仮想通貨ICOの資金調達額が2018年最低記録を更新…その背景はとは…?

仮想通貨のICO(イニシャル・コイン・オファリング)は多くの投資家も注目するものですが2018年8月、資金調達額で今年最低を更新したことがわかりました。

今年に入り、ICOによる資金調達は順調で2017年を大幅に上回る金額になっていますが低調になってきました。

その背景にはイーサリアムの価格下落も何らかで関係がありそうです。この記事では最近のICO事情と各国の規制も含め、ICOに関して触れていきたいと思います。

ICOで最低資金調達に未達案件続出か

ICOを支援するプロジェクトのICOboxの広報担当によると先週(8/27からの週)にICOを行なった36のプロジェクトにおいて4つのプロジェクトしか資金調達を開示していないことが分かりました。

情報の未開示そのほかのプロジェクトは目標金額、最低資金調達額に達していないとも指摘しています。先週、最高調達額を記録した「Fondocoin」と呼ばれるプロジェクトは日本円でおよそ6.6億円を調達しましたが目標額の20%にも満たない金額でした。

背景を推測すると8月20日から27日までの期間でイーサリアムが3万円台での推移でICOのトークンセールが続けられていたのでイーサリアムの利用が控えられたのかもしれません。(イーサリアムはゴールドマンサックス関連で価格下落で1年間の最低価格を更新)

2018年は順調にICOでの資金調達金額を伸ばしてきましたが、ここにきて今年最低額になりました。しかしながら、注目銘柄のEOS(イオス)の1年ほど続いたICOが終了し約40億ドル資金調達に成功しました。

2018年もICOで調達した資金は4月現在で昨年を超えた実績もあるので、これから年末に向けて2017年を大きく上回ることは間違いありません。

各国のICO規制

仮想通貨のが世界中に広まりを見せた2017年以降、ICOは投資家や企業、さらには各国政府も注目しています。一方で、中国や韓国ではICOを全面的に禁止し、ボリビアやエクアドル、バングラディシュでは仮想通貨自体を禁止しています。

ちなみに、ボリビア、エクアドル、バングラディシュの政府は電子化された通貨自体を違法としています。

ICOに関して明確な姿勢を見せていないのは日本、アメリカ、ヨーロッパ諸国といった先進国です。今年6月にはアメリカの証券取引委員会でビットコインなどの仮想通貨は証券ではないと判決が下されています。

ただし、資金を渡してベンチャーを始め、その見返りとして生じる生じる場合は証券とみなすとしています。つまり、ほとんどのICOは証券である内容でアメリカの証券取引委員会は発表しました。

日本は金融庁がマネーロンダリング対策や本人確認の義務化、ICOへの警告は発令しているものの、規制や法律は明確になっていません。

その中で今年6月、岡山県西粟倉村がICOによる資金調達を実施しまし、地方自治体とICOの相性が良いことを示し注目されています。

急速な仮想通貨の広まりに各国の規制や方向性が追いついていない部分が見受けられますが、その時々の仮想通貨の相場、規制などによって今後もICOは影響を受けそうです。

仮想通貨の正当性

ICOも含めて仮想通貨には懐疑的な立場、意見を持つ政府があるのも事実です。特にICOに参加するとなればリスクが伴うのは言うまでもありません。

しかし、資金調達においてICOは非常に効率的な面を持っています。資金は世界中から集めることが可能で、調達スピードも速いです。

そのメリットを活かせば創業者やプロジェクトメンバーが研究や開発に専念しやすくなります。十分な資金が集まれば専門家を雇い、プロジェクトの弱点もすぐに是正できるようにもなります。

プロジェクトが成功すれば投資家にも利益が跳ね返ってきますので、ICOは非常に大きな魅力があります。

ただ、ICOをもっと活発にするには仮想通貨自体の正当性が認められなければなりません。各国政府が仮想通貨に対してどのように認めていくのか、注目する必要があります。

 
執筆者 西村大樹

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