にならないため、損失は限定されますが、FXの通貨取引には理論上限界がないため、損失が無限に膨らむリスクがあります。
例えば、USD/JPYを105円で空売りしたとしますが、その後予想外の展開で円安が進行し、110円まで上昇した場合には5円の損失が発生します。さらに円安が進行し、USD/JPYが115円、120円と上昇していく場合、その分損失が無限に拡大するリスクがあるため注意が必要です。
スワップポイント(利息)の支払いが発生する可能性
FXでは通貨ペアごとに金利差が存在し、売りと買いのポジションにはスワップポイントが発生します。特に高金利通貨を空売りする場合には、毎日スワップ金利を支払わなければならないケースが多く、長期のポジションには不利となることがあるため、注意が必要です。
スワップポイントの損失が大きくなる通貨ペアとしては金利差が大きいオーストラリアドル(AUD)と日本円(JPY)のペアでAUD/JPYを空売りする場合が考えられます。
この場合、高金利通貨であるAUDを売り、低金利通貨であるJPYを買う形になるため、毎日スワップポイントとして利息を支払う必要が生じ、長期間にわたるとコストがかさむ可能性があります。
経済指標発表や要人発言の影響
FX市場は日々の経済指標の発表や要人発言などによって影響を受けやすく、予想外の動きが起きることも少なくありません。経済指標の発表は事前に予定されていることが多いものの、その結果が予測と異なるとサプライズが生じ、空売りしたポジションが急激に逆方向に動くことがあります。
例えば、米国の雇用統計が予想を大幅に上回る結果で発表された場合、市場はドル買いに転じ、空売りポジションを持っていた場合には一気に損失が発生するリスクがあります。このように予測しにくい動きが発生するため、ポジションを持つタイミングや経済イベントには十分に注意する必要があります。
空売りでのリスク管理のポイント
空売り取引では、リスク管理を徹底することが非常に重要です。特に以下のような方法を用いて、損失を抑えることが求められます。
損切りラインの設定
空売りでは損切りライン(ストップロス)を事前に設定し、相場が予想とは逆に動いた場合に速やかに決済することが大切です。損切りラインを設定することで、損失の拡大を防ぎ、資金の保全につながります。
適切なレバレッジ管理
FXはレバレッジを利用することで少額から取引が可能ですが、レバレッジをかけすぎると相場が逆方向に動いた際に損失が大きくなります。特に空売りの場合、想定以上の損失リスクがあるため、適切なレバレッジの範囲に抑えることが、安全かつ長期的な取引のカギとなります。
経済イベント前後の取引は避ける
重要な経済指標の発表や要人の発言前後には、相場が大きく変動することが多いため、こうしたタイミングでの取引を避けたり、または事前にポジションを閉じるなどの対策が推奨されます。
空売りに有効なインジケーター
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移動平均線(Moving Average)
移動平均線は、一定期間の価格の平均を結んだ線で、トレンドの方向や勢いを把握するのに便利です。空売りを行う際には、移動平均線の傾きや他の期間の移動平均線との位置関係に注目します。
移動平均線を使った空売りのポイント
- 短期と長期のクロス:短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に突き抜けたとき、これをデッドクロスと呼び、下落トレンドが始まるサインとされます。デッドクロスが発生したときに空売りのエントリーポイントとして使われます。
- 移動平均線の傾き:移動平均線が下向きに傾いている場合、トレンドが下降している可能性が高いです。特に長期の移動平均線が下向きの場合は、全体のトレンドが下落傾向にあることが示唆され、空売りのタイミングとされます。
注意点
移動平均線はトレンドが出ているときには効果的ですが、レンジ相場(横ばいの相場)では騙しのシグナルが発生しやすく、誤ったエントリーにつながることがあります。このため、他のトレンド指標と併用すると信頼性が向上します。
RSI(Relative Strength Index)
RSI(相対力指数)は、過去の一定期間で価格の上昇と下落の割合から相場の「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を示すオシレーター系指標です。0から100の数値で表示され、一般的に70以上で買われ過ぎ、30以下で売られ過ぎとされています。
RSIを使った空売りのポイント
- 70以上で売りシグナル:RSIが70を超えると相場が「買われ過ぎ」の状態とされ、近い将来に価格が反転して下落する可能性が高いとされます。このタイミングで空売りを検討すると、比較的高値で売ることができます。
- 50を下回る動き:RSIが50を下回ると、下降トレンドが強まる兆しと判断されるため、下降トレンドのエントリーとして空売りを行うポイントになります。
注意点
RSIはレンジ相場や、価格が行き過ぎた場合の反発を捉えやすいですが、強いトレンドが発生している場合には70以上、あるいは30以下の状態が長く続くこともあります。そのため、トレンドフォロー系の指標と組み合わせるとさらに精度が高まります。
ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)
ボリンジャーバンドは、価格の変動範囲を視覚的に示すインジケーターで、移動平均線を中心に、上下にバンドが描かれています。バンドが収縮した後に拡大することが多く、相場が急激に動くサインともされます。
ボリンジャーバンドを使った空売りのポイント
- バンドウォーク:下降トレンドが強い場合には、価格がボリンジャーバンドの下側のバンドに沿って推移する「バンドウォーク」が発生することがあります。バンドウォークが発生した場合には空売りのタイミングとされ、下落トレンドが続くと判断できます。
- 逆張りエントリー:相場が急激に変動し、価格がバンドの上限(プラス2σ)に接触した場合、反落のタイミングとして空売りエントリーを行うことができます。
注意点
ボリンジャーバンドはトレンド相場だけでなく、レンジ相場でも活用できますが、バンドの外側に価格が触れたからといって必ず反転するわけではありません。そのため、トレンド系のインジケーターと併用することをおすすめします。
【まとめ】空売りは短期的に大きく利益が出せる一方リスクも大きい
FXの空売りは、通貨が値下がりする局面でも利益を得られる魅力的な手法であり、経済状況や市場のトレンドに応じて有効に活用できる手段です。しかし、空売りには損失の可能性が無限に広がるリスクや、スワップポイントの支払いなどのリスクが伴うため、損切りラインの設定やレバレッジ管理を徹底し、慎重な取引を行うことが求められます。
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執筆者 西村大樹