リップルに対する集団訴訟の行方は!? 仮想通貨は有価証券扱いされるのか

現在時価総額3位にあるXRPへの投資家は、リップル社が連邦証券法に違反していると主張し、集団訴訟を起こしている。サンディエゴの弁護士であるライアン・コフィー氏は、サンフランシスコ郡上級裁判所に訴訟を提出した。

RippleやMSB、同社CEOのBrad Garlinghouse氏および当事者10名を対象に、被告によって発行および販売されたRippleトークン(「XRP」)を購入したすべての投資家に対しコフィー氏は損害賠償を求めている。

今回の訴訟の要点は?

要約すると、XPRを作ったリップル社に対して、投資家に損害賠償を要求する訴訟のようです。要点は次の点です。

  • XPR(リップル)を作った責任はリップル社にある
  • リップルの値動きで生じた損害はリップル社が負う必要がある
  • リップルは証券登録に関して証券報違反を犯している

以上の三点が主な論点でしょう。ひとつずつ検証してみましょう。

XPR(リップル)を作った責任はリップル社にある

仮想通貨XPR(リップル)はリップル株式会社によって作られました。今回の訴訟は、Ripple、XRP II(同社の登録およびライセンスを取得したMSB)、CEOのBrad Garlinghouseに対して行われています。

もし作られた仮想通貨に何らかの重大な瑕疵があったり、ICO時の発表の内容に誤りがあって投資家が損失を被った場合は、確かにその主体であるコインの発行体が責任を負ってしかるべきでしょう。しかし、上場後のリップルの値動きによって生じた損害についてまで
責任を負うべきものなのでしょうか?

それにこのようなタイプの訴訟が、ビットコインなどほかの仮想通貨で行われていることはあまり聞いたことはありません(水面下の小さな訴訟はあるのかもしれませんが)なぜ、リップルなのかということに関しては、リップルがほかの仮想通貨に比べて中央集権的なシステムを取っているということが関係あるのかもしれません。

リップルの値動きで生じた損害はリップル社が負う必要がある

2018年に入って年初から仮想通貨市場全体が大きな下落に見舞われました。リップルに関していえば、年末0.3ドル付近から4ドルまで上昇しましたが、今年に入って0.5ドルまで下げています。一時は高値から8分の一になるような下げでした。このような暴落の中で大きな損失を出してしまった投資家も多いでしょう。

しかし、考えてみれば、去年までの上昇相場が続いている状態では、このような訴訟は決して起きなかったでしょう。訴訟の内容は、「発行および販売されたRippleトークン「XRP」を購入したすべての投資家」に対する損害賠償、となっています。

2018年5月の時点でリップルは100円=約0.9ドル付近なので、上場時に比べればはるかに上昇していることになります。このように大幅な利益を得ている投資家が、損害賠償の訴訟についてどう思っているかは興味深いところです。裁判の流れ的には、今年初めからの暴落で損を出した投資家の動きに法律事務所が乗っかった感じですね。まさに訴訟天国のアメリカならではのような気がします。

リップルは証券登録に関して証券報違反を犯している

アメリカの証券法によると有価証券を発行する主体は、SECの定めるところによる登録をしなければいけません。問題は仮想通貨が証券法でいう「有価証券」に当たるかどうかです。この訴訟の結果は、損害賠償の部分より、アメリカの司法が仮想通貨に関してどのような判断をするかということにおいて、重要な意味を持っていると思います。

まとめ

訴訟が起きた一番の原因は、今年初めからの暴落にあるといっていいでしょう。しかし、大きな損失が出た時だけそれを発行した会社に責任があると言って訴えるのはどうでしょうか?

5月現在、リップルは100円を少し割り込んだ付近ですが、裁判の展開自体は値動きにそれほど関係ないような気もします。むしろ、リップルが証券法の下でどのような扱いを受けるかが興味あるところです。

執筆者 西村大樹

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