ERC20トークンの時価総額が上昇|一方のイーサリアムは低迷

イーサリアムのプラットフォーム上で使われるERC20トークンの時価総額が上昇しています。一方のイーサリアム は8月からほぼ動きのない状態が続いています。

ERC20トークンと言えばICOにも使われている銘柄になりますのでご存知の方も多いと思います。ここにきてERC20トークンの時価総額が上昇している背景について触れていきます。

ERC20トークンの時価総額が上昇

イーサリアム のプラットフォームで使われているERC20トークンの時価総額が上昇し始めています。ERC20トークンの時価総額を振り返ると8月は110億ドル(約1兆2300億円)でしたがこのところ128億ドル(約1兆4300億円)まで伸ばしています。

わずか3ヵ月くらいで市場規模が拡大していて、イーサリアムの時価総額の約210億ドルに比較しても急成長の様子が分かります。

ERC20トークンの時価総額上昇には一部プロジェクトの成功事例があるのではとトラストノードが分析しています。

ICOでも使われるERC20トークン

ERC20トークンはトークン作成が容易でICO案件でもよく使われるトークンになっています。昨年に比べ市場が盛んなICOを支えてきたと言っても過言ではありません。

ERC20トークンは500種類以上も存在し賭け事の未来予測で有名なAugur(オーガー)や世界規模の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)で発行されている独自トークンBNBもERC20トークンになります。

2019年1月にはビットコインに完全に裏付けられたERC20トークンのWBTC (Wrapped Bitcoin) がリリースされることも発表されています。

ビットコインの流動性と分散型アプリケーションの強化を目指す経済圏をつなぐトークンとしても期待がかかっています。

ちなみに、ERC20トークンの保管はイーサリアムに対応したウォレットで可能です。「MyEtherWallet」が一番メジャーですがDappsゲームや分散型取引所を利用するならばブラウザで管理できる「Metamask」も重宝します。

イーサリアムが低調な理由とは?STOの普及で回復?

ERC20トークンは時価総額が上昇していますがイーサリアムの価格は低調です。8月14日のブルームバーグによるとイーサリアムが低調な理由はICO換金が考えられるとのこと。

ICOの主催者によるトークン売却による現金化が相次いだとの見方です。好調なICOは少しずつ凋落し資金調達に失敗したり、投資家への払い戻しなどに至ったケースは全体の58%にのぼるとのこと。

ICOからSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)へのシフトチェンジの動きも考えられます。STOが主流となればイーサリアムの価格低調も改善されていくのか。イーサリアムの相場には注目したいと思います。

STOとは

ICOからのシフトチェンジが考えられるSTOとはセキュリティトークンが関係します。セキュリティトークンとは証券として価値のあるトークンのことになります。

条件として価値のあるものは有価証券となるわけですが、身近なものでいうと手形や小切手、商品券、株券など所有者の財産権を証明する証書との定義があります。

セキュリティトークンとして認定されれば株式のように証券取引員会の監視下に置かれ、ICOのように簡単な資金調達はできなくなります。

株式のIPOに似た資金調達の仕組みになるので規制も設けられる一方で、詐欺まがいのプロジェクトは紛れ込まないなど投資家を守ることも可能になります。

しかし、STOには否定的な見方もでき証券取引委員会の監視下に置かれるのは中央管理体制にもなり、仮想通貨の非中央集権の理念からずれてしまいます。

マネーロンダリングなどの犯罪を防ぐ意味でも一定の規定は必要ではありますが、仮想通貨の理念との兼ね合いも難しいところでしょう。

執筆者 西村大樹

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