仮想通貨の仕手グループが組織的に相場操縦か、約900億円の利益

アメリカの大手メディア、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は6日、仮想通貨業界において、組織的なしてグループによる「Pump and Dump(風説の流布)」が行われているとする調査結果を公表しました。

風説の流布とは、事実とは異なる「虚偽の情報」を流すなどして、集団で価格を吊り上げる(or暴落させる)ことで価格操作を行い、不当に売り抜ける(買い戻す)行為のことを言います。実際に投資家が投資判断をする際に誤認する可能性があり、株式市場では金融商品取引法で禁じられています。

WSJによると価格操縦は過去6カ月間に、121の仮想通貨市場で計175回行われたことを確認し、複数のグループが得た収益は8.25億ドル(約920億円)に上ると報告しています。多くの人々が被害を被ったことを明かし、「同様の悪徳グループは、他にも複数存在していると考えられ、数百〜数千人規模の人々が関わっている可能性もある。」と指摘しています。

WSJは、このような仕手グループの例としてクロークコイン(Cloakcoin)を取り上げています。このコインは過去に価格が何度も吊り上げられているとしています。

7月のはじめ、このコインは主要な取引所であるバイナンスで突然上昇し、これは「ビッグ・パンプ・シグナル」というグループによるものだと、WSJは説明しています。続けて、「クロークコインの価格がバイナンスで急騰した。ビッグ・パンプ・シグナルが、フォロワーに買いを入れるようにテレグラムにメッセージを送った直後のことだ。さらに、バイナンスでビットコインとのペアで最も取引されている上位10銘柄の価格は、クロークコインが急騰している間、ほとんど動かなかった」と、WSJは記述しています。

さらにこのグループはクローンコインを含めほかの仮想通貨市場でも、26回もの価格操縦に関与しており、250億円相当の取引を行ったことが明らかになりました。
グループ内では、決行日や時間、取引所などが事前に通知され、時間と同時に取引するコインが発表される仕組みになっているとしています。

一方で、ビッグ・パンプ・シグナルのあるメンバーは、「目標額に達するまで、メンバーは通貨を買い支えで購入し続けるよう促される。しかし、実際は”目標額”に達することはほとんどない。結果的に、私はわずか30秒間で5,000ドル(約55万円)の損失を被った。」とWSJのインタビュー答えています。

グループの情報を元に取引を行なっても、実際に多くの利益を得るのは、取引通貨を事前に購入したグループでもごく一部だということがわかります。

規制が強化されるまでは、このような行為はこれからも続く可能性はあり、個人投資家にとっては利益の獲得が厳しい市場となるかもしれません。

執筆者 西村大樹

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