仮想通貨の税金は申告はしなくてもバレない?徹底解説します

「仮想通貨の利益って確定申告しなくてもバレないんじゃないの?」

「せっかく仮想通貨で利益が出たのに税金で持っていかれたくない」

近年の仮想通貨(暗号資産)ブームにより、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの投資で利益が出た人も多いのではないでしょうか。

その利益、しっかり確定申告していますか?

この記事では、仮想通貨で出た利益を確定申告しなければバレることがないのかという疑問や、仮想通貨の節税方法はあるのかなどの回答を詳しくお伝えしていきます。

仮想通貨の取引で納税義務が発生する人

まずは、仮想通貨で取引をしていくなかで、どのような人が確定申告をする必要があるのかを解説していきます。

仮想通貨で得た利益は「雑所得」として計上します。「雑所得」とは、「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得の9つの所得区分のどれにも該当しない所得」のことを指します。

仮想通貨として保有している間は、利益は発生していません。仮想通貨を別の通貨に両替したり、仮想通貨で買い物をしたタイミングで利益が発生します。別の通貨には、日本円や米ドル、他の仮想通貨なども含まれます。

毎年1月から12月までの合計利益が20万円を超えている場合は、「給与所得・退職所得以外の収入が年間20万円以上ある」という確定申告の必要条件に当てはまるため、翌年の2月16日から3月15日の間に、各地域の税務署で確定申告を行う必要があります。

会社員の場合は、勤めている会社で年末調整が行われますが、給与所得とは別に20万円以上の利益があれば、個人で確定申告をしなくてはなりません

仮想通貨の利益隠しはできない

仮想通貨の利益はインターネット上での取引で生まれるため、所得の把握は難しいと言われています。そのため、仮想通貨で利益が出ても「申告しなくてもバレないだろう」と考える人が多いかもしれません。

しかし、仮想通貨の利益を隠し通すことはできません。脱税は犯罪です。

申告隠しができない理由を詳しくご説明していきます。

税務署は仮想通貨取引所に調査依頼ができる

国税局は、情報公開制度を使い、仮想通貨取引所へ照会をし、大きな利益を出した口座と、その氏名や住所の情報を得ることができます。国税局は、リストをつくって順番に調査をすれば、数億円の利益を出した無申告者を簡単に見つけることができるのです。

税務署の職員が個人ブログやSNSをチェックしている

税務署の職員は、個人のブログやSNSなどの情報もチェックしています。

億り人(1億円以上の資産を築いた投資家)などは、ツイッターなどのSNSで積極的に情報発信をしており、仮想通貨ブームを巻き起こしました。また、ある程度の資産を築いた投資家は、どの程度稼いでいるのかなどの発信も積極的に行なっています。そのため、このような積極的な発信をしている投資家は税務署の職員に目をつけられやすいのです。

世界中の税務当局が情報交換できる

「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」により、外国の金融機関等を利用した脱税を防ぐ仕組みが作られました。世界中の税務当局が情報交換することができるため、外国の取引所を利用した脱税はできなくなっています。

脱税がバレたらどうなるの?

脱税は犯罪です。そのため、ペナルティを受けることになります。

ここでは、実際に脱税したことが税務署にバレたらどうなるのかを解説していきます。

500万円以下の罰金または5年以下の懲役

仮想通貨の不申告があった場合、「500万円以下の罰金または5年以下の懲役」という罰則が課されます。さらに、場合によっては、本来支払うはずの税額に「無申告加算税」や「重加算税」などが上乗せされます。

その年にバレなくても、7年前までさかのぼって延滞税を徴収されます。

ブロックチェーンは取引情報が改ざんできないため、取引履歴はどこまでもさかのぼることがで可能です。

自己破産してもなかったことにはならない

悪徳高利貸しから借金した場合、自己破産すればなかったことになります。しかし、税金の場合は自己破産しても消えません。自己破産と納税の義務は、切り離して考えられているのです。

税金のことを考えずに利益を使い切ってしまい、自己破産する状態になったとしても、納税の義務は消えないのです。

仮想通貨の節税対策

仮想通貨の利益を脱税することができないことは、よくお分かりいただけたと思います。しかし、せっかく利益を出したのに多くを税金として持っていかれては悲しいですよね。

ここでは、仮想通貨で利益を出した際の節税対策をご紹介していきます。

できる限り経費として計上する

仮想通貨取引のためにかかった費用は、経費として仮想通貨の利益から控除することが可能です。

ただし、会社員の副業として仮想通貨取引を行った場合に認められる経費は、仮想通貨取引の手数料や勉強するための書籍代やセミナー代などに限定されるでしょう。経費が多いほど控除額が大きくなり、税金がかかる所得は減ります。

これら以外にも、仮想通貨取引を行うことのみが目的のパソコンや通信費用も経費として認められる可能性もあります。しかし、その場合には「仮想通貨取引に必要な経費である」ことを証明しなければなりません。

利益確定をせずに保有し続ける

仮想通貨を日本円に変えずに保有し続ければ、税金がかかることはありません。

しかし、利益確定以外にも下記のようなタイミングで課税対象になるので注意してください。

  • 仮想通貨でモノやサービスを購入したとき
  • 仮想通貨同士の交換を行ったとき
  • 仮想通貨をマイニング(採掘)により取得したとき

個人事業主として開業する

個人事業主として開業すると、青色申告を行うことができます。

青色申告は、所得から65万円の控除ができることが税制上の大きなメリットです。

ただし、青色申告を行い65万円の控除を受けるためには、仮想通貨の利益を「雑所得」ではなく「事業所得」として計上する必要があります。

仮想通貨の利益を「事業所得」とすることは、下記のような条件を満たしている必要があります。

  • 事業として仮想通貨の投資を行っている
  • 仮想通貨の利益が生計の主軸となるものである
  • 反復、継続的に事業を行っている、など

そのため、会社員が、個人事業主として開業をした場合には、「事業所得」とは認められづらいことが多いようです。

もし、「事業所得」と認められて、青色申告ができれば、事業所得は雑所得と比べて、さらに「他の所得との損益通算ができる」ことや「損失3年繰越可能」などの税制上のメリットがあります。

【まとめ】仮想通貨の利益隠しはデメリットが大きい

前述したように、仮想通貨の利益を隠すことは困難です。そして、もし仮にその1年隠せたとしても今後数年に渡ってびくびく過ごすことや、様々な罰則を受ける可能性があることを考えるとデメリットが大きいです。

そんなことになる前に、すっきりと支払いを済ませてしまいましょう。

どうしても税金を支払うことに抵抗があるのならば、できる節税対策は全てして、少しでも利益を出すことを考えましょう。

仮想通貨はまだまだ新しい通貨のため、今後税法などが変更されることがあるかもしれません。情報を小まめにチェックし、わからないことなどは、税務署や税理士に相談することで解決できます。

今後、安心して仮想通貨を楽しむためにも、毎年の確定申告は忘れずに必ず行いましょう。

執筆者 西村大樹