チリーズ(Chiliz/CHZ)は、スポーツ界の仮想通貨としてヨーロッパやアメリカなどのプロチームで徐々に認知度を高めています。主にサッカー業界での運営資金集めやファンとの交流に使われ、2021年に入ってからはサッカー業界に止まらずプロバスケットリーグ・NBAでの提携なども進んでいます。
この記事では、サッカー業界が仮想通貨へ進出した理由と、チリーズ(Chiliz/CHZ)の特徴、これまでの経緯、今後の動きについて解説しています。
チリーズ(Chiliz/CHZ)はスポーツチームやプレイヤーを応援するという目的を持ちますが、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のように取引を行うことも可能です。「スポーツ界を盛り上げたい、仮想通貨にも興味がある」という人に向いた仮想通貨だと言えるでしょう。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
チリーズ(Chiliz/CHZ)のリアルタイムチャート
サッカー業界が仮想通貨へ進出した2つの理由
チリーズ(Chiliz/CHZ)を語る上で、まずはサッカー業界と仮想通貨の関係性について知っておく必要があります。
数あるスポーツ界の中でもいち早く仮想通貨へ進出したのがサッカー業界です。スポーツ界全般においてブロックチェーン技術の存在は新たな時代のはじまりとも言えるでしょう。
サッカー業界が仮想通貨通貨へ進出した2つの理由についてご紹介します。
- チケットの偽造・紛失問題の解消
- コロナ禍での新しい応援のカタチ
それでは解説していきます。
理由①チケットの偽造・紛失問題の解消
サッカーの試合は、私たちに素晴らしい経験をもたらせてくれます。白熱した試合を見るために、プレイヤーを応援するために、チケットやグッズを買って応援します。人気の高い試合や試合を見るのに絶好の座席は高値で取引されることも多いでしょう。
残念ながら、この状況を逆手にとって偽造チケットを高額で売り捌く詐欺が横行しています。これは、サッカー業界に限らずスポーツ全般が抱えている問題です。
また、シンプルにチケットを紛失してしまって入場できなかった経験を持つ人もいます。
このようなチケットトラブルの解消に一石を投じたのが「ブロックチェーン技術」です。ブロックチェーン技術が持つ「公平性」「透明性」という特徴を利用すれば、チケットの偽造や複製を阻止することができ、専用のプラットフォームで管理することができるため紛失するリスクも最小限に抑えられるようになります。
理由②コロナ禍での新しい応援のカタチ
サッカーの醍醐味は、スタジアムで味わう興奮と熱狂です。しかし、新型コロナウィルスの影響により、無観客や座席数を大幅に削減しての試合が余儀なくされています。そんな中、サッカー業界では「仮想通貨」を利用して新しい応援のカタチを導入しはじめました。
「株」を購入するという感覚をイメージするとわかりやすいかと思います。株の発行には資金を調達するという目的がありますが、上場するためには厳しい基準をクリアする必要があるため、ファントークンの発行は株を発行するよりもハードルが低くというメリットがあるのです。
サッカー業界を含むスポーツ全般で公開されている仮想通貨は「ファントークン」と呼ばれています。ファントークンは、ファンとプレイヤーの繋がりを強め、さまざまな応援のカタチに対応します。
【ファントークンでできること】
- チケット抽選・入手
- 限定グッズ抽選への参加
- チーム運営に関する投票への参加
- 活動資金のサポート
また、チームの価値が高まればファントークンの価値も高まるため、他の仮想通貨と同様に収益を得るための取引としても活用が可能です。
チームにとっても、高い透明性でチームの運営資金を集めることができ、チーム単位のファントークンだけでなくプレイヤー個人としてのファントークンも続々と公開されています。
実例①湘南ベルマーレ
Jリーグの湘南ベルマーレは、国内で初めてファントークンを公開したプロサッカーチームです。チームやファン参加イベントの運営資金を目的とし、「FiNANCiE」というブロックチェーン技術を活用したクラウドファンディングサービスを利用してファントークンを発行しています。
また、ファントークンの保有者はVIP席で試合観戦できたり、運営企画の投票やファン特典の投票に参加する権利も得られるのです。
実例②SHIBUYA CITY FC
「SHIBUYA CITY FC」は、Jリーグへの参入を目指すソーシャルフットボールクラブです。湘南ベルマーレと同じく「FiNANCiE」を利用してファントークンの導入を進めています。ファントークン保有者は、イベント企画の投票やファン特典抽選への参加権を得られる他、「トークン主総会」に招待される権利を得ます。
実例③KSK HONDA コイン
「KSK HONDA コイン」はサッカー選手・本田圭佑氏が個人で発行するトークンです。本田氏は近年、仮想通貨での活動に積極的で、2018年には国内取引所の「BITPoint(ビットポイント)」と広告契約も結びました。
トークンを発行する目的はオープンな形でファンとの繋がりを強化することで、トークンの保有者は本田氏が発信するライフスタイルチャンネルにアクセスできたり、ファン同士での交流なども可能になるとのことです。
仮想通貨・チリーズ(Chiliz/CHZ)の3つの特徴
チリーズ(Chiliz/CHZ)は、エンターテイメントやスポーツ団体を対象としたファンエンゲージメントのブロックチェーンプラットフォームで、独自トークン「CHZ」を発行しています。
そんなチリーズ(Chiliz/CHZ)の特徴を3つにまとめました。
- ファントークンとの取引が可能
- 「トークンハント」で楽しみながらハントできる
- クレジットカード・デビットカード払いが可能
詳しく見ていきましょう。
特徴①ファントークンとの取引が可能
チリーズ(Chiliz/CHZ)のプラットフォーム上で構築されている「Socios.com(ソシオスドットコム)」では、FCバルセロナやユベントス、パリ・サンジェルマン、ASローマ、ガラタサライ、アトレティコ・マドリード、OG、CAインデペンディエンテなど21のプロチームの公式ファントークンを買うことができます。サッカー業界の仮想通貨業界への参入は世界中のファンが注目し、FCバルセロナがファントークンを公開すれば、即日完売となりました。
先ほどもご紹介した通り、ファントークンを保有することが直接チームを応援する資金となるだけでなく、チームが開催するイベントや企画投票などにも参加する権利が得られます。
これらのファントークンはチリーズ(Chiliz/CHZ)のブロックチェーン技術を使って鋳造され、トランザクションもチリーズ(Chiliz/CHZ)のブロックチェーンに記録されていきます。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などと同じ通貨として取引ができ、購入時より価値があがれば売却益を得ることも可能です。
特徴②「トークンハント」で楽しみながらハントできる
「Socios.com(ソシオスドットコム)」ではファントークンを購入できる他、「トークンハント」というAR(拡張現実)を使用してファントークンを獲得できる機能を利用できます。ARは日本でも「ポケモンGO」などでお馴染みの技術となりましたね。「Socios.com」を利用していれば誰でも無料で利用できる機能で、自分が今いる位置の周辺でファントークンを探すことができるというものです。新型コロナウイルス防止の観点から、周辺のみのファントークンしか表示されない仕組みが導入されています。
この「トークンハント」で、35,000枚のファントークンを無料配布するイベントが2021年に入り複数開催されました。このイベントでは、チリーズ(Chiliz/CHZ)や、「Socios.com」公式ファンとーくん「SOCIOSユナイテッド(SSU)」などを獲得することができ、最大で19枚ほどのファントークンを無料が手に入った人もいます。
ファントークンの中には1枚1,000円以上で取引されているものもあり、サッカーファンだけでなく仮想通貨に興味がある人の入り口としても嬉しいイベントとなりました。
特徴③クレジットカード・デビットカード払いが可能
仮想通貨の購入は基本的に銀行振り込みやコンビニ入金など、今ある現金で購入することが主流です。これは2018年に国内クレジットカード会社各社が仮想通貨取引所との取引を禁止したためです。仮想通貨取引所「Coincheck(コインチェック)」でネム(NEM/XEM)が不正送金され、約580億円の被害が出た事件が起因となり、銀行・クレジットカード会社各社で顧客を守るためにこのような措置が取られました。
チリーズ(Chiliz/CHZ)は「Binance.com(バイナンスドットコム)」でも購入することができますが、「Socios.com」であればクレジットカードとデビットカードで支払うことが可能です。
仮想通貨チリーズ(Chiliz/CHZ)のこれまで
チリーズ(Chiliz/CHZ)の今後を知るためには、これまでの経緯について知っておく必要があるでしょう。2019年の上場から今に至る経緯を解説していきます。
2019年8月31日に初上場
仮想通貨チリーズ(Chiliz/CHZ)は、2019年8月31日に初上場を果たしました。しばらくは大きな価格上昇を見せることなく、1円前後に位置していました。
2021年2月〜3月に価格が高騰
2021年3月に日本円で80円〜100円ほどまで価格を一気に上昇させました。時価総額ランキングをぐっと押し上げ、2021年7月現在で57位に達しています。
価格が高騰した理由はいくつか考えられます。ちょうどこの頃にトークンハントでファントークンの無料配布イベントが開催され、また、大手取引所への新規上場・アメリカ市場への拡大発表が実施されたという複数の事柄が起因したと考えられます。
大手取引所への新規上場
チリーズ(Chiliz/CHZ)はこれまで、チリーズ(Chiliz/CHZ)独自の取引所「Chiliz Exchange」と「Binance.jp」、「Socios.com」と一部の取引所でしか購入ができませんでしたが、2021年3月に入り、「HitBTC」「Bitcoin.com Exchange」「Changelly」といった大手取引所へ上場しました。仮想通貨は新規取引所への上場を機に価格が上昇する傾向があり、良い影響が生まれたと考えられます。
アメリカ市場への拡大発表
チリーズ(Chiliz/CHZ)を取り扱っているサッカーチームは主にヨーロッパ諸国でしたが、今後アメリカ市場への拡大を見越して2021年3月にアメリカ・ニューヨークに新しいオフィスを立ち上げました。また、これに伴いチリーズ(Chiliz/CHZ)はニューヨークのスポーツ業界へ日本円で約55億円を投資したとも報道されています。
価格上昇は、今後の需要増加が期待されたポジティブな動きを見せた要因の一つだと考えられるでしょう。
2021年2月からNFTマーケットプレイス事業で業務提携
2021年2月には、NFTマーケットプレイスでの事業拡大を目指したコインチェック株式会社が、チリーズ(Chiliz/CHZ)と業務提携を開始したと発表しました。
【NFTマーケットプレイスとは】
「NFT(ノン・ファンジブル・トークン)」は直訳すると「代替不可トークン」となり、文字通り他の何者にも変えられないたった1つの価値を示すトークンです。NFTの反対にあたるのが「FT(ファンジブル・トークン)」で、チリーズ(Chiliz/CHZ)やビットコイン(BTC)がそれにあたります。
例えば、自分自身が保有している1CHZは、他の誰かと交換しても1CHZという価値は変わりません。しかし、とあるチームのサッカー観戦チケットがあったとして、あなたにとってはとても価値ある試合のチケットだったとしても、サッカーに興味のない友人にとってはそれほど大きな価値がありません。このような、価値を他の何かで決定づけることができないものがNFTに分類されています。
それ自体をNFTとして利用できることから、絵画や音楽、ゲームアイテムなどに応用され、その売買ができる場がNFTマーケットプレイスです。
チリーズ(Chiliz/CHZ)との業務提携の目的は、「Socios.com」でのNFTサービス拡大です。コインチェックではこのNFTマーケットプレイスを2020年8月から進めており、現在は国内外で企業連携を進め、人気のゲーム5タイトルが利用できるようになっています。
2021年3月に取引ペアの拡大
2021年2月〜3月の動きはまだ終わりません。3月には、チリーズ(Chiliz/CHZ)の取引ペアを拡大し、ユーロやイリギス・ポンドにも対応できるようになりました。
2021年4月に一度84円まで価格の上昇を見せたものの、2021年7月に入ってからは26円前後に落ち着きを見せています。
仮想通貨チリーズ(Chiliz/CHZ)の今後
仮想通貨チリーズ(Chiliz/CHZ)の今後の動きを見ていきましょう。価格上昇が期待できるイベントが予定されています。
アメリカのプロスポーツチームが参入予定
先ほども少し触れましたが、今後はアメリカでのプロスポーツチームの参入を予定しています。
これまでヨーロッパのサッカーチームを主に事業の中心として進めてきたチリーズ(Chiliz/CHZ)ですが、今後北米の主要なプロスポーツチームでのファントークン導入を目指していきたい考えがあります。
北米には、アメリカンフットボールのNF(ナショナル・フットボール・リーグ)、メジャーリーグベースボールのMLB(メジャー・リーグ・ベースボール)、バスケットボールのNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、アイスホッケーのNHL(ナショナル・ホッケー・リーグ)が存在します。
2021年7月に入り、すでにNBAでの提携がスタートしています。
アメリカのスポーツ業界はチリーズ(Chiliz/CHZ)の今後の発展にとても重要度の高い市場であり、アメリカでのファントークン市場が拡大すればチリーズ(Chiliz/CHZ)の価格上昇にも期待できるのではないでしょうか。
ファントークンオファリング(FTO)を順次開催
「ファントークンオファリング(FTO)」とは、各クラブチーム・各スポーツ団体の公式ファントークンを、固定価格で限定枚数販売するイベントです。チリーズ(Chiliz/CHZ)では2021年4月以降、このようなファントークンオファリングを順次開催していくと発表しています。
チリーズ(Chiliz/CHZ)ではこれまでもこのようなファントークンオファリングを開催した経緯があり、即完売したトークンもあります。
【過去にファントークンオファリングを実施した団体】
- Sint-Truidense V.V(シント=トロイデンVV)
- イスタンブール・バシャクシェヒルFK
- Alliance(アライアンス)
- Natus Vincere(ナトゥス・ヴィンセレ)
- BSC Young Boys(BSCヤングボーイズ)
- Novara Calcio(ノヴァーラ・カルチョ)
2021年現在もファントークンオファリングが随時開催されており、下記の団体だけでなく続々と追加されています(すでに販売が終了している場合があるためあらかじめご了承ください)。最新の情報は公式サイトや公式Twitterでご確認ください。
【2021年にファントークンオファリングを実施する(した)団体】
- Göztepe(ギョズテペ)
- Universidad de Chile(ウニベルシダ・デ・チレ)
- Legia Warsaw(レギア・ワルシャワ)
- Fortuna Sittard(フォルトゥナ・シッタート)
- Team Vitality(チーム・バイタリティ)
- サッカーアルゼンチン代表チーム
【まとめ】仮想通貨チリーズ(Chiliz/CHZ)は今後徐々に価格上昇が予想される
2021年に入り、個々のサッカーチームだけでなくサッカーアルゼンチン代表チーム(ARG)やポルトガル代表チーム(POR)など、代表チームのファントークン公開も進行しています。また、ヨーロッパやアメリカだけでなく、ブラジルのスポーツチームとの提携も開始するなど、ポジティブなニュースが続いています。
コロナ禍で苦境に立たされているスポーツ業界ですが、仮想通貨を用いて新たな運営のカタチを見出そうとしている段階に来ており、直接試合を観戦できなくとも、ファントークンを保有することでチームやプレイヤーを密な距離で応援できるという新しいカタチが現実味を帯びてきました。チリーズ(Chiliz/CHZ)が拡大することで、世界中どこにいても国内外のスポーツチーム・プレイヤーを直接応援することができるのです。
すでに提携しているチームは40を超え、今後は日本のプロスポーツチームのファントークン公開にも期待が寄せられます。
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