ISM非製造業景況指数の結果と為替市場の反応

米国景気の約7割を占めるサービス業の動向を示すISM非製造業景況指数が11月5日に発表されました。

10月は52.4％と市場予想を上回り、再び拡大基調に転じています。

製造業の低迷が続くなかでも、サービス業が経済全体を支える構図が改めて浮き彫りになりました。

この記事では、最新のISM非製造業景況指数の内容を整理し、

結果が示す米景気の方向性と、為替市場（ドル円）の反応などを整理します。

ISM非製造業景況指数の結果

10月のISM非製造業景況指数（Services PMI）は 52.4％（前月50.0％から+2.4ポイント） となり、市場予想（51.0％前後）を上回る結果となりました。

これでサービス業は2025年に入って8回目の拡大を記録。

米国経済の約7割を占めるサービス業が再び持ち直したことで、景気の底堅さを示す内容となりました。

ISMによれば、非製造業PMIが48.6％を上回っている期間は、米国経済全体が拡大していることを意味します（参考：Services PMI® at 52.4% October 2025 ISM® Services PMI® Report）。

したがって今回の52.4％という水準は、景気全体の成長基調を裏付ける数字といえます。

ISM非製造業景況指数の中身

各項目を詳しく見ると、内需の強さとコスト上昇が対照的に表れました。

• 事業活動（Business Activity）：54.3％（前月49.9％）で再び拡大へ。

• 新規受注（New Orders）：56.2％（前月50.4％）と大幅に改善。

• 雇用（Employment）：48.2％（前月47.2％）と依然縮小圏だが改善傾向。

• 仕入価格（Prices）：70.0％（前月69.4％）で、物価上昇圧力は根強い。

• サプライヤー納期（Supplier Deliveries）：50.8％（前月52.6％）とわずかに改善。

新規受注と事業活動の回復が全体指数を押し上げましたが、一方で雇用の弱さと価格上昇の持続が懸念材料。

特に価格指数が70％台に乗せたのは2022年10月以来で、サービス業におけるインフレ圧力が再び強まっていることを示しています。

ISM非製造業景況指数のポイント

今回のレポートで注目すべきは、「需要は戻りつつあるが、雇用は慎重姿勢」という点です。

企業は新規案件やM&A関連の活動が増加したと報告する一方、「採用を控え、自然減で人員調整を進めている」との声も多く、景気の先行きに対する警戒感は依然残っています。

また、価格上昇圧力の持続はFRBにとって悩ましい材料。

11カ月連続で60％を上回る水準が続いており、サービス分野のインフレが全体の物価抑制を妨げる要因になりそうです。

全体として、「雇用は軟調だが需要は底堅く、インフレ圧力は依然強い」という複雑な構図が見て取れます。

ISM非製造業景況指数の為替市場の反応

発表直後の為替市場では、ドル買いが優勢となりました。

非製造業PMIが予想を上回ったことで「米景気は依然底堅い」との見方が広がったためです。

ドル円は発表直後に一時154円台半ばまで上昇し、米10年債利回りも上昇。

市場では「FRBの利下げ開始が後ずれする可能性」が意識されました。

ただし、雇用指数の低迷と物価上昇の継続という組み合わせは、今後の政策判断を難しくする要素でもあります。

短期的にはドルの下支え要因となる一方、

中長期的には「インフレ鈍化の遅れによる景気減速リスク」が再び焦点となりそうです。

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