安全資産として知られているゴールドは、その高いボラティリティから多くのトレーダーから人気です。現在は多くの証券業者が金融商品として取り扱い、取引コストも非常に安くなってきています。
価格が動き出すと一方向に向きやすいことから、“ゴールドは勝ちやすいトレード商品”などとも言われることから取引に興味を持っている方も少なくないでしょう。
今回は本当にゴールドトレードは勝ちやすいのか？というテーマを紹介していきます。
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目次
ゴールドトレードとは？
ゴールドトレードとは、金（ゴールド）を対象とした金融商品を取引する投資手法の一つであり、多様な取引方法を通じて利益を追求するものです。
金は古くからその普遍的な価値で知られており、特に経済が不安定な時期やインフレが進行している状況において、資産保全の手段として広く認識されています。ゴールドトレードには、以下のような具体的な形態があります。
現物取引
金地金やコインを実際に購入し、物理的に保有する方法です。例えば、スイスの高品質な金地金ブランド「PAMP」や、投資家の間で人気のあるアメリカの「クルーガーランド金貨」などが代表的な選択肢です。これらは実物資産としての価値を直接享受できます。
金のインゴッドが並んでいる金庫のイメージがまさにそれです。ゴールドトレードといえば現物取引の方がイメージが湧きやすいかもしれませんね。
先物取引
金の価格変動を利用して利益を得るデリバティブ取引の一種です。具体例として、CME（シカゴ・マーカンタイル取引所）のゴールド先物市場では、世界中の投資家が取引に参加しています。
ETF（上場投資信託）
金価格に連動するETFを通じて、比較的簡単に金への投資が可能です。有名な例としては、「SPDRゴールドシェア（GLD）」があり、このETFは金市場に広くアクセスできる手段として支持されています。
CFD（差金決済取引）
少ない資本で金価格の上下を予測し、取引を行う方法です。例えば、日本のGMOクリック証券では、金CFD取引が提供されており、個人投資家にも人気があります。
ここでいうゴールドトレードとはこの先物取引のことを言います。
ゴールドトレードの特徴
ゴールドトレードには、他の金融資産にはない特有の魅力とリスクがあります。ポジティブな側面ばかり見ていると、ゴールドトレードはあっという間に資金と溶かしてしまいかねません。
そうならないためにもゴールドトレードの特徴を確認しておきましょう。
安全資産としての役割
金は、不況時や金融危機が発生した際に資産価値を守る「安全資産」としての役割を果たします。この点が特に注目されたのは、リーマンショックやコロナショックのように、世界経済が混乱する局面です。例えば、リーマンショック後には金価格が大幅に上昇し、投資家に安心感を提供しました。
価格変動の要因
金価格は複数の要因に影響を受け、日々変動します。その変動率は為替に比べると非常に大きく、仮想通貨ほどではないものの、1日に価格が数％上下することも珍しくありません。
金の価格が変動する主な要因を抑えておくことも、ゴールドトレード特徴を掴む重要なポイントとなるでしょう。
ドルとの相関金
金は主にドル建てで取引されるため、ドルが弱くなる（ドル安）と金価格が上昇する傾向があります。2020年には、新型コロナウイルスの影響でドルが下落したため、金価格が歴史的な高値に達しました。
地政学的リスク
戦争や政治的緊張が高まると、投資家が安全資産として金を求めるため、価格が急騰します。例えば、ロシアとウクライナの紛争が深刻化した際には、金価格が短期間で急上昇しました。
中央銀行の政策
各国の中央銀行が金利を引き下げたり、量的緩和政策を実施した場合、金の魅力が高まります。アメリカのFRBが量的緩和を実施した2010年代初頭には、金価格が大きく上昇しました。
流動性の高さ ゴールドは世界中で取引されており、非常に高い流動性を持つ資産です。
これは、投資家が簡単に売買できることを意味します。例えば、ロンドン金市場（LBMA）やニューヨーク商品取引所（COMEX）は、金取引の主要なプラットフォームであり、日々多額の取引が行われています。
ゴールドトレードに必要な知識
さて、ゴールドトレードで利益を上げるには、市場動向を理解し、適切なリスク管理を行うための知識が欠かせません。すべての知識を網羅するには膨大な経済学の勉強が必要になりますが、基本は必ず押さえておくべきです。特に重要なポイントを見ていきましょう。
市場の基本的な動き
ゴールド価格は、経済指標、金利動向、為替レート、地政学的リスクなど、さまざまな要因に敏感に反応します。例えば、アメリカの雇用統計が予想外に強い結果を示した場合、ドル高が進み、その結果、金価格が下落する傾向があります。このような因果関係を理解し、市場全体のトレンドを把握することが重要です。
テクニカル分析
テクニカル分析は価格形成のチャートを読み、過去の統計から将来の価格動向を見極める分析方法です。チャートの読みかたは人それぞれですが、まずは基本的なインジケーターの使い方と、トレンドラインの種類から勉強していくと良いでしょう。
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チャートの読み方の基本
初心者はまず、移動平均線やRSI（相対力指数）、ボリンジャーバンドなどのインジケーターを用いた分析が分かりやすくていいでしょう。例えば、RSIが70以上になった場合、「買われ過ぎ」の状態を示し、価格が調整に入る可能性が高まります。こういった場面では売りポジションが優勢です。
一般的にトレンドに逆らうポジションを持つ“逆張り”投資に有効な手法であり、応用すると利確ポイントや損切ポイントを決定する根拠にも利用できます。
サポートとレジスタンス
インジケーターを見ることができたら重要な価格転換の場面になりそうなポイントに線を引くトレンドラインも引いてみましょう。例えば何度も高値ではじき返されているポイントを結んだ直線をレジスタンスライン(抵抗線)といい、その反対で価格の下支えをしているラインをサポートライン(支持線)といいます。
これらの直線を使い、金価格の重要な節目を把握することで、エントリーポイントや利確ポイントを視覚的に決定できます。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、世界情勢から相場の動向を分析する手法です。
金を取り巻く世界経済の状況、中央銀行の政策、インフレ率、金の供給と需要のバランスを理解することは、長期的な価格の動向を予測する上で重要です。
簡単な具体例には、中国とインドは世界最大の金消費国であり、その需要が増加すると、金価格が上昇する傾向があります。これは非常に簡素な一例ですが、こういった背景が複雑に絡み合い、市場の価格が形成されていきます。
リスク管理
資金管理は、ゴールドトレードで成功するための鍵です。一度の取引で全資金を失うリスクを避けるため、資金の一部を分散して投資します。例えば、資金全体の3%を1回の取引に割り当てるルールを設定し、損失を最小限に抑える戦略を取ることが有効です。また、ストップロスを設定することで、計画外の損失を防ぎます。
ゴールドトレードに役立つ投資手法
ゴールドトレードを効果的に行うためには、いくつかの具体的な投資手法を活用することが推奨されます。それぞれの手法を詳しく説明します
スイングトレード
数日から数週間の中期的な価格変動を利用して利益を狙う手法です。
テクニカル分析を活用し、トレンドラインや移動平均線を基に売買のタイミングを判断します。例えば、200日移動平均線を上回った際に買いを検討するケースがあります。
スキャルピング
短期的な価格変動を活用し、数分から数時間以内にポジションを閉じる手法です。
特に、ボラティリティが高まる経済指標発表直後のタイミングは、スキャルピングの好機とされています。
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ポートフォリオ分散
ゴールド単体だけでなく、他の資産（株式、債券、不動産など）と組み合わせることでリスクを分散します。
例えば、2020年のコロナショック時、株式市場が大きく下落する一方で、ゴールド価格が急上昇し、ポートフォリオ全体の安定性が向上しました。
ヘッジ戦略
株式市場の下落リスクや為替リスクを軽減するためにゴールドを活用します。
例えば、ドル建て資産を多く保有する投資家が、ドル安リスクに備えるために金を購入することがあります。
こちらは複数の金融資産を所有する方向けの手法であり、これから初めてゴールドトレードに挑戦するような方には難しい戦略となるでしょう。
【まとめ】適切なリスク管理と投資戦略でゴールドトレードが勝てるようになる
ゴールドトレードは、適切な知識と戦略を駆使することで、非常に魅力的な投資手法となります。ただし、リスクも大きいため、十分な準備と慎重な計画が必要です。初心者の場合、例えば「少額での現物購入」や「デモトレード」での練習を繰り返し、小さな成功体験を積みながらスキルを向上させることが推奨されます。これにより、徐々に自信を持って取引を行えるようになるでしょう。
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執筆者 西村大樹