金融庁が認可している仮想通貨自主規制団体の一般社団法人「日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)」は29日、仮想通貨交換業者登録が済んでいない「みなし業者」の入会受付を開始しました。
会員を第二種から第三種までに分けて今後も入会を受け付けていくとのことです。これにより仮想通貨交換業者だけはなく仮想通貨関連企業の入会も可能になっていきます。
今回は日本仮想通貨交換業協会の話題を取り上げます。
みなし業者の入会受付開始
日本仮想通貨交換業協会は29日から仮想通貨交換業の認可を受けていない、いわゆる、みなし業者の入会受付を開始しました。
みなし業者を第二種会員として位置付けてに入会を受け付けます。会員登録の流れは申し込みから一次審査、二次審査、理事会審査と段階を踏んで入会が決まります。
一次審査は申し込み内容による審査、二次審査は審査書類と面談による審査、理事会審査は理事会による審査となっています。
ちなみに、第一種会員は仮想通貨交換業者として金融庁に認定されている業者。今後、入会を受け付ける第三種会員は仮想通貨の周辺ビジネスを行う業者となります。
周辺ビジネスを行う業者はブロックチェーン技術関連の企業や資金決済法には定義されないウォレットを扱う業者などになります。
日本仮想通貨交換業協会とは
一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)は日本仮想通貨事業者協会(JCBA)と日本ブロックチェーン協会(JBA)が設立した新団体です。
設立の背景には2018年1月に起こったコインチェックによる多額の仮想通貨流出事件があります。それ以後、業界再興のために設立されたのです。
現在は金融庁が認可する16社の仮想通貨交換業者で構成されています。会長を務めるのは株式会社マネーパートナーズ代表取締役社長の奥山泰全氏となります。
第二種会員の有力業者
29日に日本仮想通貨交換業協会は第二種会員としてみなし業者の入会受付を開始しました。現在のみなし業者で第二種会員の有力業者は以下の3社です。
・コインチェック(マネックスグループが買収)
・みんなのビットコイン(楽天株式会社が買収)
・LastRoots(SBIホールディングスが出資、登録支援)
上から順番にみていくと、コインチェックは仮想通貨流出事件後、マネックスグループに買収され再建を進めています。
マネックスグループはオンライン証券では最大手であり、子会社にはマネックス証券やマネックスFXなどがあります。もちろん東証一部上場企業です。
みんなのビットコインは4月に金融庁からマネーロンダリングなどへの対策が不十分として業務改善命令が下されていました。そして8月に楽天が買収しています。楽天は子会社である楽天カードを通じて買収しています。
LastRootsはあまり聞き馴染みがない業者ですがみんなのビットコイン同様、金融庁から4月に業務改善命令を受けています。
8月にSBIグループはLastRootsに役員を派遣することで経営管理体制を強化し、仮想通貨交換業の登録の支援や事業成長の後押しを行う方針を明らかにしました。
いずれのみなし業者もバックに大企業が付いていることで早期の第二種会員になる可能性があるかもしれません。
そして、金融庁に仮想通貨交換業社と認可された暁には第一種会員になってくのでしょう。
第三種会員まで想定し規制面の整備
将来的に入会受付をスタートさせる第三種会員、そして、入会受付が開始された第二種会員。さらには既存の第一種会員と幅広く自主規制団体の日本仮想通貨交換業協会に加盟することは大きな意味がありそうです。
一定の強制力を持つ自主規制ルールが加盟企業に課されるわけですので市場の安心感にもつながるでしょう。入会を希望する企業が着実に増えていくことも考えられます。
規制面の強化と考えると第二種会員、第三種会員と裾野を広げていくのは国内の仮想通貨界において大きな前進ではないでしょうか。
執筆者 西村大樹