仮想通貨で20万円以下の利益だと税金は?納税義務を把握!

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「仮想通貨の利益が20万円以下だと税金は発生しない?」
「確定申告はしなくても良い?」
「仮想通貨の利益を20万円以下に抑える方法は?」

仮想通貨で利益が出ると不安になるのが『税金』についてです。

20万円以下の利益であれば税金を納める義務がないと聞いたことがあるものの、本当に納税義務や申告義務がないのか不安でこのページに辿り着いた方も多いことでしょう。

今回は、仮想通貨の利益が20万円以下だった場合に発生する税金と申告義務についてご紹介します。さらに、仮想通貨の利益を20万円以下に抑える方法を節税のポイントも交えながら解説していますので、納める税金の額を少しでも抑えたいという方は参考にご覧ください。

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仮想通貨においての「利益」の考え方

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仮想通貨の利益とは何かをおさらいしておきましょう。

仮想通貨での利益とは、所得から経費を差し引いた額になります。

利益=所得ー経費

例えば、仮想通貨を10万円分購入し、売却時は35万円になっていたとします。単純計算すると、30万円から10万円を引いた25万円が利益となりますが、25万円の利益を得るために同じ年に10万円分の書籍やセミナー代を払ったとすれば経費をして差し引くことができ、利益は15万円となります。

仮想通貨の取引をするために購入したパソコンも経費として計上できますが、耐用年数に応じて減価償却する必要があるため、全額を経費として計上することはできません。

仮想通貨による所得は「雑所得」

所得は下記の9つに分類され、下記の分類に当てはまらない所得は表記上「その他」の所得となります。その他の所得は「雑所得」と呼ばれ、仮想通貨の取引などで得た利益は雑所得となります。

所得の分類

  1. 利子所得
  2. 不動産所得
  3. 給与所得
  4. 退職所得
  5. 譲渡所得
  6. 事業所得
  7. 配当所得
  8. 山林所得
  9. 一時所得

雑所得には、仮想通貨での利益の他に 公的年金や印税、講演料、原稿料、アフィリエイト収入、FX取引による収入、外貨建預貯金の為替差益などが含まれます。

雑所得での利益や損失は他の所得と相殺することができず(損益通算)、たとえば「宝くじで100万円の当選金をもらった(一時所得)けど、仮想通貨の100万円の損失があるからプラマイゼロ!」とはならず、当選金の額に応じた税金を支払わなけれななりません。

仮想通貨で利益が20万円以下の場合に発生する税金

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仮想通貨で利益が20万円以下の場合に発生する税金についてお話します。

はじめに知っておきたいのが、私たちが何らかの収入を得た時に発生する税金は「所得税」と「住民税」です。所得税は国税で、所得額に応じて変動し所得が高くなれば所得税も高くなります。これを累進課税と呼びます。対して住民税は地方税で、所得割と均等割を合算して算出され、それぞれ定率・定額となっています。わかりやすく言えば、所得税も住民税も収入が多ければ多いほど額が増えるとだけイメージしておいてください。

納税の発生有無や税額を決めるために私たちの収入を国や自治体へ申告する方法が「確定申告」です。会社員やパート・アルバイトなど1つの会社や組織などに勤めている方は、毎年会社側で年末調整が行われるため、個人で確定申告する必要はありません。

しかし、仮想通貨で利益を得るなど、給与所得以外の収入が発生した場合は、個人で確定申告する必要があり、また、収入の額に応じて所得税や住民税が発生します。

【申告不要】利益が20万円以下なら所得税の発生ナシ

仮想通貨で得た利益が20万円以下の場合は、所得税をプラスアルファで納税する必要はなく、確定申告も不要です。

何かしらの控除が発生する場合は、会社側へ控除があると申告をし、控除額がわかる通知書などを提出してください。

なお、家族の扶養に入っていて給与収入がゼロの場合は、基礎控除額まで申告は不要です。基礎控除は納税者の収入に応じて額が変動し、納税者の合計所得が2,400万円以下であれば48万円、2,400万円〜2,450万円以下であれば32万円、2,450万円〜2,500万円以下であれば16万円、2,500万円を超える場合は0円となります。

▼確定申告の切り分けについては下記の記事も参考にご覧ください。

「仮想通貨の取引で得た報酬は確定申告が必要?不要?」 「確定申告のやり方は難しい?」 仮想通貨の売買や取引で得た報酬は、取引内容や額面、...

【申告必要】住民税の発生はあり

仮想通貨で得た利益が20万円以下の場合でも、住民税の申告が必要で、利益の額に合わせて住民税もプラスアルファで発生します。20万円以下の場合でもその他の事情で確定申告する場合は、住民税の申告を別でする必要はありません。

住民税の申告期日と窓口

住民税申告は居住地が属する自治体の窓口(市役所や区役所)で、毎年2月の上旬から3月15日までに申告する必要があります。令和3年は新型コロナウィルスの影響により、特例として4月15日まで延長されました。

住民税申告の必要書類は以下の通りです。

  • 自治体指定の申告書
    (自治体のホームページや役所などで手に入ります)
  • 本人確認書類
    (運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
  • 個人番号確認書類
    (マイナンバーカード・マイナンバー通知カード・個人番号が記載された住民票など)
  • 前年度の収入や経費がわかる書類
    (給与所得の源泉徴収票・給与明細・支払い証明書など)
  • 各種控除がわかる書類
    (社会保険料支払いの領収書・控除証明書・医療費控除の明細書・寄付金の受領書など)

詳しくは自治体に確認してください。

住民税の支払い期間と支払い方法

住民税は毎年1月1日〜12月31日までの所得に応じた住民税を翌年の6月〜翌々年の5月に渡って支払うことになります。支払い方法は普通徴収と特別徴収の2パターンあり、普通領収は自宅に届いた納付書で支払いを、特別徴収は給与から天引きして支払いを行います。

仮想通貨で利益を得ていると会社に知られたくない方は、あらかじめ普通徴収で支払うことを会社へ申告しておきましょう。

ちなみに、普通徴収は一括払い用の納付書と4回分割払い用(6月・8月・10月・翌年1月末日)の納付書が一緒に届きます。

住民税の申告を忘れると「延滞税」が発生

住民税の申告を忘れると、「延滞税」が発生します。いわゆるペナルティです。

申告しなくてもバレないだろうと判断される方もいますが、仮想通貨の業者には「○○さんに○○円支払いました」といった支払い情報(支払調書)を税務署に申告する義務があるため、その申告で住民税の申告漏れが発覚します。

税務調査が入る前に自己申告した場合は延滞税の税率が軽減されますので、少しでも利益が出ている方は面倒がらずに申告した方が良いでしょう。

仮想通貨の利益を20万円以下に抑える方法

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「仮想通貨の利益が20万円を少し超えそうだな……」「できる限り納税額を低くしたい」という方は、仮想通貨の運用や資金管理を見直すだけで税額を下げられる可能性があります

方法としては、下記の3つに大きく分けられます。

  1. 売却・換金・交換しない
  2. 経費計上する
  3. 各種控除を活用する

詳しく解説していきます。

①売却・換金・交換しない

手軽に売り買いができる仮想通貨ですが、購入して保有すること自体は課税対象ではありません。つまり、仮想通貨を購入し、保有している仮想通貨の価値が購入時より上昇していたとしても、売却しなければ利益にならないのです。

仮に20万円以下の利益だったとしても翌年・翌々年の住民税の税額に反映しますので、よく考えて売却するようにしてください。

仮想通貨を電子マネーに交換・換金する場合も要注意です。取引所などで日本円に売却していないため利益が出ていないと勘違いしやすいですが、日本円の電子マネーに交換・換金した時点で、売却が成立した状態となります。

▼仮想通貨の換金については以下の記事も参考にご覧ください。

「仮想通貨を換金するにはどうすれば良い?」 「現金化されるまでの時間は?注意点はある?」 今回は、仮想通貨を換金する方法や申請してから換...

また、最近増えてきているケースが、ポイントを仮想通貨へ還元するサービスでの申告漏れです。お買い物をした時に付与されるポイントを仮想通貨に交換した場合は、何もないゼロの状態から仮想通貨という金融資産が発生したことになりますので利益が生じていますね。ふるさと納税の返礼品として仮想通貨を配布している自治体もあり、この場合も申告義務が生じます。注意しましょう。

マイニングやイールドファーミング、レンディングなど、仮想通貨をただ保有しているのではなく、保有することで利益が増えている場合は「利益が出ている」状態になります。売却や換金をしていなくても資産が増えていることになりますので気をつけましょう。

コールドウォレットで安全に保管する

仮想通貨はハッキングリスクの高い資産です。安全に管理するのであれば、オンラインに繋がっていないコールドウォレットでの保管がおすすめ。

コールドウォレットでも仮想通貨を保管できる仮想通貨取引所「bitcastle(ビットキャッスル)」は、主要な仮想通貨ペアの取引手数料が無料ですので、保管+取引にピッタリです。

デモトレードで取引を体験できますので、ぜひお試しください。

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②経費計上する

仮想通貨取引のために支払ったものは、経費としてきちんと計上しましょう。

仮想通貨の経費として認められているものは、

  • 仮想通貨の原価(取得費)
  • 書籍代や新聞代
  • 勉強会やセミナー代(交通費も計上OK)
  • 各種手数料
  • 仮想通貨取引で使用した分のインターネット回線代
  • パソコン代・スマホ代・アクセサリ代(減価償却必要な場合あり)
  • 税務申告の費用

などです。

「20万円以下まであと少し低ければ……」という場合は、仮想通貨取引に関する書籍を購入するなどで節税対策ができます。

住民税申告で経費を申告する方法

住民税申告で経費を申告する際、本当に経費としての出費があったかを確認するため領収書の提示を求められる場合があります。

特に決まったフォームや申告書などはありませんが、スムーズに申告するために経費帳や帳簿と領収書をセットで保管しておくと説明しやすいです。経費を記録するノートは文具店などでも販売されていますし、エクセルやスプレッドシートで管理するのも良いでしょう。

勉強会やセミナー代などに参加した際も、運営元に対して領収書を発行してもらうことを忘れないようにしてください。

なお、仮想通貨の取引所では確定申告用の書類発行が行っていないことがほとんどですので、自身のアカウントから取引履歴を確認し、損益計算を行う必要があります。金融庁に登録されている国内の仮想通貨取引所であればCSVでダウンロードできるようになっている取引所がほとんどですので、エクセルやスプレッドシートなどに貼り付けて整理してから、窓口に提出しましょう。

③各種控除を活用する

仮想通貨の利益に対して直接的な節税対策にはならないものもありますが、所得全体を見て節税対策をするのも方法の一つです。

仮想通貨の利益は総合課税といって1年間の所得全体に対して税率が決まるシステムとなっており、分離課税である株やFXは最大でも20%の課税に対し、総合課税である仮想通貨は最大55%の課税と、税制上で見ると損だと言われます。

ですが、所得にはさまざまな控除があり、トータルで考えると必ずしも損だとは言い切れません。ぜひ活用しましょう。

▼仮想通貨の詳しい節税対策はこちらの記事も参考にご覧ください。

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ふるさと納税

ふるさと納税とは、自治体に寄付することで税金の還付・控除が受けられる仕組みです。寄付のお礼として自治体独自の返礼品がもらえるので、お得感がありますね。

ふるさと納税は2,000円を超える額が控除対象となり、寄付額は所得に応じた上限が設定されています。

ふるさと納税は必ずしも「生まれ育った故郷」である必要はありません。応援したい自治体や、欲しい返礼品を選んで寄付することが可能です。

公益法人やNPO団体などへの寄付

公益法人やNPO団体など、税額控除対象法人への寄付も控除対象となります。公益財団法人日本ユニセフ協会といった世界規模の団体から、地域に密着した団体まで、多くの法人・団体が存在します。

税額控除対象法人一覧(内閣府)>

寄付などによる控除額は各団体から発行される通知書で把握が可能です。

住宅ローン控除

住宅をローンで購入した際に適用されるのが住宅ローン控除です。

  • 所得合計が3,000万円以下
  • 購入後6ヶ月以内に入居
  • 床面積50㎡以上
  • ローン返済期間10年以上
  • (木造中古の場合)築年数20年以内で耐震基準を満たしている

という条件で受けられます。

住宅ローン控除は年末時点のローン残高×1%で算出でき、上限が40万円となっています。仮に仮想通貨の利益が20万円以上で住宅ローン控除の条件に当てはまっていれば仮想通貨の利益分も合わせて控除対象となります。住宅ローンの控除を上限まで活用できていない場合も有効活用できることでしょう。

生命保険料控除・地震保険料控除

生命保険や地震保険に加入している場合も、保険料に応じて所得から控除可能です。

具体的には「生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」「地震保険」が該当します。また、税率計算が異なりますが「iDeCo(個人型確定拠出年金)」も控除対象です。

医療費控除・セルフメディケーション税制控除

医療費控除とは1年間に10万円以上の医療費を支払った場合に受けられる控除で、扶養家族の医療費も控除の対象となります。入院やケガの他、妊娠・出産にかかった費用も医療費控除の対象となります(里帰り出産や入院時の飲食代など自己都合の出費は対象外)。申告漏れされる方が多いので、忘れず活用したいところです。

「10万円の医療費は発生しなかった」という場合でも、セルフメディケーション税制による控除が受けられるケースがあります。セルフメディケーション税制とはドラッグストアなどで販売している「セルフメディケーション」「税控除対象」といった表示が入っている医薬品の購入額が1年間で12,000円以上だった場合に受けられる控除です。医療費控除を受けていない・レシートや領収書が残っていることを条件に利用できます。

【まとめ】仮想通貨で20万円以下の利益でも住民税申告は必須

仮想通貨で20万円以下の利益が出た場合に申告が必要な税金と、20万円以下に利益を抑える方法について解説しました。

最後にポイントをまとめます。

  • 仮想通貨の利益が20万円以下なら住民税申告のみ必要
  • 仮想通貨の利益が20万円を超えるなら確定申告が必要
  • 購入後保有しているだけなら非課税(利益とならない)
  • 仮想通貨の売却・交換・換金は課税対象
  • マイニングやイールドファーミングは課税対象

仮想通貨の利益は雑所得となり、他の所得と損益通算できません。また、損失を翌年に繰り越して相殺することも不可能です。

仮想通貨は乱高下が激しく、たった1日で資産が何倍にも上昇する場合があります。ビットコイン(BTC)が急騰した際も、億単位で儲けを得た「億り人」が話題になりましたが、所得税が払えず自己破産したという噂も飛び交いました。

「たった20万円以下だし……」と軽い考えは持たず、翌年に何倍も利益が出る可能性も踏まえて(その逆も同様です)、投資や資金の管理は丁寧に実施していきましょう

執筆者 西村大樹