FOMCの結果とパウエル議長会見の為替市場の反応

米連邦準備理事会（FRB）は、景気減速への懸念とインフレ沈静の兆しが交錯する中で、金融政策のかじ取りを続けています。

10月29日に開かれた米連邦公開市場委員会（FOMC）では、2会合連続の利下げと量的引き締め（QT）の年内終了を決定。

市場では「緩和加速」への期待が高まる一方、パウエル議長は「12月の追加利下げは既定路線ではない」と発言し、 先行きに慎重な姿勢を示しました。

今回はその内容と市場の反応を整理します。

FOMCの結果とパウエル議長の会見

米連邦準備理事会（FRB）は10月29日の米連邦公開市場委員会（FOMC）で、2会合連続となる利下げに踏み切りました。

政府閉鎖によって経済データが滞る中、雇用の下振れリスクを重視した判断です。

一方で、パウエル議長は「12月の追加利下げは既定路線ではない」と発言し、市場の過度な緩和期待をけん制しました。

FOMCの中身

FRBは政策金利を0.25％引き下げ、フェデラルファンド（FF）金利の誘導目標を3.75〜4.0％としました。

3％台は2022年12月以来であり、金利引き締め局面から明確に転換した形です。

加えて、FRBは量的引き締め（QT）を12月1日で終了する方針も決定。

QTとは、パンデミック期に購入した国債などの保有額を減らす政策で、2022年から段階的に進められてきました。

パウエル議長は「QT終了は金利政策とは切り離して判断」としつつ、金融環境の引き締め圧力を和らげる意図を示しました。

パウエル議長の会見のポイント

記者会見では、以下のような点が示されました。

• 「雇用が下振れするリスクはここ数カ月で高まっている」

• 「政策はあらかじめ決められたコースをたどるものではない」

• 「12月の追加利下げは既定路線ではない」

• 「関税の影響を除けば、インフレ率は2％目標に近い」

この発言を受け、市場では「FRBが一気に緩和へ向かうシナリオはやや後退した」との見方が広がりました。

9月分のコアCPI（前年比＋3.0％）は予想を下回っており、インフレは落ち着きを見せていますが、 政府閉鎖で統計が途絶えているため、“データなしの金融政策” という異例の判断環境が続いています。

関連ページ：米消費者物価指数（CPI）の結果と為替市場の反応【2025年10月27日】

FOMCの結果とパウエル議長の会見を受けての為替市場の反応

市場はFOMC発表前まで12月追加利下げをほぼ完全に織り込んでいましたが、 パウエル議長の「既定路線ではない」発言を受けて、一転してドル買いが優勢となりました。

主な市場の反応

• 米2年債利回り：会見中に上昇（利下げペース鈍化を織り込み）

• ドル円：一時円安方向へ反発

• 金利先物市場：12月利下げの織り込み度が約90％ → 現状維持が約70％に低下

FRBが緩和姿勢を維持しながらも「データ次第で方向転換する余地を残した」ことが、 短期的なドル高・長期的な不透明感という複雑な市場反応を生みました。

一方、アトランタ連銀「GDPナウ」によれば、7〜9月期の実質成長率は年率3.9％と依然堅調。

景気の底堅さと政策の慎重姿勢が交錯する“静かな緊張状態”が続いています。

今後は、雇用・物価の経済指標を確認しつつ、FRBメンバーの発言、さらに市場の織り込み具合に注視する必要があります。

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