Binanceがブロックチェーン分析会社と結託、マネロン一掃へ

仮想通貨の取引履歴をオープンにするソリューションを提供するブロックチェーン分析調査会社のChainalysisが、仮想通貨コンプライアンスソリューションを仮想通貨取引所大手のBinance(バイナンス)と結託することでグローバル展開を完了させたとした。マネーロンダリングなど長きに渡る仮想通貨の課題に挑むという。

横行する仮想通貨マネーロンダリングの現状

coincheckやZaifの仮想通貨流失事件は我々の記憶にも新しい。データセキュリティ会社のCiphertraceが10月10日に発表した最新の情報によれば、2018年に世界で盗難にあった仮想通貨の総額は9億2700万ドル(約977億円)に相当する。

犯罪によって得られたビットコイン(BTC)のうち97%は、アンチマネーロンダリング(AML)に対する規則が弱い国で交換されたという。

さらに規則が不十分な取引所に送られた全BTCのうち5%は犯罪活動に利用され、”洗浄され”検知されずそのままグローバル市場に流れている。実際の額は38万BTC・25億ドル(約2600億円)に達するそうだ。

Chainalysisの発表

Chainalysisの創業者でCOOのJonathan Levin氏は「すべての仮想通貨ビジネスは規制当局、金融機関、ユーザーからの信頼確保という共通の課題に直面している」とコメント。

「主要な金融機関に信頼を構築し、規制当局の納得を得るべく、世界規模のAMLコンプライアンスプログラム立ち上げ、多くの企業がBinanceに追随してくれることを大いに期待している」

Chainalysisが提供するコンプライアンスソフトウェア『Chainalysis KYT(Know Your Transaction)』はリアルタイムで仮想通貨取引をモニタリングできる唯一のソリューションだ。独自のアルゴリズムによるパターン認識、何百万というオープンソースリファレンスを活用し、何千という仮想通貨サービスをカテゴライズして不正な取引を発見しアラートを出すという。

BinanceのCEO・Wei Zhou氏は「Chainalysisとの協働は、我々が次のステージに成長させる基礎的なコンプライアンスプログラムの構築を可能にする」と語った。

「我々のビジョンはブロックチェーンエコシステムによるインフラの提供、各国の規制を遵守した上で、国境を越えてお金が行き来する自由を増やすことだ」

このソリューションは仮想通貨ビジネスや金融機関の顧客確認(KYC)やAML規制の遵守を可能にし、同時に仮想通貨をサポートする企業が取引口座の開設を容易にする。

2018年4月にChainalysisは『Chainalysis KYT』を発表し、1600万ドル(約17億円)の資金調達に成功。同ソリューションは世界150の仮想通貨ビジネスを行う企業、金融機関、政府機関に利用されている。

参照:
PR Newswire<https://www.prnewswire.com/news-releases/chainalysis-partners-with-binance-to-tackle-global-cryptocurrency-money-laundering-300732667.html>
Ciphertraceマネーロンダリング最新情報<https://ciphertrace.com/pr-crypto-aml-report-2018q3/>

執筆者 西村大樹

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