スウェーデンの国家仮想通貨の運用テストを実施へ

キャッシュレス社会を実現させるべくスウェーデンの中央銀行Riksbankは国家仮想通貨「e-クローナ」の開発を進めています。

2019年に運用テスト、2021年に流通開始を計画しているようです。今回はスウェーデンの国家仮想通貨e-クローナについて取り上げます。また、各国のキャッシュレス化や国家仮想通貨についても触れていきます。

スウェーデン中央銀行が開発を進める「e-クローナ」

スウェーデンの中央銀行であるRiksbankはキャッシュレス社会を実現させようとデジタル通貨へのシフトチェンジを考えているようです。

Riksbankが主体となって取り組んでいるのがe-クローナと呼ばれる国家仮想通貨です。ただ、高齢者を中心とした新たな技術に追いつけない人々やそもそもとして国家仮想通貨へ懐疑的に考える国民もいます。

その状況下でもRiksbankはe-クローナの開発に関して歩みを緩めることはないと考えられます。Riksbankが昨年12月に後悔したレポートでには「最大限の責任を持ってデジタル決済への取り組みを進めていく必要がある」と記載されています。

Riksbankの構想ではリリース当初は現金との併用をしながら、やがてはe-クローナを主要な支払い手段として利用していくことを考えています。

2019年にパイロットプログラム

Riksbankはe-クローナの本格的導入を前に2019年中にパイロットプログラム(運用テスト)を行い2021年に完全な流通開始を目指しています。

もし、うまく流通すれば世界でも例が少ない家が主体となって仮想通貨導入する国となるでしょう。キャッシュレス化が進む流れにおいてe-クローナがうまく流通するか期待がかかります。

日本もキャッシュレス化を目指している

日本でもキャッシュレス化を推進しようと経済産業省が方針を発表しています。2025年に大阪や関西方面で開催される万博に向けて電子決済の普及を進めていくとのことです。

2015年に閣議決定された「日本再興戦略」の中でも東京オリンピック(2020年)を目安にキャッシュレス決済の普及が盛り込まれていました。

自分の生活を振り返ってみると容易に想像できますが日本では諸外国に比べるとキャッシュレス化が進んでいません。

先に取り上げたスウェーデンでは現金使用率が2%、対する日本ではキャッシュレス化が18%ほどにとどまっています。

将来的に世界各国でキャッシュレス化が進むと考えられます。ところが、日本が目指すキャッシュレス化には仮想通貨の普及や国家をあげて開発するものではありません。

経済産業省が公開している「キャッシュレス化に向けた方策」では、観光地や商店街などにカード決済端末の導入、クレジットカードが利用できるATM設置、年金や保険料・税金の電子納付でのキャッシュレス化が取り上げられています。

以上の内容から日本が仮想通貨を導入したキャッシュレス化に舵を切る可能性は引くと考えられます。

ベネズエラは「Petro」を発行

スウェーデンに先駆けてベネズエラ政府は「Petlo(ペトロ)」を発行しました。石油を裏付けにするステーブルコインです。石油1バレルと同じ価格で保たれている仮想通貨になります。

Petloは今年2月から3月にかけてICOにより資金を集めて貧困の危機からの脱却を目指しましたと考えられています。

ベネズエラの石油埋蔵量は世界一で1980年代には世界でも裕福な国でした。しかし、原油価格の下落や政府の政策が上手くいっておらず最近はインフレ状態となっていました。

つまりは貧しい国になってしまい資金をどうにか集めようと石油に裏付けされたPetroの発行に至ったわけです。Petroは金本位制ならぬ石油本位制とも言える仮想通貨です。

日本では岡山県西粟倉村が自治体としては初めてのICOを行い資金調達を行いました。今後も国家や自治体規模のICOが増えるかもしれません。

ただ、STO(セキュリティ・トークン・オファリング)への関心も高まっていますのでどう変遷していくのかも気になります。

執筆者 西村大樹

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