仮想通貨が日本で暗号資産と呼ばれるようになって5年以上が経過し、仮想通貨は“ステーブルコイン”と呼ばれる、現実の通貨に連動した価値を持つものが登場しました。
そんなステーブルコインの中でもかなり信頼性が高く、実際の取引にも利用されている“Pax Dollar(パックス ダラー)”をご存じでしょうか。
このステーブルコインは米企業のPaxos(パクソス)が発行しており、一時は価格が下落したものの、安定した価格を維持しています。
今回は今注目のPax Dollarについて仮想通貨初心者にも詳しく解説していくので、
「Pax Dollarについて知りたい」
「ステーブルコインって?」
こんな疑問を解決できる内容となっています。
目次
ステーブルコインとは?
Pax Dollarの解説の前に、まずはUSDPの最大の特徴であるステーブルコインについて少し触れておきます。この部分が分からないとPax Dollarの凄さが分かりづらくなってしまうので、簡単にご紹介しておきましょう。
ステーブルコインとは、法定通貨に価値が連動する仮想通貨のことを言います。例えば、米ドルにペッグ(固定)されたステーブルコイン、USDT(テザー)であれば1USDTは1ドル。日本円にペッグされたステーブルコインJPYCであれば、1JPYCは1円というようになります。
変動率(ボラティリティ)の大きな仮想通貨において、価格が安定するステーブルコインは法定通貨と同じように取り扱うことが可能というメリットがあり、一部の取引では、法定通貨と同じように使われる場面も出てきました。
ステーブルコインには価値を担保する資産により
- 法定通貨担保型
- 仮想通貨担保型
- 無担保型
に分けられ、価値を保証します。そのため、担保する資産に何らかのトラブルが発生すると、ステーブルコインとしての価値がなくなり、法定通貨との連動がストップします。
価格が安定し、法定通貨の代わりとなるステーブルコインですが、価値の補償という意味では法定通貨の代わりにはなり得ない仮想通貨です。
参考記事はこちら
https://bitcastle.io/column/post-395/
Pax Dollar(USDP)とはどのような仮想通貨?
名称 | Pax Dollar(パックス ダラー) |
トークンシンボル | USDP |
時価総額 | ¥116,836,017,305(2023/3/12) |
公式ページ | https://paxos.com/usdp/ |
https://twitter.com/paxosglobal | |
https://www.facebook.com/PaxosGlobal/ | |
Linked in | https://www.linkedin.com/company/paxos/ |
Pax Dollarとは、アメリカのブロックチェーンインフラを開発する企業“Paxos(パクソス)”が開発した仮想通貨です。
この仮想通貨は、分散型金融(DeFi)が将来的に普及することを見込んだPaxosが、安心して利用できるステーブルコインをコンセプトに開発しています。そのため、USDPは仮想通貨でありながらニューヨーク州の金融サービス局に管理・規制され、信頼性が非常に高く、多くの利用者が存在します。
残念ながら、これまで行われていたバイナンスのステーブルコイン“BUSD”とPax Dollarの連携が終了してしまったため、今までのようなスピードでの普及は難しくなりました。しかし、ステーブルコインの中でも信頼性の高いUSDPは、いずれステーブルコインの代名詞と言えるほどの将来性を秘めている仮想通貨です。
Paxosという会社について
Paxosは前述の通り、ブロックチェーンインフラを構築する企業です。特に分散型金融プラットフォームの構築をメインとしており、
- 暗号資産
- 有価証
- 貴金属
上記のような取引・決済プラットフォームをブロックチェーン上に構成しています。分散管理されているこれらのプラットフォームは、取引コストの削減に貢献し、決済サービスの利用にも費用は掛かりません。
暗号資産取引に関わる分野では、大手決済サービス“PayPal(ペイパル)”に協力するなど、Paxosの技術力はブロックチェーンインフラ業界に大きな影響を与え、注目する企業も増えてきています。
ただ、これらのプラットフォームは非常に有益ですが、個人間で利用することはまだできません。企業向けプラットフォームとしての側面が強いので、いつも利用している企業にPaxosのプラットフォームが導入される日は近いかもしれませんね。
Pax Dollar(USDP)の特徴
特徴①非常に信頼性の高いステーブルコイン
Pax Dollarの特徴は、USDPの信頼性が非常に高いという点です。最初にご説明した通り、ステーブルコインの信頼性は、そのトークンの価値を担保する資産に影響を受けます。
Pax Dollarは米ドルにペッグされた法定通貨担保型のステーブルコインです。トークンの価値は最も安全な法定通貨、米ドルに保障されており、急激な価格変動は起こりにくい設計となっています。
もちろん法定通貨担保型のステーブルコインと言っても、発行元が十分な法定通貨を持っていなくては、担保の信頼性は大幅に低下してしまいます。Pax Dollarはその点についても問題ありません。
Pax Dollarの発行元であるPaxosのステーブルコインリザーブポートフォリオ(ステーブルコインの価値を担保している資産の内訳)は、US GAAP(米国会計基準)に基づく現金および、それと同等の資産3つで構成されています。
つまり、“一般的に価値がある商品でのみ資産が担保されている”というわけです。仮想通貨担保型や、無担保型のステーブルコインに比べて、Pax Dollarが信頼性の高いステーブルコインである理由にはこういった点があります。
特徴②透明性も高いステーブルコインである
Pax Dollarは安全性も高いですが、透明性の高いステーブルコインでもあります。ステーブルコインは“資産”である以上、信頼度とそれを裏付ける透明性も重要です。
実は、Paxosの公式ページを見ると、Pax Dollarのステーブルコインリザーブポートフォリオの中身が公開されています。ここまでステーブルコインの透明性を主張している銘柄はそう多くありません。
ステーブルコインは、全体で見ると無担保型の銘柄や、担保型ではあるが、資産価値が怪しい銘柄など、信頼性のおけないモノがたくさんあります。
そんな中、透明性を主張し、安全性に配慮したPax Dollarは非常に特徴的なステーブルコインと言えるでしょう。
Pax Dollarのステーブルコインリザーブポートフォリオのレポートが気になる方は、公式ページのプロダクツからを選択。“View Reports”からご覧になれます。
特徴③Paxosが破産しても資産が保全される
Pax Dollarは、発行元であるPaxosが破綻し、価値の担保なくなったとしても資産はすべて保証されます。
これはPax Dollarを利用する一番のメリットです。一般にステーブルコインは、発行元となる企業や団体がその価値を保証できなくなると価値が失われてしまいます。最近の例で言えば、テラUSDの暴落ニュースが有名でしょう。
無担保型のステーブルコインであるテラUSDは、資産による価値の保全は行わず、アルゴリズムによって価値を担保していました。
そのアルゴリズムが機能しなくなったとたん、価値が1ドルで固定されていたテラUSDは10セント程度まで値段を落とします。この時に失った資金は戻ってくることはなく、多くの投資家が損失を出しました。
この事件は無担保型のステーブルコインだから起こったのではなく、担保型のステーブルコインでも、担保資産の価値がなくなれば同様です。
そんな時、Pax Dollarはこの損失を補填し、ユーザーを保護する仕組みが作られています。他のステーブルコインにはないこの特徴は、まさにステーブルコインをインフラとして機能させるために作られた仕組みと言っても過言ではないでしょう。
Pax Dollar(USDP)の価格推移
Pax Dollarはステーブルコインです。基本的に価格は1ドル前後で押さえられ、大きく外れることはありません。
USDPは投資に向いているか
USDPは非常に安定性の高いステーブルコインなので、投資には向いていません。しかし、昨今のドル高基調が続くと考えれば、米ドルと価値が連動するUSDPも利益が見込めるでしょう。
しかし、わざわざドル高を見越してステーブルコインを買う必要もないので、やはりUSDPは投資に不向きな銘柄と言えます。
USDPの購入方法
USDPは現在、公式ページにログインしPaxosのプラットフォームから購入できます。バイナンスからは購入できませんのでご注意ください。
また、Paxosのプラットフォーム以外では“Coinbase”からでも購入できます。購入手順は以下の通り。
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- STEP.01購入
- bitcastleからクレジットカードを使ってETHを購入
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- STEP.02送金
- bitcastleで購入したETHをCoinbaseに送金する
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- STEP.03購入
- ETHを使ってUSDPを購入する
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- STEP.04確認
- USDPが反映されているか確認する
ETHをbitcastleで購入する理由
ETHをbitcastleで購入する場合、実はクレジットカードが使えます。わざわざ銀行振り込みをする必要がないので大変便利ですね。
bitcastleの口座はメールアドレスのみですぐに作成できるので、口座開設もスピーディに行えます。
bitcastleの口座をお持ちでない方は無料ですぐに作成できますので、ぜひこの機会に登録してはいかがでしょうか。
Pax Dollar(USDP)の将来性
Pax Dollarの将来性は大変有望だと言えるでしょう。その理由は以下の3つ。
- 安定しているステーブルコインだから
- Pax Dollarを発行しているPaxosがインフラ構築で注目を集めているから
- ステーブルコインの利用範囲が広がってきているから
順番に見ていきましょう。
理由①安定しているステーブルコインだから
Pax Dollarの特徴でもご紹介しましたが、このステーブルコインの安定性は他のステーブルコインと比べても群を抜いています。今はまだバイナンスUSD(BUSD)やテザー(USDT)には及びませんが、いずれはこれらの銘柄と肩を並べくるくらいの知名度まで伸びてくるはずです。
理由②Pax Dollarを発行しているPaxosがインフラ構築で注目を集めているから
Paxosの構築する取引プラットフォームは、多くの企業から注目を集めています。また投資家向けに作られた暗号資産取引プラットフォーム“itBit”は第三者によるサービス統制保障基準であるSOC2 Type2を取得しています。
これは高い信頼性や、気密性が保障されているという評価であり、信頼性のあるプラットフォームにしか与えられません。
Pax Dollarはこれだけのシステムを運営するPaxosが発行しているステーブルコインです。恐らく、今後はさらにユースケースの幅が広がっていくでしょう。投資的な意味合いで取得する必要はないですがitBitの利用を検討しているような方は保有してもいいかもしれません。
理由③ステーブルコインの利用の幅が広がってきているから
ステーブルコインの利用の幅は年々広がってきています。例えば、日本円のステーブルコインY-TORA(エントラ)を使ったAmazonの代理購入サービスが始まったり(現在はサービス停止中)NFTの購入代金にしたりと、仮想、現実問わず利用シーンがあります。
今までは“必要な時に入手してサービスを利用する”という流れだったステーブルコインでしたが、資産価値が保障されているPax Dollarは“必要になりそうだから持っておく”という仮想通貨になるかもしれません。
もちろんステーブルコインなので、ホルダーが増えたから価値が上がるという性質はありませんが、資産の分割先としてPax Dollarは非常に有用です。
“常に一定のPax Dollarを保有している”というユーザーが出てくる可能性があるほど将来性に期待できるステーブルコインです。
まとめ:Pax Dollarは信頼できるステーブルコイン
Pax Dollarが、いかに信頼性の高いステーブルコインであるということがお分かり頂けたでしょうか。
仮想通貨の魅力である、ハイリスク・ハイリターン投資と対極に位置するPax Dollarは実用的で資産価値のある仮想通貨であると言えるでしょう。
確かに投資的な魅力やリターンはありませんが、Pax Dollarはステーブルコインの在り方を変える仮想通貨になる可能性を秘めています。
今は保有するメリットや優位性はありませんが、今後有名になるかもしれないステーブルコインとして覚えておいてもいいかもしれませんね。
執筆者 西村大樹