2025年9月の米国小売売上高は前月比＋0.2％と、“横ばい”に近い結果となりました。

生活必需品や外食サービスが堅調だった一方で、家具・家電など一部の裁量消費には弱さも見られ、消費の勢いにばらつきが出ています。

本記事では、小売売上高の内訳と注目すべきポイントを整理したうえで、為替市場がどのように反応したのかを解説していきます。

小売売上高の結果

2025年9月の米国小売売上高は、前月比＋0.2％ でした。

増加幅は小さく、消費は横ばいに近い状態です。

一方、前年比では＋4.3％と、全体のトレンドとしては堅調が続いています。

また、自動車を除く売上高は＋0.3％、ガソリンスタンドを除くと±0.0％ と、業種間のばらつきは小さめです。

必需品とサービスは底堅く、一部の裁量消費が弱いという構図が続いています。

小売売上高の中身

9月は、必需品とサービスが消費を支える一方で、裁量消費には弱さが出たという構図でした。

まず、生活必需品は安定しており、食品・飲料は前月比＋0.2％、食品雑貨は＋0.3％と堅調でした。

医薬品などを含むヘルス＆パーソナルケアは＋1.1％と伸びが大きく、消費全体を押し上げています。

外食・飲食サービスは＋0.7％と力強い伸びで、サービス消費の強さが続きました。

一方、家具・家電・スポーツ用品などの裁量消費は弱めで、家電は▲0.5％、スポーツ用品は▲2.5％ とマイナスが目立ち、高金利の影響がうかがえます。

無店舗（Eコマース）は▲0.7％と小幅に減少しましたが、前年比では＋6.0％と依然として高い成長が続いています。

ガソリンスタンドは＋2.0％。

これは需要増というより、ガソリン価格の上昇が名目値を押し上げた形です。

総じて、必要性の高い分野は堅調で、金利に敏感な裁量消費は弱めという、現在の米国消費の特徴がそのまま出た内容となりました。

小売売上高のポイント

今回の小売売上高には、今後の景気や政策判断を見ていく上で押さえておきたい点が3つあります。

① 消費の伸びは横ばいに近い

前月比＋0.2％という小幅な伸びは、8月までの堅調さから一服した状態です。

必需品が下支えする一方で、裁量消費の弱さが目立ち、全体として勢いはやや鈍っています。

② サービス消費が引き続き強い

外食・飲食サービスが＋0.7％と伸び、「モノからサービスへ」という消費シフトが続いています。

米国消費の構造的な流れを確認できる内容でした。

③ 名目値のため、実質の強さは慎重に判断

小売売上高は価格変動を含んだ名目の指標です。

ガソリンの＋2.0％など、価格要因で押し上げられた分を差し引くと、実質消費はやや弱めに見える可能性があります。

小売売上高の為替市場の反応

今回の小売売上高は市場予想を下回り、実質ベースではマイナスに転じました。

そのため、「12月利下げの可能性が高まった」 との見方が一気に広がり、発表直後から米金利は低下し、ドル売りが優勢に。

ドル円も下方向に動き、一時155円後半まで下落して安値を更新しました。

市場の反応はシンプルで、

弱い消費 → 利下げ観測の拡大 → 米金利低下 → ドル安

という流れがそのまま表れた内容でした。

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