「レンディング」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか?
レンディングは貸仮想通貨とも呼ばれ、保有している仮想通貨を取引所に貸し出して利息報酬を得ることができます。
一般的な仮想通貨取引のような投資知識を必要とせず、預けておくだけで暗号資産を増やせることから人気が高まっていますが、リスクやデメリットもあり全ての取引所でレンディングができるわけではありません。
今回はレンディングの基礎知識やメリット、デメリットを詳しく解説します。またレンディングにおすすめの仮想通貨取引所もご紹介しますのでぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
仮想通貨のレンディングとは?
仮想通貨のレンディング(貸仮想通貨)とは保有する仮想通貨を定められた期間仮想通貨取引所に貸し出すと、金利が上乗せされ利息報酬が得られるサービスです。「仮想通貨の貸出」なので、何もしなくても利息による利益を得ることができます。
このレンディングは最近特に人気が高まりつつあります。短期間で大きな利益を得ることはできませんが、金利が高く低リスクで仮想通貨を増やすことができます。
またレンディングは長期投資に向いており、仮想通貨を長期で保有して着実に暗号資産を増やしたいユーザーにおすすめです。
レンディングサービスを取り扱う取引所も増えており、ユーザーは仮想通貨のトレード以外にレンディングという新たな投資方法を選択できるようになりました。
仮想通貨のレンディングの仕組み
仮想通貨のレンディングの仕組みについて以下の3つの観点から解説します。
- 取引所は貸付人と借入人の仲介者
- 金利の決まり方
- レンディングとステーキングの違い
取引所は貸付人と借入人の仲介者
レンディングでは仮想通貨取引所が仮想通貨の貸付人と借入人の仲介者となり、通貨の貸し借りが行われます。
仮想通貨取引所は貸付人に指定の利息報酬を支払い、借入人からはそれ以上に高い利息を得て利益を出しています。
つまりレンディングは、ユーザー同士が取引所を介して仮想通貨の貸し借りを行うことで成り立っているのです。
また貸付人は利息報酬を仮想通貨で受け取るシステムとなっています。例えば1ビットコイン(BTC)を年利3%で貸し出した場合、満期時には1ビットコイン(BTC)と利息報酬の0.03ビットコイン(BTC)が支払われるのです。
金利の決まり方
レンディングにおける金利とは仮想通貨の貸し借りを行う際の手数料のようなものです。
法定通貨における金利は中央銀行や政策金利などによって決められますが、仮想通貨のレンディングの金利は借入人の需要や各国の規制などを踏まえ、運用可能なレンディング金利を決定しています。
また仮想通貨市場の動きも金利に影響を与えています。仮想通貨市場が盛り上がると参入するユーザーも多くなるため、レンディングの金利も上昇するのです。
レンディングとステーキングの違い
レンディングと比較される仮想通貨投資法としてステーキングがあります。ステーキングは仮想通貨取引所が指定する通貨を保有すると、利息報酬が得られるシステムです。
レンディングもステーキングも仮想通貨取引所に通貨を預けて利息報酬を得る投資法ですが、期間や金利などが異なります。
【レンディング】
- 保有数/貸出数:制限あり
- 対象銘柄:多い
- 期間の縛り:あり
- 利息報酬:固定
- 金利:1〜10%
【ステーキング】
- 保有数/貸出数:制限なし
- 対象銘柄:少ない
- 期間の縛り:なし
- 利息報酬:変動
- 金利:2〜6%
仮想通貨のレンディングのメリット
レンディングのメリットについてご紹介します。
- 取引せずに仮想通貨が増やせる
- 銀行預金よりも金利が高い
- 手間・投資スキルが不要
- 比較的少額から利用できる
- 持ち逃げなどのトラブルが起きるリスクが低い
取引せずに仮想通貨が増やせる
レンディングにおける最も大きなメリットは、仮想通貨取引のように時間を費やすことなくインカムゲインを得ることができる点です。
このような利益を不労所得と呼び、ユーザーは労働時間を費やすことなく利益を得ることができます。従って余った自分の時間を有意義に使うことができるでしょう。
銀行預金よりも金利が高い
銀行預金よりも遥かに高い金利もレンディングのメリットです。
- 銀行預金の平均金利:0.001%〜0.002%
- レンディングの平均金利:1〜10%
レンディングは貸付期間が短い低リスクなものでも金利が1%程あり、仮想通貨取引所や銘柄、貸出期間により金利が10%を越えるものもあります。
レンディングならではのデメリットもありますが、銀行預金と比較すると金利の差は歴然です。
手間・投資スキルが不要
レンディングは仮想通貨取引と異なり、手間や投資スキルを必要としない点もメリットです。
ユーザーが仮想通貨取引所に通貨を貸し出した後は、貸出期間の満期まで待つだけで利息報酬が得られます。
従って投資スキルのないユーザーや仕事で忙しい兼業投資家も気軽にレンディングサービスを利用することができるのです。
比較的少額から利用できる
レンディングサービスは比較的少額から利用できる点もメリットです。
例えば下記の仮想通貨取引所におけるビットコイン(BTC)の最小貸出数量は次のような金額になっています。
- GMOコイン:約50万円相当額/0.1BTC
- ラインビットマックス(LINE BITMAX):約5万円相当額/0.01BTC
- コインチェック(Coincheck):約1万円相当額
GMOコインのようにまとまった数量や金額を貸し付けしなければならない取引所もありますが、約1〜5万円といった比較的少ない金額からレンディングサービスを利用することができます。
※仮想通貨の銘柄によって最小貸出数量は異なるため、あらかじめ調べておきましょう。
持ち逃げなどのトラブルが起きるリスクが低い
仮想通貨取引所のレンディングサービスを利用すれば、暗号資産の持ち逃げなどのトラブルが起きるリスクが低いこともメリットです。
個人間の貸し借りであれば、貸した仮想通貨を持ち逃げされるなどのリスクもあります。
仮想通貨取引所では「消費貸借契約」を締結するため、貸付人と借入人双方が法的に安心してレンディングサービスを利用することができるのです。
仮想通貨のレンディングのデメリット
続いてレンディングのデメリットについてもご紹介します。
- 貸出中の価格変動リスク
- 狙ったタイミングで貸し出せない
- 貸し出した通貨は法で保全されない
貸出中の価格変動リスク
仮想通貨のレンディングにおいて、通貨の貸し出し期間中に価格が変動するリスクがあるというデメリットがあります。
仮想通貨を貸し出している期間も常に価格は変動するため、通貨の価格が暴落する可能性もあります。
損失を最小限に抑えるために価格が暴落した仮想通貨を早く売却しようとしても、貸し出し期間中は速やかに売却することができません。
売買する場合は貸出契約を解除して仮想通貨を戻してもらわなければならず、また取引所によっては中途解約ができないところもあります。
また貸し出し期間中に仮想通貨の価格が高騰した場合も売却や送付ができないという点も視野に入れておきましょう。
狙ったタイミングで貸し出せない
レンディングは気軽に利用できるサービスですが、常に仮想通貨の貸し出しができるわけではないこともデメリットです。
どの仮想通貨取引所も具体的な数値は明らかにしていませんが、借入上限枠が設けられています。そのため狙ったタイミングで貸し付けを行うことができず、取引所の借入可能枠に空きが出るまで待たされる場合もあります。
貸し出した通貨は法で保全されない
貸し出した仮想通貨は「資金決済法」の保全対象とならないため、万が一仮想通貨取引所が廃業した場合戻らない可能性があります。
そのようなデメリットや長期間通貨を貸し出すことを考慮し、レンディングサービスを利用する際は安全で信頼性の高い仮想通貨取引所を選ぶことが大切です。
レンディングサービスを利用する方法2つ
レンディングサービスを利用する方法には以下の2つが挙げられます。
- 仮想通貨取引所のレンディングサービスを利用
- DeFiのレンディングサービスを利用
仮想通貨取引所のレンディングサービスを利用
国内外の仮想通貨取引所が提供するレンディングサービスを利用するのは最もメジャーな方法です。
レンディングサービスを利用するには、レンディングを行っている仮想通貨取引所に口座を開設する必要があります。
レンディングがスタートした頃は主に海外の仮想通貨取引所がサービスを提供していましたが、最近は国内でもレンディングサービスを提供する取引所が増えています。
国内の仮想通貨取引所は信頼性が高く日本語に対応しているため、より安心してレンディングサービスを利用することができるでしょう。
Defiのレンディングサービスを利用
DeFi(Decentralized Finance)のアプリケーションである「レンディングプラットフォーム」を利用してレンディングサービスを利用することもできます。
レンディングプラットフォームには仲介者が存在せず、ユーザー同士が自由に仮想通貨の貸し借りを行うシステムです。
金利はアルゴリズムで定められ、需要が上がると金利も上昇します。前述したように仲介者が存在しない分、金利も高い傾向にあります。
しかし仮想通貨取引所のレンディングサービスより暗号資産の持ち逃げなどのリスクは高いと考えて良いでしょう。
レンディングする仮想通貨取引所を選ぶポイント
仮想通貨取引所のレンディングサービスを利用する際のポイントについてまとめました。
- 金利の高さ
- 自由度の高さ
- 銘柄による違い
- 取引所の廃業リスク
仮想通貨のレンディングは取引所で金利やリスクなどが異なります。リスクを考慮した上で、より金利の高い取引所を選ぶことが重要です。
金利の高さ
レンディングを行う際はまず金利の高さに注目するのがポイントです。
例えば下記のように非常に金利が高水準である仮想通貨取引所を選ぶのも良いでしょう。
- コインチェック(CoinCheck):最大年利5%(365日貸出)
- ラインビットマックス(LINE BITMAX):最大年利12%(固定期間型・90日プラン)
※金利が高い銘柄はその分リスクも伴いますが、そのリスクが許容範囲であるか検討することが大切です。
自由度の高さ
レンディングにおける貸出期間や中途解約の可否などの自由度は取引所により異なるため、自由度の高い取引所を選ぶこともポイントです。
前述したように仮想通貨の貸出中には価格変動のリスクが伴うため、自由度が高い取引所を利用する方が万が一の事態にも対応しやすくなります。
【コインチェック(Coincheck)】
中途解約の可否:不可
貸出の自動更新:可能
貸出期間・貸借料率:
14日→1%
30日→2%
90日→3%
180日→4%
365日→5%
【GMOコイン】
中途解約の可否:可能(解約手数料有り)
貸出の自動更新:可能
貸出期間・貸借料率:
1ヶ月→1%
3ヶ月→3%
【ラインビットマックス(LINE BITMAX)】
中途解約の可否:
固定期間型→不可
変動期間型→1日単位で解約可能
貸出の自動更新:可能
貸出期間・貸借料率:
固定期間型→8~12%程度
変動期間型→毎日変動
【ビットポイント(BITPOINT)】
中途解約の可否:不可
貸出の自動更新:可能
貸出期間・貸借料率:募集により異なる
このように自由度や金利は仮想通貨取引所により様々です。リスクを踏まえて自分に合った取引所を選ぶことが重要だと言えます。
銘柄による違い
仮想通貨取引所によりレンディングサービスに対応している仮想通貨の銘柄は異なり、銘柄により下記のような違いがあります。
【銘柄による違い】
- 金利
- 価格変動のリスク
- 借入上限
- 最小貸出数量
- 最大貸出数量
特に通貨ごとに違う「価格変動のリスク」には注意が必要です。
取引所の廃業リスク
レンディングにより貸し出した仮想通貨は法律により保全されていないため、取引所が廃業すると返還されない可能性があります。
従ってレンディングサービスを利用する仮想通貨取引所の組織体制や資金力、収益情報などを押さえておくことをおすすめします。
レンディングにおすすめの仮想通貨取引所
レンディングにおすすめの仮想通貨取引所をご紹介します。
- コインチェック(Coincheck)
- GMOコイン
- ビットバンク(BitBank)
コインチェック(Coincheck)
取り扱い通貨数:17種類
取引所手数料:無料
販売所手数料:0.1〜5.0%
レンディング対応通貨:
ビットコイン(BTC)
イーサリアム(ETH)
イーサリアムクラシック(ETC)
リスク(LSK)
ファクトム(FCT)
リップル(XRP)
ネム(XEM)
ライトコイン(LTC)
ビットコインキャッシュ(BCH)
モナコイン(MONA)
ステラルーメン(XLM)
クアンタム(QTUM)
ベーシックアテンショントークン(BAT)
アイオーエスティー(IOST)
エンジンコイン(ENJ)
オーエムジー(OMG)
パレットトークン(PLT)
レンディングの金利:
14日→1%
30日→2%
90日→3%
180日→4%
365日→5%
コインチェック(Coincheck)は日本の仮想通貨取引所であり、金融庁より「暗号資産交換業者」の認定を受けた信頼性の高い取引所です。
2014年8月からコインチェック(Coincheck)のサービスはスタートされ、仮想通貨の購入や売買、送金をはじめレンディングをすることができます。
他にもビットコイン(BTC)の決済サービスや仮想通貨積立サービスなど様々なサービスを利用することも可能です。
また取り扱い銘柄数とレンディング対応通貨数が国内の仮想通貨取引所で最も多いことが特徴です。
レンディングにおける金利もプランに応じて最大5%と高く、最低投資額も最低1万円からと比較的リーズナブルなため初心者でもレンディングを始めやすいでしょう。
貸出上限枠は公表されていませんが、借入可能枠ができ次第ユーザーの貸出申請順に承認する形を取っています。
GMOコイン
取扱通貨数:14種類
取引所手数料:
Maker→-0.01%
Taker→0.05%
販売所手数料:無料
レンディング対応通貨:
ビットコイン(BTC)
イーサリアム(ETH)
ビットコインキャッシュ(BCH)
ライトコイン(LTC)
リップル(XRP)
ネム(XEM)
ステラルーメン(XLM)
ベーシックアテンショントークン(BAT)
オーエムジー(OMG)
テゾス(XTZ)
クアンタム(QTUM)
エンジンコイン(ENJ)
ポルカドット(DOT)
コスモス(ATOM)
レンディングの金利:
1ヶ月コース→1%
3ヶ月コース→3%
※メイカー(Maker)とは取引板にはない価格で注文を出して約定した取引を指し、一方テイカー(Taker)とは取引板に並んでいる注文で約定した取引を指します。
GMOコインは日本の仮想通貨取引所で、2021年度「オリコン顧客満足度No.1」に選ばれた人気の高い取引所です。
コインチェック(Coincheck)に続き取り扱い銘柄が多く、様々な銘柄に投資することが可能です。また取引開始するまでの時間が最短10分と短いため、すぐに仮想通貨取引をしたいユーザーにも適しています。
レンディングの金利は1ヶ月コースと3ヶ月コースの2種類で変動する点と、レンディングの途中でも解約可能な点が特徴です。中途解約の際には受取予定の貸借料10%が手数料として必要です。
ビットバンク(bitbank)
取扱通貨数:10種類
取引所手数料:
Maker→-0.02%
Taker→0.12%
販売所手数料:無料
レンディング対応通貨:
ビットコイン(BTC)
リップル(XRP)
ライトコイン(LTC)
イーサリアム(ETH)
モナコイン(MONA)
ビットコインキャッシュ(BCH)
ステラルーメン(XLM)
クアンタム(QTUM)
ベーシックアテンショントークン(BAT)
オーエムジー(OMG)
レンディングの金利:最大3%
ビットバンク(bitbank)は2014年5月に設立された日本の仮想通貨取引所で、仮想通貨取引量が国内で最も多いと言われています。
取り扱い銘柄数は少ないものの、草コインと呼ばれるアルトコインを取り引きできるのが特徴です。また手数料を抑えて取り引きしたい人や情報をより多く得たい人にもおすすめの取引所と言えます。
レンディングの金利は年率最大3%で1年間行えるサービスを提供しています。中途解約は基本的にできませんが、場合によっては解約が認められ5%の手数料が発生します。
【まとめ】レンディングのポイントはリスク許容度と計画性が大切
レンディングについてご理解頂けましたでしょうか。
レンディングは手間も投資スキルを必要せず、仮想通貨を着実に増やせる方法です。
しかし貸し出し中の価格変動のリスクや仮想通貨取引所によっては中途解約ができないなどといったデメリットもあります。
そのためレンディングサービスを利用する仮想通貨取引所を選ぶ際は、自分のリスクの許容度を踏まえて最大限の利益が得られる取引所を選ぶようにしましょう。
また仮想通貨を貸し出す額によってもリスクの大きさは変わってくるため、計画性を持ち自分にとって適切な範囲内で投資をすることをおすすめします。
まだ仮想通貨取引所の口座開設をしていない人はこの機会に開設を行い、レンディングを始めてみませんか。