今や3,000以上の種類がある仮想通貨。その中から今回はステラルーメンに注目し、今後どのような発展を遂げる可能性があるか、ステラルーメンの特徴などについてを詳しく解説します。
目次
ステラルーメン(XLM)のリアルタイムチャート
ステラルーメン(XLM)とは
ステラルーメン(XLM)とは、2014年にリップル(XRP)の開発者の1人でもあるジェド・マケーレブ氏が中心となって個人間の送金や国際送金における問題を解決することを目的として、開発された仮想通貨です。
公開当初は、ステラという名称でしたが、創業者であるジェド・マケーレブ氏が抜けたことで2015年にルーメンと名称を変更しています。ただし、ポロにエックス等の取引所では旧称のステラを使用することもあるため、一般的にはステラルーメン(XLM)と呼ばれています。
ステラルーメン(XLM)を開発した。ジェド・マケーレブ氏は多くの仮想通貨事業に関わっており別名「仮想通貨のカリスマ」とも呼ばれるほどの人物です。
一般的な仮想通貨には管理主体が存在しない場合が多く、ビットコイン(BTC)などは、ブロックチェーンと呼ばれる分散型台帳に取引履歴が記録され世界中のどこからでもブロックチェーンを管理できるようになっています。
一方で、ステラルーメン(XLM)には管理主体が存在しています。中央集権的な管理主体がある珍しいタイプの仮想通貨です。
ステラルーメン(XLM)は、ビットコイン(BTC)のマイニング(採掘)のような仕組みは存在しておらず、全枚数が発行済みとなっています。しかし、2014年から2019年までは供給量が毎年1%増える仕組みを採用していましたが、2019年10月にステラルーメン(XLM)のコミュニティによる投票を経て、新規の発行が終了しました。
ステラルーメン(XLM)の特徴
仮想通貨には、それぞれ特徴があるのですがステラルーメン(XLM)の主な特徴がこちらです。
- リップル(XRP)をベースに開発された仮想通貨
- ブリッジ通貨
- スピード決済が可能
- 2019年にバーン(焼却)を実施した
リップル(XRP)をベースに開発された仮想通貨
リップル(XRP)は、Ripple社が管理と運営を行なっている仮想通貨です。主に銀行などの法人向けに開発された国際送金の円滑化を目的としたプラットフォームとして活用されています。
ステラルーメン(XLM)は、リップル(XRP)の創業者であるジェド・マケーレブ氏によって、リップル(XRP)のオープンソースコードをベースにして開発がされました。
ブリッジ通貨
ステラルーメン(XLM)は、「ブリッジ通貨」としての、役割を期待されている仮想通貨です。
ブリッジ通貨とは、2つの通貨の橋渡しができる通貨を指します。例えば、日本からアメリカへの送金をする場合は円からアメリカドルに変えなければいけませんよね。わざわざ円からアメリカドルに変えて送金するには、数日かかり手数料も高くついてしまいます。
しかし、円を一度ステラルーメン(XLM)に換えてから、アメリカドルに移せば送金がスムーズに進むのです。ステラルーメン(XLM)の送金能力の高さが決済の手間を省き、手数料も抑えてくれます。ステラルーメン(XLM)は、国際送金を活性化させる可能性を秘めている仮想通貨だと言えるでしょう。
スピード決済が可能
ステラルーメン(XLM)は、決済スピードの速さも大きな特徴です。手数料も安いので、多くの人が便利と感じることができるのではないでしょうか。
ちなみに、ビットコイン(BTC)だと1度の決済に10分程度かかりますがステラルーメン(XLM)なら2〜5秒で済むと言われています。仮想通貨の決済は法定通貨よりも早いことが多いですが、ものの数秒で決済ができることはかなり大きなメリットではないでしょうか。
2019年にバーン(焼却)を実施した
ステラルーメン(XLM)は、2019年11月にステラ財団によって、大量のバーン(焼却)を受けています。
バーン(焼却)とは、仮想通貨の数量を意図的に減らすこと指し、数を減らすことによって希少価値が上がり、価格を高騰させることが目的です。ステラルーメン(XLM)はバーン(焼却)により、半数以上の仮想通貨を減らし残りを500億XLMとしました。
ステラルーメン(XLM)に投資するメリットとデメリット
ステラルーメン(XLM)に投資する場合のメリットとデメリットがこちらです。
メリット:運営の意思決定と送金スピードが早い
ステラルーメン(XLM)のメリットは、なんといっても運営上の意思決定が早いことと送金スピードの速さです。
ステラルーメン(XLM)は、中央集権型の仮想通貨ですので、一つの組織が管理を行なっています。そのため意思決定に携わる人も少数で済むので、計画を速やかに実行することが可能なのです。
これだけではなく送金能力の高さも大きなメリットです。ステラルーメン(XLM)は、2〜5秒で送金が完了するので、相手はほとんど待たずに通貨を受け取ることができます。手間が少なく送金する際の手数料もかからないのでコストカットにはぴったりの仮想通貨です。
デメリット:オリジナリティがない
一方のデメリットは、オリジナリティがないことです。またステラルーメン(XLM)は、送金のスピードの速さを売りにしていますが同じように送金のスピードの速さを売りにしているのがリップル(XRP)です。リップル(XRP)は、ステラルーメン(XLM)と同じ中央集権型なので、この2つは同じような仮想通貨と一括りにされがちです。
そのため、リップル(XRP)の価値が落ちればステラルーメン(XLM)も同じようにつられて価値が下がってしまう可能性が高いのです。ステラルーメン(XLM)は、発展途上国の金融事業に力を入れているので、リップル(XRP)と差別化を図るにはその点で独自性を確立できるのかが鍵になるでしょう。
ステラルーメン(XLM)の購入方法
これまでステラルーメン(XLM)を購入するには、基本的に海外の仮想通貨取引所に口座を解説するのが基本でした。そのため、ステラルーメン(XLM)を購入したい場合は以下のような手順で購入する方法しかありませんでした。
- 日本国内の取引所でビットコイン(BTC)などの仮想通貨を購入する
- 購入した仮想通貨を海外の取引所に送付する
- 送付した取引所でステラルーメン(XLM)を購入する
しかし、2019年からは日本の取引所でもステラルーメン(XLM)の購入ができるようになりました。現在では多くの取引所での取り扱いが行われていますので、自分が使い勝手の良い取引所を見つけて購入してみてください。
ステラルーメン(XLM)購入時の注意点
ステラルーメン(XLM)だけではなく、仮想通貨を購入する際にはいくつか注意しなければならない点があります。
①価格の変動に注意
ステラルーメン(XLM)などの仮想通貨を購入する際、まず最初に注意しなければならないのが価格変動です。仮想通貨の購入時の価格は、その時点の通貨価値によって異なります。
特にステラルーメン(XLM)は、2018年頃からやや大きな価格変動があった仮想通貨ですので購入前には、現在の価格をきちんと確認するようにしましょう。
②取引によっては手数料が発生する場合がある
ステラルーメン(XLM)は、他の仮想通貨と比べると送金手数料が安いのが特徴です。しかし、場合によっては手数料が発生することがありますので注意しましょう。
ステラルーメン(XLM)のこれまでと今後
ステラルーメン(XLM)に投資を行いたいと思っている方が気になるのが、今後についてではないでしょうか。ステラルーメン(XLM)がこれまでにどのような時に価格が変動したのかを見て、今後についても解説してきます。
ステラルーメン(XLM)のこれまでについて
まず最初に、知っていただきたいのがこれまでステラルーメン(XLM)がどのような時に価格変動が起こってきたのかです。これまでの主な価格変動がこちらです。
2014年 ブラジルで初上場
ステラルーメン(XLM)の初上場は、南米ブラジルに初めて作られた仮想通貨取引所から行われました。ちなみに初上場時のステラルーメン(XLM)の価格は、1XLMあたり約0.003ドルでした。
2014年に上場したステラルーメン(XLM)ですが、その後4年間は特に目立った値動きはありませんでした。
2018年 IBM社がステラルーメン(XLM)を国際送金に利用
2018年に、アメリカ大手コンピュータ関連企業であるIBM社が、ステラルーメン(XLM)を国際送金システムに採用することを発表しました。
それまで全く注目されてこなかったステラルーメン(XLM)ですが、この発表をきっかけに一気に注目がある待つようになり、一時0.87ドル代まで価格が急騰しました。
しかし、このような急騰は一気に価格が上がるように価格が落ちるスピードも速いのです。実際にステラルーメン(XLM)も急騰後しばらくは下降トレンドを形成することとなったのです。
2019年 ステラ財団に新しいCEOが就任
2019年5月、ステラ財団に新しいCEOであるダネル・ディクソン氏が就任しました。ダネル・ディクソン氏はウェブブラウザFirefoxを提供するMozillaの元COOであり、彼の豊富な知見に対する期待が高まり一時レートが高騰しました。
2019年 ステラ財団がバーン(焼却)を実施
ステラルーメン(XLM)は、2019年11月にバーン(焼却)を行い、発行枚数をもとの半数以下にまで減らしました。このバーン(焼却)により、価格が急騰し一時は約25%上昇ました。
ちなみに、バーン(焼却)後に残ったステラルーメン(XLM)の総枚数は500億XLMで、すでに200億XLMは市場に流通しており、残りの300億XLMはステラ財団が保有することになったそうです。
現在ステラ財団が保有している300億XLMについては、バーン(焼却)後から数年かけて市場に放出していく計画になっているのだとか。
2020年 複数の要因が重なり再び高騰し始める
2020年11月から、ステラルーメン(XLM)だけではなく仮想通貨全体が高騰傾向となりました。なぜこのようなことが行ったのかというと、2つの理由が考えられます。
- IMF(国際通貨基金)が仮想通貨の普及を容認
- 仮想通貨容認派のバイデン氏がアメリカ大統領選に勝利
仮想通貨は、社会の流れや政治の流れによって大きく価格が変わりますので常に話題となっているトピックスを知っておくことが大切です。
ステラルーメン(XLM)の今後について
次に、ステラルーメン(XLM)の今後について解説してきます。
大企業との提携
ステラルーメン(XLM)は、世界有数の会計事務所の一角・デロイトを含む数多くの大手企業と提携を行っていることで知られています。また、IT大手企業であるIBMによる国際送金プロジェクトにおいてクロスボーダー決算を実現するための仕組みとしてステラルーメン(XLM)は活用されています。
今後ますますステラルーメン(XLM)と大手企業との提携が増えることで、ステラルーメン(XLM)の価格形成に追い風となる可能性が考えられます。
リップル(XRP)の動向にも注意が必要
ステラルーメン(XLM)は、似たような特性を持っているリップル(XRP)の価格変動に左右される傾向があります。そのため、異なる仮想通貨であってもリップル(XRP)の動向は随時確認する必要がありと言えるでしょう。
日本国内取引所への上場
2021年5月現在、ステラルーメン(XLM)を取り扱っている日本国内の仮想通貨取引所は以下の4つです。
- コインチェック
- ビットフライヤー
- GMOコイン
- DMM Bitcoin
しかしmさらにステラルーメン(XLM)を取り扱う仮想通貨取引所が増えれば、ステラルーメン(XLM)の価格形成に大きな影響を与えることになるかもしれません。
最後に
今回は、仮想通貨のステラルーメン(XLM)について解説しました。ステラルーメン(XLM)は、一般的な仮想通貨とは異なる性質を持っており、ブリッジ通貨として世界の経済を助ける存在として非常に注目されています。
仮想通貨の王道のビットコイン(BTC)にばかり、視線が行きがちですがステラルーメン(XLM)のような異質な仮想通貨にも目を向けて新しい投資を行ってみてはいかがでしょうか。
執筆者 西村大樹