ロシアがブロックチェーンで民主化をリード?

ニュースでは2016年に行われたアメリカの大統領選にロシアの関与があったいわゆるロシア疑惑や、先日行われた反プーチンデモの影響で「ロシア=独裁的」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?

しかし、今回お伝えするニュースはそういった内容とは大きく違うものです。
なにしろ首都モスクワが公平で、透明性の高い投票システムを開発したのですから。

投票にイーサリアムのシステムを導入

モスクワでは2014年から「Active citizen」という市民のための投票システムを取り入れています。

これは公務員が市民の投票の権利を守るために発足したもので、現在までに200万人もの人々が利用しています。
私たちが投票と聞くと選挙などを思い浮かべますが、このアクティブシチズンプロジェクトでは、地下鉄の列車の名前からスポーツ施設の座席の色まで市民の投票により決められます。
超直接民主主義だった古代ギリシャっぽいですね。

この度、このアクティブシチズンの投票システムにイーサリアムのブロックチェーンを採用することが分かりました。

モスクワ最高情報責任者のアンドレイ・ベレゾロフ氏は「これまで行った投票は、全てが公平だと信用されていたわけではないことを知っています。そのため私たちはブロックチェーンを利用することを決めたのです。」とインタビューで語っています。
実はこのプラットフォームは2017年12月からリリースされており、現在までに100以上のダウンロードがあるそうです。

セキュリティ会社が何度もハッキングなどのテストを行いましたが、アクセス数の変更や操作が行えないので投票の透明性は確保できるとの調査報告が出されています。

ベレゾロフ氏は自身のTwitterアカウントで「専門家チームは2025年までにこのシステムの利用者が他の地域に比べて、66%早い成長率で増えると見ています。」とツイートし、自信をのぞかせています。

しかし、現段階では仕様の場はモスクワに限られており他の地域での導入は予定されておりません。

地方都市でもブロックチェーンは活躍

ロシアでブロックチェーンが使われているのは、なにもモスクワだけではありません。

地方都市のカーニングラードではロシア中央開発銀行のVnesheconombank(VEB)と提携して、ブロックチェーンを利用した支払いシステムのテストを行ったと発表しました。

中央銀行の支払いシステムなら、それこそモスクワでやればいいんじゃないの?と感じますが、ロシアの西側にあるカーニングラードは国内でも高い経済成長を誇っている有力な地方都市なんです。

地理的にみてもポーランドやリトアニアと面しているため、効率的な決済システムを確立することは貿易でも大きな意味を持つのです。

プーチン大統領も積極的

以前から仮想通貨やブロックチェーンに大きな興味を持っていたプーチン大統領は、ロシア最大の銀行ズベルバンクの頭取を務めるヘルマン・グレフ氏と会談を行いました。

その階段の中で両者はブロックチェーンの重要性を語り、有用性は認めながらも慎重に取り扱う必要があると語っています。

ズベルバンクは2017年12月からすでに文書のやり取りや、ストレージサービスにおいて既にブロックチェーンを導入しています。

さらに間も無くスイスで仮想通貨取引所を解説する予定なんだとか。
プーチン大統領は新しい技術に乗り遅れる国家は「その技術においてリーダーシップを担った国の支配下に甘んじる」と表現しています。

過激な発言だと感じますが、過去から現在の出来事を思うとそうかもなあと納得してしまうところがありますね。

しかし、あまり表現の自由がないイメージのロシアでも、先進的で民主的な動きもあるのですね。
日本の行政は同じことができるのか、と考えると少し残念な気持ちになります。

 
執筆者 西村大樹

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