投資詐欺ポンジスキームとは?詐欺の手口や対策を解説

「ポンジスキームとは何?」

「ポンジスキーム被害に遭わないためにはどうしたら良いの?」

近年、さまざまな投資が盛り上がりを見せていますが、それに伴って投資詐欺も頻発しています。そして投資詐欺はほとんどがポンジスキームと呼ばれる方法で行われています。

ここ数年で、仮想通貨も同様の手口で被害を受けている投資家が増えています。

投資詐欺に合わないためにも、ポンジスキームとはどのような手口で行われているのか、どのようなことに気をつけたらよいのかなどの理解を深めていきいきましょう。

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ポンジスキームとは

ポンジスキームとは

ポンジスキームとは、「出資した資金を運用し、利益を出資者に配当する」と謳って出資者から資金を集め、実際に運用はしないという手口を指します。

ポンジスキームという名前の由来は、1920年ごろにこの手口を使って詐欺を働いた天才詐欺師「チャールズ・ポンジ」というアメリカ人の名前から来ています。

怪しまれないためにも、初めに出資した出資者には、新たに獲得した出資者からのお金を配当金として渡します。利回り50%と設定されているなら50%が詐欺集団に、残りの50%は初めの出資者に配られるというシステムです。

集めた資金のうち、利回り分は配当金として配られますが、残金は詐欺集団に取られてしまうため、新しい出資者が現れないと最終的には必ず破綻することになります。

ポンジスキームの手口

ポンジスキームの手口

投資家は誰しも「自分だけは騙されるわけがない」と思っているでしょう。しかし、実際には多くの投資家が詐欺集団の言葉巧みな話を信じてしまい騙されています。

ここでは、詐欺集団がどのようにしてポンジスキームを行なっているのか、その手口の一部をご紹介していきます。

配当金が毎月貰える

詐欺集団は、実際に運用して利益を出していると投資家に信じ込ませるため、毎月配当金を振り込みます。毎月配当金が支払われているのを確認した投資家は、詐欺集団を信用してしまい、どんどん高額な投資をしてしまいます。

高利回りを宣伝文句としている

詐欺集団は、高利回りでの運用を宣伝文句に出資者を募集します。月10%、年40%などといった通常の投資ではあり得ないような高い利率での運用を持ちかけます。投資家は不安に思う反面、良い話だと思ってしまいます。

少額からの投資が可能

初めから何百万という投資を持ちかけてしまうと怪しまれる恐れがあるため、初めは数万円からの投資ができると言葉巧みに誘います。そのため、少額から始められる安心感から、気軽に始めてしまう投資家が多いのです。しかし、その後、信用してしまった投資家は最終的に高額な投資をしてしまうのです。被害を受けた人は、はじめのうちは出資金は少なくしていたが、配当金が支払われる安心感から、その後どんどん出資してしまったということです。

「みんなやってる」と誘う

誰でも初めは「うまい話には裏がある」と思います。しかし詐欺集団は、多くの人が同様の方法で利益を上げていると嘘の資料等を出してきます。今までに実績があるという資料を見せられるとその投資を信用してしまい、出資してしまうのです。運用実績のデータは手が込んでるため、専門家でも見分けがつかないものもあるほどです。

金銭貸借契約で投資を募集

本来、出資をする場合は投資信託の契約を結びます。そして、詐欺集団は「金銭貸借契約を取り交わすと元本が保証される」と言葉巧みに騙すのです。

投資に元本保証はないため、このような言葉が出てきたら詐欺だと気づきましょう。

高額な紹介料が支払われる

詐欺集団は、投資の紹介をしてくれる人に紹介料を支払っていることが多くあります。紹介してくれる人が親しい人であればある程、その人がやっている投資なら信用できると思い込んでしまうのです。この紹介が詐欺を拡大させてしまう大きな要因となります。

本来は被害者であるはずの投資家が、知らず知らずのうちに詐欺の加害者になってしまう可能性のある恐ろしい手口なのです。

ポンジスキームの実例

ポンジスキームの実例

ここでは、今までにポンジスキームが行われた実例をご紹介していきます。

ナスダック事件

この事件は、ナスダック元会長のマドフ氏が行ったポンジスキームの詐欺です。

主なターゲットは富裕層に設定されており、スティーブン・スピルバーグなどの著名人や、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド、野村証券などの企業も被害に遭いました。

被害額は650億ドル、日本円にして約6兆円にのぼり、犯行は約25年間続きました。マドフ氏は2008年に逮捕され、懲役150年の刑が言い渡されました。

ナスダック事件では野村證券などの金融のプロも被害に遭ったこともあり、この事件は史上最大のポンジスキーム事件と言われています。

Bitclub事件

Bitclub Networkではポンジスキーム特有の「紹介制」が採用されており、その存在はネットワークビジネス関係者によって広められました。

20144月から運営されており、ビットコイン(BTC)をマイニングするためにBitClubへ出資すると、配当がもらえると謳われていました。

被害額は約7億2200万ドル、日本円にして約800億円にのぼりました。

2019年12月に運営者3人が逮捕され、現在も調査が進行中です。

プラストークン事件

2018年中頃に登場した仮想通貨のポンジスキーム事件です。

ウォレットに仮想通貨を預けるだけで月利10%が得られるという謳い文句で、プラストークン運営者達はビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨を集めました。

被害額は30億ドル、日本円にして約3290億円で、被害者は1000万人以上にのぼります。

運営者のうち6人は逮捕されていますが、盗まれた仮想通貨はすでに世界各国のさまざまな場所へと送金されてしまっています。

プラストークン事件はテレビでの報道はほとんどされませんでしたが、日本人も被害に遭っていたことからインターネット上では大きな話題となりました。

ポンジスキームの被害に遭わない対策

ポンジスキーム詐欺に遭わないために

ポンジスキームが実際にどのような手口で行われているのかが理解できたかと思います。ここでは、どのようなことに注意していけば良いのか具体的な対策をご紹介していきます。

ノーリスクでハイリターンを提示している業者には注意

仮想通貨はもちろん投資の世界では、儲けるための「必勝パターン」といっても100%ではなく損をすることもあるということを心得ておく必要があります。そのようなデメリットを伝えることなく、メリットのみ、さらにはとんでもないようなハイリターンを提示してくる話には乗らないことです。

売り手がきちんとした会社であるかどうか

友人や家族の紹介であっても、必ずどのような会社が運用を行なっているかを見極める必要があります。そして、その会社がライセンスを持っていないことや、調べても出てこない会社であるというような不信な点がある場合はその売り手が詐欺師である可能性があると考えましょう。実際に資金が運用されているかが誰でも容易に理解することができない場合は、詐欺だと疑いましょう。

投資案件をネットで調べてみる

もし、投資案件を持ちかけられたら必ずグーグルやツイッターなどで調べてみましょう。

実際にグーグルやツイッターで調べてみて、その投資案件を紹介しているサイトがなかったり、ツイッターでその投資をして良かったというつぶやきがなく、怪しいアカウントが宣伝ばかりしているといった場合は注意が必要な投資案件なので気をつけましょう。

【まとめ】ポンジスキームはお金も信頼も失う

ポンジスキームの被害に遭ってしまったら、お金が戻ってくることはほとんどないと思って良いでしょう。

そしてもし、この手法を親しい友だちや家族に持ちかけてしまった場合、いつの間にか自分自身も詐欺の片棒を担いでしまったことになり、信頼も失ってしまう可能性が非常に高いのです。

このようなことから、「うまい投資話には裏がある」と思っていたほうが騙される可能性は少なくなります。怪しいと思ったらその話には乗らないことです。自分だけは騙されないということはないのだと肝に銘じておきましょう。

執筆者 西村大樹