おそらく、コアな仮想通貨トレーダーでなければ知らないであろう取引所「MapleChange」。カナダのアルバータ州に拠点を構える仮想通貨取引所です。
そのMapleChangeが全資産を流失しことから閉鎖にまで追い込まれました。しかしながら一連の流れをみると詐欺ではないかと指摘されています。
今回はMapleChangeの閉鎖について取り上げて考察してみます。
カナダ拠点のMapleChangeが閉鎖へ
今回、海外の複数メディアによって報じられたのはビットコイン取引所「MapleChange」による資金流出事件です。
公式のツイッターアカウントのフォロワーを確認してもわずか2000人ほどと小規模な取引所であることが伺えます。
MapleChangeは資金流出に対する弁償金が用意できないため取引所を閉鎖してSNSアカウントも全て削除すると発表し、公式ツイッターなどから姿を消しました。
日本でも何度か起こっている資金の流失事件は海外取引所でも度々起こっています。しかしながら、MapleChangeの資金流出に関しては、いわゆる、出口詐欺ではないかとも疑われています。
人気アナリストでもあるJoseph Youngさんは自身のツイッターにて資金流失報告を明らかな出口詐欺であると指摘しています。
A small crypto exchange pulled off an exit scam, taking all customer funds.
There is no incentive for using small exchanges. Use established exchanges that are regulated, & transparent.
Small exchanges also focus on maximizing profitability, not security or investor protection pic.twitter.com/iKEO8rDv5z
— Joseph Young (@iamjosephyoung) 2018年10月28日
出口詐欺とは
出口詐欺とはある一定期間、健全に運営し顧客の信頼を得た後に資金をひとまとめにし、タイミングをみて持ち逃げすることです。
MapleChangeの資金流出については顧客から預かった資金を一つウォレットに集めていたのかもしれません。
もちろん、詐欺である確証はないので断定できませんが弁償できないので取引所の閉鎖、すぐさまツイッターアカウントの削除など詐欺案件と考えても不思議ではありません。
詐欺的な取引所を利用しない
今回は海外のマイナーな取引所による資産流出案件となっています。仮想通貨に関する知識に不安な方は海外の取引所を安易に利用すべきではありません。
特にMapleChangeのような小規模な取引所を利用するメリットはないと言えます。取引量も少ないでしょうし、望むような取引がなかなかできないです。
公開されている情報も少なかったり、規模の小さい取引所は多くのリスクを抱えていると言えます。
国家や関連機関による監視下に置かれ、透明性の高い取引所を利用することが安全な取引をする上で重要です。
そして、顧客資産を不用意に流失させないようにコールドウォレットで管理しているかもポイントになります。
国内の取引所で金融庁から認可を受けた業者は顧客資産をコールドウォレットによる分別管理しているところもあります。(業者資産と顧客資産を分けて保管)
取引所に口座を開く際にはセキュリティ体制に気を使っているかを確認することは最低限行いましょう。
MapleChangeの資金流出から考えたいこと
顧客の資産を流出させてしまい、弁償もせずに姿を消したMapleChange。今回の案件から取引所選びで注意したいことがあります。
まずはSNSアカウント(取引所公式のもの)のフォロワーが少ない取引所やそもそも規模が小さいマイナーな取引所を選ばないことです。
例えばアメリカ大手の取引所Coinbaseのツイッターフォロワーは100万人を超えています。MapleChangeは2000人ほどですから規模の違いが簡単に分かります。
大手の取引所はツイッターを使った情報発信を適宜行います。フォロワーが少ないのは情報発信量の少なさや認知度の低さ、強いては規模の小ささにつながります。
そして、セキュリティ体制が万全か、保険や補償制度が整っているかも大事です。ハッキング被害の多さで知られるBithumbは損失について全額補償を発表しています。昨今注目度の高いアメリカの取引所Geminiは保険の適用を発表しました。
不測の事態に顧客を守る体制が整っていれば信用度が高いと言えます。以上の点を踏まえて取引所選びを行いましょう。
執筆者 西村大樹