FTXという仮想通貨をご存じでしょうか?FTXとは、トークンシンボルをFTTといい、仮想通貨取引所FTXが発行する仮想通貨です。
この仮想通貨のホルダーはFTXでの取引手数料割引を受けられたり、ステーキングができたりとユースケースが豊富でした。
ところが2022年、FTXの経営破綻を機にFTTも大暴落をしてしまいます。
果たしてFTTに将来性はあるのか?特徴や将来性、今後の見通しについて解説します。
参考記事はこちら
https://bitcastle.io/column/post-11786/
目次
FTTを発行していたFTXとは?
名称 | FTX |
トークンシンボル | FTT |
公式ページ | https://ftx.com/ |
FTTは仮想通貨取引所FTXが発行していた仮想通貨です。FTXは2019年に設立されると、わずか2年足らずで大人気取引所に成長。ピーク時には100万人以上のアクティブユーザーがいたとされています。
創設者はサムバンクマン=フリードとジシャオ・“ゲイリー”・ワンの2人。彼らはFTXを立ち上げると暗号通貨ポートフォリオ追跡アプリであるBlockfolioを買収し、会社を急成長させした。
その後、名前が知れ渡ったFTXはソフトバンクを始め、セコイア・キャピタル、ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ、インサイト・パートナーズなど、合わせて60社以上の投資家から資金を調達。
その圧倒的な資金力で一時は業界三3位の仮想通貨取引所へと成長していきました。
経営破綻とFTTの暴落
急成長を遂げたFTXは、仮想通貨取引所のほかにゲーム部門を設立、ブロックチェーンやNFT、メタバースなどの開発を支援すると発表します。
仮想通貨関連事業に幅広く影響を及ぼし始めたFTXは、支店となる国々を次々に開拓。米国向けのFTX.US、日本向けのFTX.Japanなど、FTXのユーザーは世界中に広がっていきました。
ところが2022年11月。FTXは突然経営破綻に陥ります。このニュースが流れてからというもの、仮想通貨全体の時価総額は1か月間で約1,800億ドルも下落し、大きな仮想通貨ショックを引き起こしました。
もともとFTXの急成長の主力となった戦略は仮想通貨の知識に乏しい投資家から、巨額の仮想通貨を預かり、その資金を運用運用。出資者にはFTTを発行し、FTTに資金を還元するというビジネスモデル。
“現金を新興の取引所であるFTXが発行する仮想通貨に換える”という常通であれば考えられないハイリスクな投資だったにも関わらず、FTXには大量の資金が流れ込みます。
さらに当時は仮想通貨バブルの真っただ中。どんな銘柄でも買えば値上がるため、FTTの信頼性を度外視した。投資資金も多く集まったのでしょう。
しかし、あるとき仮想通貨ブームが急に終焉を迎えます。あれだけ値上がっていた仮想通貨は全面安となり、あのビットコインでさえ価値が半減するほどの大暴落を迎えます。
仮想通貨の大暴落をきっかけにFTTの大量売却が進む
仮想通貨市場の暴落をうけてFTXの運用成績は大幅に悪化。ここでFTXに資金を集めた投資家たちはこう思います。
“FTTの価値は信用ならない”
これをきっかけに出資者たちは自身の資金の回収に走ります。出資をするときに発行していたFTTが売却され、FTXからは大量の資金が流出。資金繰りが上手くいかなくなり、経営破綻へと追い込まれました。
一連の出来事は仮想通貨市場に大きな影響を与え、その余波は他の金融会社の破綻までも引き起こしました。
例えば、FTXから金融支援を受けていたレンディング大手のブロックファイの経営や破綻や、アメリカの金融会社ジェネシス・グローバル・キャピタルの関連企業3社の連邦破産法の申請など。
FTXの暗号資産事業に関わっていた企業が次々に倒産します。
創業者の裁判とその後
破産申請が認められたFTXは、これ以降債権者への返済が続きます。そして創業者であるサム・バンクマン=フリードは裁判にかけられることとなりました。
罪状は詐欺罪。彼は出資者の資金をFTXの負債の返済や自信のローン、生活費の一部に使用していたとして起訴されます。
起訴内容は全部で7つあり、そのすべてで有罪判決を受けたサム・バンクマン=フリードは2024年3月の新たな刑事裁判の判決を持って量刑が決定します。
仮にすべての罪の最大刑を合計すると、懲役は100年以上。恐らくすべての罪で最も重い判決が下るとは思いませんが、それでも長い懲役刑に服すのはほぼ間違いないでしょう。
一連の流れは仮想通貨業界に大きな影響を与え、仮想通貨交換業の健全性が改めて確認されるきっかけとなりました。
現在FTXはアメリカを始め、各国に持っていたすべての支店で取引を停止しています。
これはもちろん日本支店であるFTX Japanも例外ではなく、現在は入出金が停止しています。
ちなみに、FTX Japanは2023年12月8日に金融庁より行政処分が下されており、その内容は次の通り。
資産の国内保有命令
令和5年12月10日から令和6年3月9日まで、各日において、当社の貸借対照表の負債の部に計上されるべき負債の額(保証債務の額を含む)から非居住者に対する債務の額を控除した額に相当する資産を国内において保有すること(公益又は投資者保護の観点から問題がないものとして、当局が認めた場合を除く)。
財務省関東財務局ホームページより抜粋
つまり“社内で保有している資金を勝手に動かすな”ということですね。この命令は新しく発せられたものではなく、もともと2023年9月8日付で発せられた命令の期限が到来したために発出したものです。
今回のFTXの問題がいまだに解決していないことを物語っている事実ですね。
FTTの特徴
経営破綻した企業が発行していたFTT。この銘柄にはどのような特徴があるのでしょうか。
TFFの主な特徴は次の通り
- 価値が上がる見込みが少ない
- ユースケースはほぼ関係がない
- 空売りできればチャンスな銘柄
他の仮想通貨では見られない特徴ばかりですね。詳しく見ていきましょう。
価値が上がる見込みが少ない
FTTは経営破綻したFTXが発行したトークンです。そのため、今後FTXの復活によるFTTの急騰は非常に考えにくく、値上がりの見込みが少ないトークンといえるでしょう。
しかし、値上がり見込みが少ないとはいえ、直近の値動きでは多少価格が上下しており、下手なミームコインと比べると売買差益を取りやすいのも事実。
一部のDEXやBinanceなどでは手に入れることができるため、気になる人は入手してもいいでしょう。
参考記事はこちら
ユースケースはほぼ関係がない
仮想通貨の値上がり要因の一つには利用価値が高い、ユースケースが多岐に渡るといった項目も考えられます。
しかし、FTTのユースケースの多くはFTXを利用するときに便利になる機能ばかりであったため、どれだけ多くのユースケースがあろうともFTTの価値には一切影響はありません。
FTTの本来のユースケースは
- 取引手数料の割引
- 先物取引の証拠金利用
- ステーキング
などがありました。FTXの人気を考えれば、このユースケースは非常に魅力だったのでしょう。FTT最盛期には1FTTあたり8千円以上の値を付けることもあったほどです。
残念ながら現在はそのユースケースのすべてが凍結されており、今はただただ不名誉な銘柄として残り続けてしまっています。
空売りできればチャンスな銘柄
FTTは値上がり見込みはありませんが、値下がり見込みはあるため、空売りできればチャンスな銘柄です。
空売りとは、あらかじめ売りから入る取引方法で、価格が安くなったところで買い戻すと利益が生まれる手法です。
FTTの今後急騰する可能性は非常に低いでしょう。であれば少し値段が上がったところで空売りをしておけばいずれ大きな利益を生むチャンスになるかもしれません。
もちろん、FTXがすべての負債を清算し、運営先が変われば価格上昇のチャンスもあるかもしれませんが、少なくとも現段階でその可能性は低いでしょう。
入れ替わりの激しい仮想通貨業界で、わざわざ凋落した取引会社を買収するメリットはありませんからね。
しっかりとリスクヘッジさえすれば魅力的な銘柄に化けるかもしれません。
FTTの価格動向
FTTの現在の価格動向は次の通り。
FTXの経営破綻後大幅に値を下げたFTTですが、直近1か月では少し価格が上昇。わずかではありますが出来高も増えています。
今後の見通し
FTTの今後の見通しは全く不明です。しかし一つ言えることは、このままトークンの価値が上昇する可能性はとても低いということ。
現状、日本国内におけるFTXの行政処分は解除されていませんし、債務者への返済も一向に進んでいません。このような状況ではトークン価値は上がらないとみていいでしょう。
今後FTXが何らかの方法で債務者への返済の目途が立ったり、サム・バンクマン=フリードの刑が確定するなど、ポジティブなニュースが流れれば価値の上昇も考えられますが、今のところそのような情報は入ってきていません。
短期的に儲けるならショートポジションがおすすめ
とはいえ、少しずつでも価格が伸びてきているFTTは空売りするには絶好の銘柄です。何せ暴落の原因が解決していないにも関わらず価格が上昇しているわけですから、いつ元の価格に戻ってもおかしくありません。
ポジティブな要素がほとんどないにもかかわらず、値上がりを見せている今の状況は、ショート(売り)ポジションを持つには最高の逆張りタイミングです。
もし価格が高騰したとしても、過去の高値を超えること可能性は非常に低いでしょう。
長い目線での成長性に賭ける取引ではないため、長期保有は大きなリスクが伴います。しかし、今の値動きの波に乗った短期的な取引であれば勝算は十分にあります。
興味がある方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
FTTを購入するならbitcastleを利用しよう
FTTは残念ながら日本円では購入できません。一番スタンダードな入手方法はBinanceやDEXを利用したスワップになります。
スワップとは、BTCやETHを使って仮想通貨同士を交換する購入方法で、海外の取引所を利用するときにはスワップが基本です。
しかし、スワップは交換元となる仮想通貨を用意しなくてはならないため、事前に仮想通貨を購入する取引所を準備する必要があります。
このときおすすめな取引所がbitcastle。
bitcastleはメールアドレスと本人確認書類をメールで送信すればすぐに口座開設が完了。クレジットカードを利用して直接仮想通貨を購入できるため大変便利です。
bitcastleは海外取引所ですが、運営元は日本人が経営している企業です。そのため日本人ユーザーに使いやすい仕様になっているのもうれしいですね。
口座開設はスマホですぐに完了します。FTTに投資するときは是非利用してみて下さい。
FTTの将来性
FTTの将来性ははっきり言ってあまり期待できません。というのも、ここまで読んでいただければわかりますが、FTTは経営破綻した取引所FTXが発行していた銘柄ということで、この先のバージョンアップは望めないからです。
もしかしたら、今後の行政処分に対する対応や債務者への返金が進めば何か大きな変化があるかもしれませんが、今は全く期待ができない状態なのは言うまでもありません。
さらに小口のFTTホルダーに焦点を当てれば膨大な含み損を抱え、今も決済できていないポジション(塩漬けポジションを)を保有している人も多数いるでしょう。
こういった大量の塩漬けポジションは、少しトークンが値上がったところで決済されてしまうため、大きな売り圧力にかわります。
まだまだ価値が上がるには解決すべき問題が山積みなFTT。今後の動向には注目ですね。
【まとめ】FTTは破綻した仮想通貨取引所FTXが発行していた仮想通貨
一時は業界トップクラスの実績を誇った仮想通貨取引所FTX、そのFTXが発行した仮想通貨FTTは、FTXの破綻とともにその価値を大きく減らしました。
今はもう将来性に賭けて取引するような銘柄ではありませんが、それでも多少の値動きを見せるこの銘柄。短期的な取引であれば利益を生むことは可能でしょう。
創設者であるサム・バンクマン=フリードの裁判の裁判の行方はどうなるのか、それに伴う今後のFTXの債権返済はどのように進むのか。FTTを取り巻く外的要因の進展から目が離せません。
執筆者 西村大樹